マッキーの
“オーストラリア便り” (上)
竹内牧子
パディントンのマーケットにて。クラスメートのヨウコさんとこんにちは。10月からシドニーは水不足対策のための、給水制限が始ま りました。そんな中、昨日今日は久方ぶりの雨、しかも激しい雨が降りました。 シドニーにとっては恵みの雨でしたが、今日、知人が日本から遊びに来てくれ たのに、青い空と海を見てもらうことができず、雨風にさらされながらの市内 観光になってしまい、残念でした。 上の写真はクラスメートとピクニックに 行った時のものです (竹内牧子 10月2日)1 授業がはじまりました 2 失敗からは学ぶものが多いです 3 ロレインのこと 4 フェイシャル・パーティー参加 5 裸足とハイヒール 6 大きい! 7 癒しのカプチーノ 8 繊細な兄と豪快な弟 9 働 く 人 々 10 ギターの調べ 11 朝 の 風 景 12 裁 判 傍 聴 13 映 画 へ GO ! 14 チャリンコに乗った王子様 15 ギター・レッスン 続編 16 日 本 語 の 力1 授業がはじまりましたこんにちは。皆さんお元気でいらっしゃいますか? こちらは連日良すぎる程のお天気が続いています。激しい紫外線に見舞わ れ、UVケア&帽子で防御してはいたものの、短い間にすっかり日に焼けてし まいました。日傘を差したいところですが、そんなものはこちらは誰1人差し ておらず、かなり浮きそうなので断念しました。 授業が始まって1週間経ちました。講義は週に4つあります。私達通訳・ 翻訳のグラジュエート・ディプロマは日本語、中国語、ベトナム語、スペイン 語、アラブ語といった言語があって、全語学共通で受ける講義と語学別に受け るチュートリアルといわれる授業とがあります。人数は中国語学科が一番多く て30人位、次が日本語とスペイン語で各10人位、ベトナム語、アラブ語は それぞれ3人位づついます。通訳・翻訳の理論、通訳・翻訳の技術、コミュニ ティ翻訳、司法通訳といった内容です。クラスメートの中には完全にバイリン ガルといえる人達も沢山いるのですが、私の場合英語での講義を理解するとい う初歩の段階でかなり難ありなので、講義を録音してレビューしています。そ の上ものすごい量のアサインメント、読むべき本が出され、土日もずっと図書 館です。 ホームステイも最初の契約の4週間が18日で終わるので早く住むところ を見つけなければなりません。今の家はリズという49才の女性1人暮しで、 彼女なりには精一杯やってくれているのでしょうが、かなり居心地がわるいで す。フルタイムで働き、週2日は夜学校に通い、日曜は一日教会、という彼女 には学生を受け入れるのは無理だったのだと思います。何しろ忙し過ぎる。私 が初の受け入れ学生だったようです。何しろゴハンはあまり作らない(作って も同じ物が何日か続く)、すごく倹約家で部屋の電気をすごく暗くする(彼女 ひとりの時は夜電気をつけません!!!)。教会仲間のマーティーが訪ねてき た時は、夜遅くまで話し込んでいるなと思ったら次第に語調が激しくなり、な んとも独特な祈祷のようなことをし始め、その時にはっきりとここにはこれ以 上いたくない! と思いました。 食事のことである日の朝彼女と言い争いをしてブルーな気分でいた時、自 分が日本から送った本や衣服などの荷物が近所の郵便局に届いたと連絡が入り ました。車を持っている知り合いもいないし、外はものすごい暑さだし、さて どうしようかと途方にくれていた時、アニーが電話をくれました。フィリピン 人のアニーというのは、Nさんが紹介してくれた中国人のジュリンの職場の同 僚です。ジュリンもアニーもとても素敵な女性で2人とも美人です。アニーは 私が「髪を切りたいんだけどどこか良い店を知らない?」とちょこっと言った ことを覚えていてヘアサロンに自分も行くから一緒にどう? と誘ってくれた のでした。その時はもう髪なんてどうでもいいという気分だったので断りまし たが、私が何気なく荷物のことを言うと車を出してくれると言うのです。結局 彼女は私の家まで迎えにきてくれ、郵便局へ行き荷物をピックアップし、4階 の私の部屋まで重いダンボールをよいこらしょっと汗をかきかき一緒に運んで くれたのでした。 A friend in need is a friend indeed. という言葉が身にしみました。傷つけられるのも人だし、力をもらうのもやは り人によってなのですよね。