華 南 の 旅 雑 感 上田ゆきお今夏は、グループで5泊6日の中国の旅に出かけました。私はこれで5度 目の中国ですが、機会があれば一度華南へ行ってみたいと思っておりました。 今回は広東省の広州市、広西壮族自治区の桂林市、雲南省の昆明市へ行き ましたが、中国という国は何回行ってもとてつもなく広い国で、確か雲南省だ けで日本の面積と同じくらいと聞きました。まるで小人の国からガリバーの国 に行ったみたいです。国境をベトナム、ラオス、ビルマなどに接しているため 出入国手続きも念入りでした。黄金の三角地帯からの麻薬密輸の関係もあるの か、靴までも脱がされて検査されました。 バスの窓から見る街並みは近代的な高層建築が多く、見上げるようなビル が建ち並んでいます。どこも建設ラッシュで、近頃の日本には見られない活気 や勢いを感じます。高速道路建設現場でも日本で見られる建設重機はほとんど 見られず、スコップで大勢の労働者が働いています。これも賃金が安いことや 雇用の確保のためだと思います。また、市や国家事業でばかでかい公共建築物 をどんどんと作っており驚くようなものばかりです。2008年のオリンピッ クに向けて一層計画的な街づくりが為されることでしょう。 さて、改革開放経済以後、人々は金、カネ、かねで、なりふり構わずカネ 儲けのため、特に物売りはしつこく観光客につきまといます。また、現地ガイ ドも盛んにマッサージ店や政府系経営の中国茶店、漢方治療の病院、博物館、 翡翠店へ案内しようとします。誘いに乗って行きますと結局のところ物売りな のです。ガイドは導き料を手に入れるという構図なのです。こちらは観光が主 なのにショッピングをさせられている感じで嫌な思いをしました。中国人は商 売上手で、巧いこと言って買わせる才があるような気がします。「太貴了!」 と言って値切ると、段々と値を下げてきますから本当の値段はどれくらいなの か考えてしまいます。それに、手先の器用な中国人は、偽物の骨董品を作るの が上手で古さを巧妙に出しているので、余程見る目がないとて手が出せません。 ところで、多くの観光地を巡りましたが特に印象深かった所は、桂林での 漓江下りが圧巻で、真に山水画の墨絵の世界でした。小雨に煙る漓江を客船で 5時間かけてゆっくりと下りましたが、両岸に展開する山々は奇岩が水に映え て実に素晴らしく、うっとりとさせられました。時々川縁に竹筏に乗った老人 が釣り糸を垂れていたり、少年が家鴨の群を追っていたり、子どもたちが群れ て田螺を獲っていたり、少数民族の家が散見するなど観ていたら何か時間が止 まっているようで、今仮に杜甫や李白が突然現れても何ら不思議な気がしない なあと思ったほどでした。悠久の時の流れを実感したほどです。 次に昆明での石林、これがまた素晴らしく地上に石のビルが聳え立ち、大 自然の造形美に暫し心を奪われました。夥しい数の石柱がまるで命を持って成 長し続けているのかと錯覚するくらいで、石林というネーミングそのものでし た。その他、畳彩山、芦笛山、七星公園、像鼻山、円通寺、西山龍門、華亭寺、 東寺塔などを観て回りました。 話は変わって、街中に国民啓発の「発展」「振興」「万歳」「国家」とい うような文字があちこちの壁に大書されており、国家としてのアイデンティテ ィを感じます。目標に向かって進んでいるようにも思います。今の中国は急激 な発展の陰に、いろいろなアンバランスや不安定要素を持った国だと思います。 が、そんな国情を見るのがたまらなく好きなのは、どうしてだろうかと自問自 答しています。やはりある意味で安定した日本と比べて驚くことが多く、国の バイタリティや人々に物凄い活力を感ずるからなのかなあと思っています。そ れに中国の自然、歴史、文化財、風俗、習慣、生活文化などどれをとっても興 味深いものばかりです。今回の旅で一番興味深かったのは、少数民族の存在で す。次回はタイ族、イ族、サニ族、ペー族、ミャオ族などについて文化人類学 の側面からもっと深く知りたいと思っております。
北京/上海 タウン&マンウオッチング 上田ゆきお中国旅行をして帰って来ました。今回はスルーガイドは居なく、道々多少 の不安も有りましたが、ま、さしたるトラブルもなく無事に戻って来ました。 でも、日本も中国も何で入国検査官はあんなに無愛想で威圧的なのかと頭に来 ました。もっと親切に分かるように言ってくれたらいいのに。言葉が多少なり とも通じたから良かったものの、あれ通じなかったらどうなったものかと思い ました。今回の旅行で思ったり感じたりしたことを書いてみます。当たってい ないことも多いと思いますが・・・ 【食べ物】 中国人は、机と飛行機以外は何でも食べると言われるほどで、料理の食材 は豊富のようです。でも今回も、行くところ行くところで同じような物が用意 されていて、円卓に食べきれないほど皿に盛って次々と運んで来ます。ですか ら、旅の終わりになると、皆が調節して食べたほどです。油で炒めたものが主 体で、デザートは決まって西瓜を薄切りにした物が出てきました。以前の旅行 では、宮廷料理や薬膳料理だったので、珍しいものばかりでした。サソリの天 ぷらとかラクダの足の裏(肉球)などで、体にいいというので、食べました。 ペキンダックは有名で、食べ方指南の後食べましたが、これはイケル。