木護りを 見上げて想う 合柿 


わが社の前に柿が成っています。もう葉も完全に落ちて照柿色から熟柿(じゅくし)色になったままぽつぽつとぶらさがっています。原宿の明治通り沿いにある長泉寺というお寺の門前にあって、ものすごく目立っていると思うのですが、誰も気にかけない。それどころかその存在すら知らないようです。社員に知っているかと聞いてみても、みんな「うっそー」と信じない。目の前にあるのにですよ。ウィンドウは見ても誰も原宿の空なんかみないんでしょうね。 


前後の街路樹はプラタナスです。これは渋谷から表参道にかけてずっと並んでいるのですが、なぜか途中に一本だけぽつんと柿の木がある。不思議な存在感なんです。

誰か採ろうとする人はいないか、柿を見上げて話題にする風情のある人はいないのかと、ときどき会社の窓から下を見下ろして観察しているのですが、一度もそんな余裕を持った通行人を見かけたことがありません。

なぜなんでしょうねえ。手が届くような高さではないからなのでしょうか、いつまでもぶら下がったまま……。

なのに気がつくといつの間にか消滅しているんです。きっと小鳥たちがデザートにしているんでしょうねえ。

注意深く観察すると、ヘタのまわりが食い散らかされているのがわかります。

"木護り"が去る前に一度食べてみたいのですが、よじ登って採るのも恥ずかしいし、かといってわざわざ高枝鋏を買ってまですることでもないし……。

なんかうまい方法はないもんでしょうかねえ。

【木護り】=来年もよく実るようにというまじないで木に取り残しておく果実。
【合柿】=柿売が渋柿を甘いと偽って売ろうとして客に疑われ、甘そうに食べて見せるのに苦労する狂言のひとつ。 


Posted @ 土 - 12月 20, 2003   01:35 午前
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