Nさん、ジュリンには「Mr.Nはデニーロ似で す」とちゃんと言っておきましたからね。 今は早く家を見つけて生活の基盤を固めたいと思います。要の部分が定ま らないと、勉強にも集中できません。私のような劣等生はみんなの何倍も努力 しないとついていけないでしょうから。先日あるパーティーに参加したのです が、ネイティブ同士の会話になると全く聞き取れず自分の力の無さを知りまし た。もっとショックなのが、自分の言ったことを一度で判ってもらえない時で す。そうすると益々自信がなくなり日本にいた時より会話力が低下したのでは と悪い方悪い方へと思いつめてしまいますが、まあそんな時もあるさと流すよ うにしています。 また新しい1週間が始まりますね。 日本はだいぶ暖かくなってきたので しょうか?それではまた。2 失敗からは学ぶものが多いです日本は新緑の美しい季節ですね。こちらシドニーは秋に向かってまっしぐ ら。日に日に寒くなっております。留学生活も早、一ヶ月半。英語をしゃべる 時は相変わらず、頭の中が英作文状態ですが、最悪だったホームステイ先を出、 越してきたオージー家庭は大変居心地が良く、ようやく本来の勉強に身を入れ られるようになってきました。 そんなわけで、このところかなり快調に日々過ごしていた私でしたが、先 日久々にドジをやらかしました。人の失敗談というのは、害のないものなら面 白く読んで頂けると思い、今回はそのドジ話について書きたいと思います。 ある土曜日、シドニーの中心地シティへ出て、NSW州の州立図書館で一 日リサーチをした時のことです。探していた本も見つかって、有意義に過ごせ たぞと気分良く帰路についていました。ここでふと「ティムタム」が食べたく なり、足を止めてしまったのがことの発端でした。「ティムタム」というのは オーストラリアに来た日本人の女の子は皆、ハマルと一部で言われているビス ケットです。チョコレート味のビスケットの間にクリームがサンドされ、さら に全体がチョコレートでコーティングされています。クラスメートから、「テ ィムタムを冷蔵庫で冷やして食べると激ウマだよ」と聞き、試してみたらやは り激ウマで、すぐにティムタム・アディクションになりました。 そのティムタムをゲットし、シティから家のあるイーストヒルズへ向かう 電車に乗ろうとしたのですが、ちょうど快速が出たところでしばらく電車はな く、おまけに次に来るのは鈍行でした。様々なバリエーションの中からどのテ ィムタムにしようか迷っていて、いつの間にか時間が経っていたようです。こ の分だとイーストヒルズからの最終バスに乗り遅れるのでは、、、という不安 は見事に適中しました。それなら仕方ない、ブレット(同居しているオージー) に迎えに来てもらおうと、電話をかけようとしていつも肌身離さず持っている スケジュール帳を今日に限って家に置いてきたことにはたと気づきました。電 話番号は一件も覚えられない私です。家は車で5分のところなので、それなら タクシーを呼ぶかと駅員さんに電話を借りタクシーを呼びました。が、しかし。 10分、20分、30分、いくら待ってもタクシーらしきものはやって来ませ ん。催促の電話をしてみても、「呼んではいるけれど、土曜の夜は忙しいんだ」 とにべもない返事。駅員さんまでも「タクシーはいつもなかなか来ない。みん な一時間や二時間平気で待っている」などと言うので、「冗談じゃない、私は こんなところで一人で待ちたくない。そんなことでは困る」と、駅員さんにい われのない八つ当たりをする始末。 ついに一時間経ってもタクシーは姿を見せませんでした。さっきから蚊の 大群も襲って来ているし、余計な心配をかけたくなかったので使いたくなかっ た手を使うことにしました。唯一暗記している電話番号―実家に電話してさり げなくこちらの家の電話番号を聞き出し、ブレットに迎えに来てもらい、家に 着いたのは9時過ぎ。大変な長旅でした。 網の目のように何十もの路線が交差し、分刻みにしかも時間ぴったりに電 車が来る東京。一方こちらは電車もバスも本数が少なく、よく遅れるし、時に は突然キャンセルされたりもします。今回はタクシーも使えないことがわかり ました。東京は女性が一人でも深夜まで行動できる街ですが、こちらはそれは 不可能です。上記のような不便さからだけでなく、防犯上の理由からです。街 は早々に明かりが消え真っ暗になります。とても怖くて一人では歩けません。 