旅も終 わりになると、日本食が恋しくなり、うどんや醤油を求めて町に出ましたが、 探すとあるものですねえ、日本人がやっているお店。穀類の内、お米は採れな いので輸入しているようですが、長粒米のようです。13億の人口の国ですか ら、近い将来はきっと食糧難になる国だと思います。ビールは、燕京・青島・ 上海ビールなどの地ビールですが、何故か薄味の感じです。 キリン・アサヒ ビールもあって合弁会社で作っているのですが、こちらは美味い。でも、値段 が割高です。やはり、日本人には日本食が一番! 【観光地】 どこの観光地に行っても、人が多くってムンムンしている感じでした。あ のしつこい物売りの人た ちも姿を消している感じで、拍子抜けでした。これはきっと規制がかかってい るのでしょう。万里の長城では狭い通路に、大勢が上り下りしているので体が ぶつかってしまいます。大声でしゃべっているので、うるさいくらいでした。 高い所に到達して風景を眺めると、秦の始皇帝からの城壁が延々と続いており、 よう作ったなあと思うと同時、建造する過程では皇帝に人民が労役を搾取され たんだなあと思いました。でも、これが今となってはピラミッドと同じく大き な観光資源になっているんだと思いました。天安門、紫禁城(故宮)、上海の 老街、外灘など歴史を感じました。そんな中で、上海の近代的なビル群はまる でSFの世界を見ているようでした。10年前の景観とは全く違っていました。 中国の勢いを感じました。 【市街地】 以前に行った中国とは違って、臭い、汚い、埃っぽさはあまり感じません でした。車も多くなっていて、道路もずいぶん整備されてきております。建物、 道路などスケールが大きく、日本はミニチュアだなあと思うことしきり。土地 が国家のものですから、思い切って都市計画が出来るのでしょうねえ。上海で は、今から市内に100以上の大規模な公園を作り緑を増やしていく計画が進 んでいまして、日本では考えられない都市計画だと思いました。2008年の オリンピックで街中がそのムードだろうと予想していたのですが、そんな感じ はしませんでした。これからオリンピックに向けて計画的に街づくりが為され ることでしょう。そして人々は金、カネ、かねと金儲けに一生懸命になること でしょう。また、笑顔を見せない中国人女性にもサービス精神が出てきて、ニ コニコするようになるかな。いずれにしても、見て回る範囲では立派な建物が 多いと思いました。 【土産物】 初めて行った人は、いろいろな土産物を買いますが、2回目からは欲しい 物がありません。買って帰って人にあげても喜ばない物ばかりだと思うのです。 ま、掛け軸、書道用具、絹織物、絨毯、玉、焼き物などでしょうねえ。今回は、 中国茶を主に買って帰りました。中国人は商売上手で、巧いこと言って買わせ る才能があるような気がします。その口車に乗って買っている日本人を多くみ ました。「太貴了!」と言って値切ると、段々と値を下げてきますから、本当 の値段はどれくらいなのか考えてしまいます。それに、骨董品などは、偽物を 作るのが巧く古さを巧妙に出しているので、余程見る目がないとて手が出せま せん。 【建造物】 北京・上海では高層建築物が多く、見上げるようなビルが建ち並んでいま す。建設ラッシュで、活気や勢いを感じます。ホテルの窓から見ますと建設中 のビルのてっぺんにクレーンがあちこちにあり、数えて見ますと11ありまし た。近頃の日本には見られない風景だと思いました。基本的に地震のない国で、 土地は国のものですから、思い切ったことが出来るのでしょう。日本は、そう はいきませんね。ばかでかい公共建物(博物館、美術館など)を国家事業でど んどんと作っておりますが、入ってみると驚くようなものばかり。でも、館内 やホテルのエスカレータやエレベーターは、日本製や日本との合弁で作ってい るものが多いようでした。自動車は、ホンダ、トヨタ、フォルクスワーゲンが 町をよく走っていました。 【国家】 街中には、「発展」「振興」「万歳」「国家」というような文字があちこ ちにあり、国民を啓発しているようです。国家としてのアイデンティティがあ り、目標に向かって進んでいるように思います。それに比べて我が国は、価値 観が多様化して何をやるにも、反対反対でまとまらない国だと思います。一本 筋の通った日本になって欲しいものです。日本は目先のことを繕う国で、外交 も下手くそで、隣国から文句を言われるとオロオロするし、訪問しては頭をな でられて帰って来る閣僚の多いこと。毅然とした外交をして欲しいと思うのは 私だけではないでしょう。このまま行くと、いずれ中国に飲み込まれてしまう のではないかと心配するほど、中国の発展振りには驚きます。でも中国は、不 安定要素を多く含んでいる国でもあると思うのです。改革開放経済が一段と進 み周辺部と沿海州の人々の所得格差、共産主義集団指導体制がいつまででも持 つか、人口爆発に対しての食糧難が来ないか、インフレは進行 しないか、80余りの民族の統一が保てるか、各地の解放軍区の内乱は予想さ れないか、などなど。しかし、公安警察や軍事警察が町中のいたる所に居るこ と。元々法律を守らない国民ですから、人が取り締まっているという感じです。 日本は法治国家ですが、まだまだ中国は人治国家だと思います。もどる