2000.01.25
儚くも哀しい次男のペットじゃ!!


今回は、儚くも哀しいお話ですじゃ。
皆さん、タオルをご用意してお読みくだされ。タオルでは足りないかも知れましぇん。洗面器もお側に置いていただければ完璧ですじゃ。
では、聞いてくだされ。

わが家は4人家族じゃ。みんなポスペが大好きじゃ。
儂も女房も、そして(当時)小学4年生の長男も、メアドにポスペを飼っておる。
儂はお馴染みミニウサギ、女房はフクロペンギン、長男はイヌというラインアップですじゃ。
なんか性格が出ているような、どうでもいいような………。
とにかく、(当時)小学1年生の次男を除いて、わが家はポスペで持ちきりなんじゃよ。
特に長男は、学校の先生とポスペでメールをやりとりしてるんじゃ。時代はハイテクノロジーですじゃ。

長男が女房に「今度○○先生にメールを出そうかな」って、話しかけている時、何かを訴えかけるように、悲しげな笑顔でニコニコしている忘却の存在…………、それこそが今回の主人公である、儚くも哀しい次男ですじゃ。

話は多少前後しますじゃが、女房のペットの名前は「イクペン」というんじゃ。イクペンの「イク」は、残念ながら「あ〜ん、イクイクぅ」の「イク」ではないんじゃよ。
そもそも儂の次男の名前である「郁真」の「イク」から命名したんじゃ。

「このペンギンは、お母さんと郁真、ふたりのペットだよ」

っていう、女房のやさしい言葉に、次男も最初は喜んでおった。
ところが「ふたりのペット」のはずが、いつの間にか「私のペット」に変わっておったんじゃ。
当然と言えば、当然ですじゃ。
女房にも儂に内緒のメル友がひとりやふたりはいるかも知れん。
自分の年齢を偽って、高校生くらいの男の子とメールをやりとりしているかも知れん。
「アタシってさ、アレの時、すぐにイッちゃうんだ。だからさ、すぐイクペンギンで、イクペン、って名前にしたんだよぉ。なんかヘンかなぁ〜。キャッ、スッゲェヤッバー。はっずかしぃぃぃ」
なんてメールが、送信簿に残っておるかも知れん。

先日も「ぼくのイクペン、元気かな」
って、女房のポスペを次男が勝手に開こうとした時、「今おつかいに行ってるから、イクペンはいないよ」って、かなり焦っていた女房の赤い顔を、儂は今でも鮮明に覚えておるよ。

余談じゃが、最近女房のヤツ、「イクペンの名前、変えたいんだけど………」とまで抜かしておる。今度こっそり女房の受信簿、覗いてみようかなぁ………。
あ、ダメですじゃ、ダメですじゃ。「知らぬが仏」というコトワザが、儂のアタマの中でリフレインしていますじゃ。もしも見たことによって、女房がアブノーマルな人格を持っているコトがわかってしまったら………。これでは似たもの夫婦ですじゃ。制御不能ですじゃ。知らない方がまだマシですじゃ。


そんなんであんなんで、長男が知り合いのサーバからメアドをタダでいただいて、さらにイヌなんぞを飼い始めたモノだから、次男はますます孤独ですじゃ。

「ぼくもアドレス、欲しいな。ポスペ、やりたいな」

幾度となく、儂に摺り寄って来るんじゃ。
そのたびにテキトーにごまかしていたんじゃが、あまりにしつこい……、っていうか、情熱的なんで、ついに儂も決心したんじゃ。
「よし、お前のためにポスペを入れてやりますじゃ」
その一言を聞いたときの次男の嬉しそうな顔、まさに値千金じゃったよ。

儂の外付のハードディスク、パーティションで仕切ってあるので、その中に次男のポスペをインストールするコトにしたんじゃ。
メアドはないので、設定は適当ですじゃ。

「ぼく、メカがいいんだ。名前はロボコン。前から決めていたんだ」

次男の言うとおり名前もちゃんと入れて、とりあえず、設定完了じゃ。
お部屋の中でカシャカシャ動いているロボコン………。
次男は腹の底から喜んでおったよ。

「うれしいか?」
「うん」
「よかったなぁ。大切にかわいがってあげるんだよ」
「うん。ぼく、お兄ちゃんのペットにメール出したいなぁ………」
「……………え?」

しばらく儂は絶句しましたじゃ。そして、

「今日はやめておこうよ。生まれた最初の日だから、きっとロボコンも疲れていると思うよ」
「そうだね。じゃ、明日出そーっと」

儂は苦し紛れの言い訳をして、その場を乗り切りましたじゃ。
嗚呼、誰のところへもおつかいに行けず、そして誰からもメールが来ない次男のロボコン………、儂はなんて罪なコトをしたんじゃろう。
でも、子どもなんて所詮アレですじゃよ。
インストールした翌日も、次男はプレステやらに夢中で、すっかりロボコンのコトを忘れていたんじゃ。
ところが、ときどき思い出したように呟くんじゃ。
「お父さんのミック、今度ロボコンのところに遊びに来させてよ」とか、
「イクペンのところにロボコンをおつかいに行かせようかなぁ」とか……、
そんな言葉を聞くたびに、今日は雨が降っているから…、コンピュータの調子が悪いから…などと、いろんな言い訳で次男を騙しているんじゃよ。

こんなコトなら最初からウソをつかずに、
「このロボコンは観賞用ですじゃ」って正直に言っておけばよかった。
でも、今さら言えましぇん。
知り合いのサーバ管理者にアタマを下げて、次男用にタダのアドレスをいただきますじゃ。
嗚呼、儚くも哀しいお話ですじゃ。
子どもにウソをついてはいけない、っていう教訓でごじゃります。

戻るウインドウを閉じる進む