また電車も夜は酔っ払いやホームレス風の人達が多くなるのであまり乗らない ようにしています。どうしてもという時は乗務員が乗っている車両を選びます。 そういった警備上の理由でこちらはどの電車にも必ず乗務員付きの車両という のがあるのです。 ですから、こちらではどこへ行くにも時間たっぷりに余裕を持って出かけ ることになります。わかってはいましたが、今回のことでそれが身にしみまし た。今、その時に買ったティムタムを食べながらこれを書いています。失敗か らは学ぶものが多いです。3 ロレインのこと以前に、最初にホームステイをした家が、とにかくひどかったと書きまし た。いやあ〜、今思い返してみても本当にひどかったです。食事つきのはずが、 ホストマザーの都合で食事なしの日も多くあったし、出てきても彼女が勤めて いる学校の給食だったり、缶詰を温めただけだったり。おまけに、ものすごく 倹約家で夜になっても部屋の電気をつけないし。そして、私がもらった小さな 部屋には何故か大きすぎるダブルベットがあって、私はいつもカニのように横 歩きをしていましたし(笑)。ああそうそう、それに日本人の名前は覚えにく いのか、何回言っても彼女は私のことを“マキオ”と呼んでいました。最後の 方は、言い直すのも面倒くさいし面白いのでそのままにしていましたが。 しかし、♪人生楽ありゃ苦もあるさ♪との歌があるとおり、悪いことばか りは続かないもので、次に越した家、つまり今の家では、まさに私のロールモ デルと言える人に出会えました。今日は彼女、ロレインのことを書きたいと思 います。
ロレインこの家は、前述のホームステイ先にうんざりして、連日家探しをしていた 3月中旬、学校の掲示板で見つけた物件でした。学校から歩いて通えることと、 何より一緒に住むことになるロレインとブレットという親子が初めて会った時 に、変な感じが全くなくて、すごく自然にうちとけられたということが決め手 でした。ロレインは50代で、離婚していて、今は近くにあるTAFE(専門 学校のようなところ、ありとあらゆる技能が学べる)で、英語を教えています。 ブレットはロレインの3人いる子供の末っ子で、20代。人材派遣の会社で働 いています(お風呂上りに部屋の中で上半身裸でいるのをやめてくれたらいい のになと、女兄弟だけで育った私は思います。いい年して何を、とおっしゃら れそうですが)。 引越しの日、ブレットに車で荷物を運んでもらい、家に着いたらロレイン が急ピッチで家の大掃除をしていました。私を受け入れるということで、部屋 に大きな机を入れてくれ、卓上スタンドを取り付けてくれ、新しい寝具を入れ てくれ、と、いろいろと体制を整えてくれていて、それらがすごく嬉しかった のを覚えています。特にこの机のことは忘れられません。組み立て式の大きな ものを購入してくれ、3人で2時間位かかって組み立てたのでした。ロレイン もブレットも汗をかきかき(何故かこちらの人はよく汗をかきます)、ついに 立派な机が出来上がった時には、なかなか感動しました。ブレットは2回Tシ ャツを替えていました(笑)。 話が逸れましたが、ロレインは40代を過ぎてから一念発起して、再び勉 強したいと私が今通っているウエスタン・シドニー大学へ通い始めたそうなの です。その当時は長女と大学で同級生だったそうです。長いブランクの後学生 に戻るということ、家事との両立、家計の維持と、言葉にできない程の苦労が あったようです。毎朝早く起きて、ホテルの、それも汚い安ホテルの掃除をし てから大学に通っていたとか、家計が苦しくて近所のパン屋に勤めていた娘さ んにパンを分けてもらっていたとか、コーヒーを飲むお金さえなくて、ウエス フィールド(こちらの大きなショッピングセンター)には全く近寄らないよう にしていた等、聞けば聞く程それはそれは想像して余りある位です。特にその 前年、日本と取引のあったビール会社に勤務していた当時の夫とともに、1ヶ 月もの間日本を旅行していて、その旅行がとてつもなく豪勢なjunket(大名旅 行)であったこともあり、そのギャップがまたすごかったと、ロレインは笑い ます。そんなすさまじい努力の結果、彼女は8年かかって大学を卒業し、教師 になりました。 今の彼女を見ていると、その時の苦労やつらい思いが全て成果となり、ま た自信となっていると思うのです。 ご存知のとおり、この国は移民の国(a country of immigrant)です。 