デルとアスクルの経営的共通点は顧客志向にあり
新装開店したCNET
Japanを遅まきながら覗きにいったら興味深い話があった。「
拝啓マイケル・デル様、顧客サービスを見直してください
」というコラム(John
Dickinson著)だ。それは、なぜデルがコールセンター業務の海外アウトソースを見直す意向を発表したのか、その背景を語ることによって実はデルの急成長を支えてきた顧客サービスの質の低下を具体的に指摘する構造になっている。顧客の視点でビジネスを見ることを象徴するような話だった。
著者が書き出しに書いているように、デルの急成長を支えてきたのは"迅速で質の高い顧客サービスの提供"だった。しかし、コールセンター業務をインドにアウトソースすることで、利益効率はよくなったかもしれないが、サービスの質は低下し、ユーザーのメーカーに対する期待、つまり迅速なサービスが失われてしまった。それを顧客としての視点で具体的に指摘しているのだ。
顧客がメーカーに期待するサービスとは、機能、価格、デザインだけでない。それをいかにすばやく届けるかも期待のひとつである。そうした顧客の視点でビジネスを捉える姿勢を失ったとたんに、消費者はより質の高い、納得のできるサービスを提供する企業を探して離れ始める。ましてや、今はネット社会だ。あっという間にネット上でサービスの低下は全世界に伝播し、あそこはやめた方がいいということになる。
このコラムはコンタクトポイントにおける企業姿勢がいかに企業イメージに影響を与えるかを示唆している。そういう意味で、「
拝啓マイケル・デル様、顧客サービスを見直してください
」は秀逸のコラムだ。是非、お読みいただきたい。
ところで、別にデルだけがこうした顧客の視点に立ってビジネスを構築しているわけではない。日本にも似たような発想で構築されたビジネスがある。岩田彰一郎社長の率いるアスクルだ。いまさらアスクルについて説明する必要はないだろう。そのアスクルがもうじき新しいビジネスをスタートさせるようだ。ジャンル的には医療用サプライ用品だ。おむつや、ガーゼや、医療現場で使われるコモディティ用品を注文の翌日にはお届けしますというサービスらしい。文房具を買う現場で起こっている現実の問題を解決すること。つまり顧客の視点でビジネスを構築すること。それを何を考える場合でも基本としてきた岩田社長は、今回もまた同じ視点で、ただしちょっと異ジャンルで文房具のアスクルと同じサービスを展開するらしい。
おそらくこのサービスも、注文してもなかなかこない医療用サプライ用品を、即お届けしますというビジネスコンセプトで展開するのだろう。医療の現場では、治療や薬や血液だけが緊急を要するわけではない。実は病院のトイレット・ペーパーから、医師、看護婦の白衣にいたるまで、いろいろと必要なものがある。それを、必要な量に応じて、必要なときに届けることができれば、何かと便利である。病院をはじめとする医療の現場は円滑に運営される。そこに注目し、それを実現することがアスクルの新しい展開のようだ。
再びデルに戻ってたとえれば、パソコンの機能やパワーにニーズと競争力がある時代が終わった。その後に残されたものは、欲しいと思ったときに欲しいもの(機能・価格・デザインなど)をタイミング良く手に入れるというところに消費者の商品選定ニーズは移動している。そこにデルは注目しビジネスの展開軸を変更した。
それと同様なことをアスクルは今再び挑戦しようとしているように僕には思われる。岩田社長は偉い。ただし彼が突出して偉いのではなく、そうした顧客のニーズの微妙な変化を読み取って、それを具体的なシステムとして提供する姿勢が偉いのだ。ビジネスがうまくいかないと悩む経営者は、その原因を追及するに際して、社員の能力やマネジャーたちのマネジメント能力を疑う前にまず自分の経営姿勢を疑うべきである。顧客の視点でビジネスを構築しているかと。
しかし、そのアスクルですら、デルと同じ失敗を繰り返すかもしれない。岩田社長よ、まずこの書き込みを読むことはないと思うが、John
Dickinsonがマイケル・デルに投げかけた視点を失わないで欲しいと僕は切に願う。
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水 - 1月 7, 2004
06:14 午後
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