ロレインがTAFEで教えているのは、そう いった新しく移民としてこの国にやってきた人々が殆どのようで、彼女は自分 の生徒に「私は、40歳を過ぎてから8年間必死に勉強して教師になれた。だ から安定した仕事がある。あなた達も今しっかり英語を身に付け、自分に投資 をすれば将来必ずそれが結果になって現れる」と、言い聞かせているそうです。 しかし、彼女の人生がロールモデルであるのは彼女の生徒だけではありま せん。やってもやっても追いつかない、山のような課題、読むべき本の数々、 一向に上達しない英語。そういったことも、ロレインと話すと自分などまだま だ甘い、彼女が通ってきた道に較べれば、苦労とも言えない状況じゃないかと 思うのです。だって、お金はそんなにないけれど、自分のことだけ心配して、 存分に勉強できる身分なのですから。 事情があって、その後ロレインは離婚しましたが、やりがいある仕事を持 ち、自信に満ち溢れている彼女と日々接していると、“努力は報われる”とい う言葉が浮かんできます。早朝バイトの名残なのか、彼女は今でも早起きでい つも5時には起きて新聞を読んだり、庭仕事をしてから学校へ行っています。 私も一大決心をして決めたこの留学が、この先の人生において、ささやか であっても成果となって現れるように、この一年自分に精一杯の栄養を与え、 今、できる限りのことをしたいと思うのです。4 フェイシャル・パーティー参加こちらに来て間もない、まだ知り合いが殆どいなかった頃にN氏の紹介で 会った、中国人のジュリンと彼女の同僚のフィリピン人のアニー。特にアニー はその後も頻繁にメールをくれては遊びに誘ってくれていました。お互いの予 定が合わなくてそれはなかなか実現しなかったのですが、学期中休みが始まっ た4月最終週、アニーが“フェイシャル・パーティー”なるものを開くという ので、行くことにしました。 アニーの家に着き、さてこれからどんなことが始まるのかとわくわくして いると、そこへ黒のパンツ・スーツと白シャツでビシッと決めた長身の女性が、 大型のスーツケース他大荷物を抱えてやって来ました。171cmの私が見上 げる位ですから180cm近くあるであろう彼女は、アニーと挨拶を交わした 後、スーツケースから大小様々なクリームやら化粧水を取り出して、手際良く セッティングをしています。興味津々の私は、準備中の彼女にいろいろと質問、 その結果今日のフェイシャル・パーティーとは nutrimetics 社というオースト ラリアの大手自然派化粧品会社の出張ワークショップのようなもので、彼女、 ジャネットはその会社の販売員である、といったことがわかってきました。今 回、既に同社の顧客であるアニーがホステス役となって自宅でのワークショッ プを開いたというわけです。ダイニング・テーブルの上に人数分の道具をセッ トし終えたジャネットは、今度はサイドテーブルに同社のアロマセラピー関連 商品等をディスプレイしています。これが大変華やかな雰囲気を醸し出し、ま た商品を実に効果的にPRしていて、うまいもんだなと感心して見ていました。 そのディスプレイの一角に緑色のボトルがあり、良く見ると“INE.KAR I”とラベルにあります。・・・うん!?“稲刈り!?”と、ジャネットにパ ンフレットを見せてもらうとやはり思ったとおり、お米の成分である、オリザ ノールが含まれていると書いてあります。それにしても、“稲刈り”とは・・ ・もっと良いネーミングがあったろうにと思うのは私だけでしょうか。 さてさて、そうこうしているうちにジュリンと彼女のお姉さんもやって来 て、いよいよフェイシャル・パーティーの始まりです。参加者はアニー、アニ ーの一人娘のクリスティン、ジュリン、お姉さん、そして私の5人です。それ ぞれヘアーバンドで髪をまとめ、先ずは一人一人自己紹介。続いてジャネット が会社と商品の説明をボードを使って説明していきます。さらに彼女は、“な ぜ私は nutrimetics 社で働くのか” について語り始めました。“お客様のた め”、“会社の発展のため”と、ここまでは日本の会社でもお馴染みですが、 面白いと思ったのが、“幼い二人の子供を育てるため”という彼女独自の動機 づけが入っていたことです。もちろんボードは手作りで、彼女の8ヶ月になる かわいい男の子の写真が切り貼りされています。こういうところが同じ女性の 共感を勝ち得るのにつながっているのでしょう。さらに説明は続きます。“次 はあなたがビューティー・ワークショップのホステスになる番です”ジャネッ トは、「ホステスには$99相当のメイクアップコンパクト他、 基礎化粧品 セットが贈られます」と言いながら、アニーにそれらのプレゼントを手渡しま した。 見るとコンパクトはリップやチーク、アイシャドウ等、10種類近く 入っていてかなり立派です。そして、「お友達には今日はハンドクリームのプ レゼントがあります」ここで皆一様に嬉しげな表情になりました。続いて「ホ ステス役はpamperされます」とジャネット。pamper!?マッキー の辞書にはpamper=甘やかす、という情報しかありませんでした。一体 アニーは何をされるんだろう?? 疑問を抱えたまま、実践編へ突入です。それぞれお肌のアンケートに答え、 それによって適した商品を紹介されます。12才のクリスティンはティーン向 けのアプリコットシリーズ。私は興味を示したからか、当然のように“INE. KARI”シリーズ、他のみんなも肌のタイプに合ったものを使って、先ずは メークを落としていきます。すっぴんになるのはなんとなく恥ずかしいな〜と、 辺りを見回すと、アニーがなんとも気持ち良さそうにジャネットにメイクを落 としてもらっているではありませんか。ほほう、pamperとはこの場合、 厚遇されるといった意味なのですね。 ひととおり実践編が終わると、今度は個別のカウンセリング・タイム、つ まり“お買い物タイム”です。驚いたのがみんな気前良く購入していたという こと。こちらにある日本語情報誌に、「日豪プレス」というメディアがありま す。先日そこで資生堂オーストラリアの社長がインタビューに答えて、「この 国の人々の、ファッションにあまりこだわらない、化粧品にあまりお金をかけ ないという国民性で、かなり苦戦をしいられた」と語っているのを読み、それ は私が日々接している人々の印象と全く重なるものであったので、今日のお買 い物タイムでのみんなの気風の良さに、この国の多文化性、何につけても物事 をこうだと言い切れない複雑さを改めてかみしめめました。 最後にアニーが用意してくれた、フィリピンの手作りお菓子とお茶をみん なでいただき、解散。こうした出張講習会は、nutrimetics社の他にもエイボ ン等数社が行っていて、ジャネットのように多くの女性が副業で活躍している ようです。「あのコンパクトが欲しくてパーティーを開いたの。マキコがホス テスになる時は私も参加してあげるわ」と、アニー。彼女はなんとも愛すべき キャラクターをしています。こちらに来てから、マッキー自身もおしゃれには 全く構わなくなっています。だから素敵な出会いが皆無なのね・・・と、“I NE.KARI”でも使って少しはお手入れをしようかしらと思った午後のひ と時でした。5 裸足とハイヒール郊外に住み、郊外の大学に通っているせいか、日々接するこの国の人々は きわめてナチュラル。お洒落には頓着しない人々ばかりです。キャンパスの学 生達は化粧っ気はないし、服装もTシャツかカットソーにジーンズ。もちろん ブランドものは殆ど見かけないし、香水の匂いもしません。 こんなことがありました。今住んでいる家では、週末にみんなで近くのス ーパーへ、食料品の買出しに行きます。ある日のことです。ロレインと先に車 で待っていると、「お待たせ〜」と運転席に乗り込んできた、ブレットの足は 裸足! 別にこの車がドキン(土足厳禁車)というわけではないのです。びっ くりしましたが、その後も近所にちょっと買い物に出かける位の時は、彼はい つも裸足なのだとわかりました。彼が特別変わっているというわけではなく、 例えば近くのテイクアウトのピザ屋に買い物に来ている人も、足元を見るとフ ツウに裸足だったりするのです。私などは、変なモノでも踏んづけたらどうす るのだろうと、ついつい心配してしまうのですが、、、。 そんな中、先日、ウイークデイにシティに行く機会がありました。それま では、週末、会社が休みの時にしか来た事のなかったシティでしたが、今日は ビジネスマン、オフィスレディがいるわいるわ、、、。ここ数ヶ月殆ど接して いなかったスーツに革靴・ハイヒールの人々。歩く速度も速く感じられます。 お昼時とあって、カフェには人々が集い、話声が響き、笑い声がこだまし、ま さに都会ならではの人々の活気に満ちていたのでした。郊外のまったりした雰 囲気よりも、私はこの活気の方が好きなようです。 10年近く勤めた会社を辞め、シドニーでの留学を始めたマッキーです。 引越しの際、収納場所に困ったこともあってスーツを20着、パンプスも5〜 6足余り処分しました。そういえば、スーツを着なくなって、そろそろ1年に なるんだわと、会社勤めの頃をふとなつかしく思い出していたのでした。6 大きい!日本の22倍の国土に、1900万余りの人々が暮らすオーストラリア。 東京の人口が1200万人であることを考え合わせると、その大地の広大さと 人間の少なさに改めて思いが及びます。 スケールの大きさは、日々の生活の中でもしばしば具体例に出くわしてい ます。いつだったか、クラスメートが「こっちのクモはでかいで。人の頭ほど もあるんよ」と言うので、それは絶対関西人の彼のネタに違いないとタカをく くっていたのですが。。。確かに大きいです。先日、ノートパソコンの上をそ ろそろと歩いている巨大クモを目撃。フロッピーのサイズを優に越える足の長 いクモです。ムシ系が大の苦手なマッキーは息が止まる思いでロレインに助け を求めたのですが、この巨大クモ、人を噛むこともなければ、毒もない、いた っておとなしい性質のクモらしいのです。クラスメートの話はやはりネタだっ たかと思いながらも、この大きさにはやられました。 大きいのは生き物だけではありません。大学への通学途中のことです。後 方から、「ぐらわん、ぐわらん」とものすごい大音響が轟いてくるではありま せんか。何事かと振り返ると、そこには1台の巨大なゴミ収集車。道路沿いに 出された各家々の大型ゴミバケツを、車の側面から垂直に伸びたクレーン式の 手が、器用につかんでは車の頂上へ振り上げ、中のゴミを振り落として集めて います。ゴミバケツを大きな手が「ぐわしっ」とつかんで、「ゆっさゆっさ」 とバケツを振る様はなんともダイナミック。思わずしばらく後をつけて、その 巧みな技を堪能してしまったほどです。 この日の夜のことです。ブレットが、「今日は朝方、あのうるさいゴミ収 集車が来なかったから、よく眠れたよ」とロレインに言っています。いつもは 朝方5時頃来ていたようなのですが、毎日熟睡していたせいか、私は今日まで 全く知りませんでした。「それなら今日の午後見たけど、いやあ〜、あれには びっくり! 日本はもっと小型の収集車に2〜3人の作業員が乗り込んで人力 で回収しているんだ」と日本のゴミ収集事情を話すと、「オーストラリアもつ い最近まで同じように人力でゴミを集めていた。でも、作業員がケガをするケ ースが多く問題となっていたので、あのゴミ収集車を導入したんだ。アメリカ の例を真似たんだよ」(注:もちろん地域によって回収の方法は様々です)と ブレットが教えてくれました。 日本にもこんなゴミ収集車があったら、、、と、一瞬考えましたが、住宅 地の入り組んだ路地を思い、すぐに断念しました。こちらでは、どの家も区画 整備された広い道路に面しています。あのゴミ収集車はそういった立地環境な らではの産物なのでしょう。また何か、大きなものに遭遇したらご報告したい と思います。7 癒しのカプチーノこちらに来て、見つけた美味しいものは枚挙に暇がありません。前述の大 失敗の元凶ともなったティムタム(最近、酷似する類似品を売り出した会社が あり、裁判沙汰になっています)、サルタナと呼ばれる種無しの白葡萄(皮ご と食べられるので、ムシャムシャやっているとつい止まらなくなり、葡萄だけ の食事にしてしまったことも何度か、、、)、安くて種類も豊富なヨーグルト (バニラヨーグルトが目下のお気に入り)、Linseed & Soybeans bread (亜麻仁=亜麻の種と、大豆がたっぷり入った食パン。亜麻と大豆の歯ざわり が最高)、ワイン(高価なものはもちろんですが、$10ドル程度でもしっか りとした味と香りのするワインが手に入ります)、粒ごと入ったブルーベリー ジャムに、それからそれから、、、。 書いていて、本当に美味しいものがこの国には沢山あるな〜という率直な 思いとともに、「うっわ〜、私ってばなんかすごく食いしん坊みたいじゃない の。こんなことだから、素敵な出会いが一向に訪れないのね」という忸怩たる 思いで一杯になったのでした。「遊びに行くときには素敵なオージーの王子を 用意して置いてね」と数人の友人から仰せつかっているのですが、それも反故 になりそうです。 友人達には済まないと思いつつも、きっとこの先も私は美味い出会いを求 め続けて行くのでしょう。要するに食いしん坊なんですね。今日は今まで出会 った一番の美味しいもののことを書きたいと思います。 オーストラリアはカフェ大国です。シティを歩けばあちらこちらにカフェ が軒を連ねています。“Michel’s patisserie” “Gloria Jean’s” といっ た大手のチェーンでは必ずスタンプカードを備えていて「9杯のんだら1杯は ダタ」的なサービスを提供しています。日本にいた時から、この手のサービス (スーパーのポイントカードから、クリーニングのタック集め、果ては買い物 袋持参に至る。ああ、なんて小市民的なんでしょう)を好んでいた私としては 大歓迎の心配りです。 私のお気に入りはカプチーノ。カプチーノ・マシンで濃くいれたコーヒー に蒸気で温めて泡立てた牛乳を注ぎます。スプーンでふんだんに泡をのせるの がポイント。チョコレート・パウダーを振りかけて出来あがりです。スモール だと2ドル前後。ラージサイズでも3ドル前後です(1豪ドル=約70〜80 円)。来た当初、私はこの泡が嫌いでした。そもそも、泡というものが嫌いな んですね。実はビールが嫌いなのも、半分は泡のせいです。それなんのに、店 員さんが最後の仕上げにこんもりと泡をのせてくれている瞬間、「その泡はい らないっ!」と言いたいのに言えないでいるうちに何度か泡付きカプチーノを 飲む羽目になったわけです。それが慣れとは不思議なもので、何度かそんなこ とを繰り返しているうちに、泡のなんともまろやかな風味とコクにはまってし まい、今ではもう泡なしのカプチーノなんて考えられない位(ちと、大袈裟で すね)、強度の泡好きになってしまいました。泡の下の熱くて苦味のあるコー ヒーがまたたまらなく美味しいのです。泡なしのカプチーノはFlat Whiteと言 うのだと知ったのは泡好きになった後のことでした。 どこでもカフェはあるし、使っている豆がそう違わないからなのか、どこ で飲んでも味は殆ど一緒です。また気軽に飲める値段ということもあって、私 は日に何度もカプチーノを手にしています。手帳を掏られた日も、授業で当た って上手く訳出が出来なかった日も、翻訳会社のトライアル試験に落ちてうな だれていた日も、待ち合わせが急にキャンセルになった日も、待っていた便り がようやく届いた日も、ようやく少し分かり合えたねと嬉しくなった日も、先 ずは一杯と、気付け薬のようにいつもカプチーノを飲んでいたなと思うのです。 私にとっての癒しの味、なんでしょうか。煙草やお酒に同じような役割を求め ている人もいると思います。ちなみに煙草はこちらでは9ドルから13ドル とかなり高価です。 日本とは違って包装に記載されている注意書きも “Smoking kills you”とかなり強い表現になっていますし、印刷のフォント も製品名かと思う位な大きさです。お酒のほうは、多少のワインを除いては飲 まなくなりました。学生時代仲間内では飲める人と見なされていましたし、勤 めていた会社でも女性で飲めるのは貴重な存在だったのか飲み会にはよく誘わ れました。会社を辞めて以来、宴席にも縁遠くなったせいか、今では弱いと言 うより飲めないと言った方が正確な位、体調が変わりました。ほんの少しワイ ンを飲んでも3〜4日残るようになってしまいました。以前は一晩にワイン一 本+αは軽かったのに。 なんだか、美味しいものの話のはずが、嗜好の変化について書いています ね。なんでこうも大きく好みが変わるものなんでしょうね。「それは年をとっ たからなんだ」と、うっすら自分でも気づいている原因についてN氏に鋭いつ っこみを入れられない内に、今回はこの辺で失礼します。8 繊細な兄と豪快な弟同居しているロレインとブレット親子。ロレインにはブレットの他に子供 が2人います。長女のスーザンは近所に婚約者と共に近所に住んでいて、よく 訪ねてきます。もう1人は長男のギャビン。彼は高校、大学、そして社会人時 代と3度に及ぶ日本滞在歴があるのです。考えてみると、ロレインが1ヶ月間 日本を旅したことがあることに加え、日本に縁のある家庭に巡り合ったわけな んですよね。彼は、アクセント、イントネーション共に完璧な日本語を話しま す。敬語も見事です。彼はシティ近くに1人暮しをしているのですが、3月上 旬ここに越してきて以来、電話では何度か話してはいましたが、本人にお目に かかるチャンスがなく今に至っていました。 そんな折、ある日の夕方ロレインが、「今日はギャビンが泊まりに来るの」 と言います。なんでも彼は新しく車を購入するらしく、ブレットと共に販売店 へ車を見に行くのが帰宅の目的のようです。楽しみに待っていると、ギャビン がやってきました。オージーにしては小柄で、繊細で知的な印象を受けます。 ちょうどその時、先日私が授業の一環で裁判の傍聴に行ったことに端を発しロ レインに陪審の仕事をした時の顛末を聞いていたのでした。ギャビンも加わっ て陪審員という任務の重責さに話が及んでいったのですが、ギャビンは何か発 言する時も「これは今の話とは少し関係ないけど、、、」などど言って、控え めに、しかし非常に興味深い話題を提供するのです。ブレットなら、そんなこ とには頓着せず、豪快に話題を展開させるところです。 オージーの多くはブ レット・タイプだと思います。 こちらに来て、こんな奥ゆかしいオージーに会ったのは初めてだ〜、 オージーにもいろいろなタイプがいるのね、 などど認識を新たにしていると “How’s it going ? ”と、いつものように陽気にブレットが帰ってきました。 ブレットは色白で大柄。仕事用の分も含め、携帯電話を3台持ち、それらはい つもひっきりなしに鳴っています。 スポーツが大好きで、よく興奮しながら フットボールの試合などをTV観戦しています。いかにも豪放磊落といった小 事に頓着しないタイプです。 2人並べて見ると、いよいよ2人の対照的な個性が際立ちます。これほど 外見が似ていない兄弟に会ったのも久し振りのことです。それにしても実に仲 の良い兄弟です。電話でもよく話しているようでしたが、会うのは久し振りの ことだったのか、握手をしあっています。 先月揃って誕生日を迎えていた2 人はお互いプレゼントを交換しあっています。 ギャビンからブレットには、 ジャッキー・チェンのDVD「シャンハイ・ヌーン」、ブレットからギャビン には近くガールフレンドとイタリアへの旅行を計画している彼のために、著名 なTVキャスターが著したイタリア旅行記が、それぞれ贈られました。趣味も 全く異なりそうな2人ですが、相手の趣向をするどく捉えて相応しい贈り物を 選んでいるんですよね。 ブレットも加わって裁判の話から、様々な犯罪について話題が進みました。 「オーストラリアでは、一定量までの飲酒をしての車の運転は認められている」 ことについて、私が「日本ではとても考えられないことだ」と驚いて見せると、 「この国では1983年まで、飲酒運転に関してはなんの法律も存在しなかっ た」と、とんでもない事実を聞かされました。さすがに交通事故が多発したた め、法令が施行されたようです。恐るべしオーストラリア、です。 日本では、“If you drink, don’t drive”(飲んだら乗るな)とのスロ ーガンの下に飲酒運転を厳重に取り締まっていることに触れると、「ニュージ ーランドでは、“If you drink, don’t fry”と言うんだよ」とギャビン。一 同、”don’t fry”とは何ぞやと、頭を捻りましたがわかりません。ギャビン によると、「ニュージーランドには、オーストラリアのように、take away shop(お持ち帰り用の食べ物を売る店)が沢山ない。だから、お酒を飲んで帰 宅した1人暮しの男性が、ちょっと小腹がすいたから何か作ろうと、揚げ物な ど始めることも往々にしてある。お酒を飲んでいるからついうとうとして、揚 げ物を始めたことを忘れてしまい、油に引火して火事になることが多いらしい んだ。だから、“飲んだら揚げるな”というわけだよ」とのこと。「fryって、 そういうことか」「なんか侘びしい〜」と、みんなで大爆笑です。 この後も、ロレインが日本での旅程を線で辿った日本地図を眺めながら、 彼女の旅の思い出や、ギャビンの日本留学時代、九州で会社に勤めていた頃の エピソードやら、楽しい話が沢山飛び出し、私達は夜遅くまで笑いの渦の中に いました。久し振りに家族の団欒のひとときを過ごしたような思いがしていま した。この人達と巡り合えた幸運に感謝しつつ、その夜は暖かい思いで床に就 いたのでした。.もどる次へ
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