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日本映画史上、類のない大ヒットを記録している宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』。
ご覧になった方々も多いかと思うが、様々なテーマが交差していて、まさに宮崎アニメの集大成というべき作品……だと思う。
主人公の千尋が、冒頭では自分のために涙を流していたのに、後半では他人のために涙を流すという成長ぶり。それは、千尋の走り方や、微妙な表情にも顕著に表れている。
そして飽食の時代にいちばんおいしいのは、どんなご馳走よりも「真心が込められた手作りのおにぎり」であることを、そっと教えてくれて、思わず涙ぐんでしまった人もいることだろう。
オクサレさまからは環境問題を、釜爺からは真のやさしさを、湯婆婆からは仕事に追われた哀しい母親の過保護ぶりを……、登場人物ひとりひとりが、それぞれのメッセージを発していて、妙に心を刺激してくれる。
中でもカオナシのインパクトは強烈である。物欲でしか人と接することができないカオナシの不透明な存在を、自分自身にダブらせて、苦笑いした方々も多いことだろう。
そして、ストーリーや登場人物と同様に素晴らしいのが、背景美術である。
舞台となる油屋の豪華絢爛なレイアウトや、沼の底駅周辺の美しい海原は、一度見たら忘れられないほど、印象深い。
さらに、ポスペファンにはたまらない「印象深い」カットがふたつあったことを、皆さんは見逃さなかっただろうか?
まずは冒頭、千尋と両親が不思議の世界に入った瞬間に広がった草原。

霊々(かみがみ)をシンボライズした石像の中に、なんとモモを象った石像が描かれている。
そしてもうひとつは、夕闇に包まれて行く大通りの食い物屋でのカット。

中央の客を誘う店員の影が、モモそのものだ。
その他にも後半の、千尋がカオナシたちと乗った電車の乗客の中にモモによく似た影があった、という目撃もある。
いずれにせよ、それが宮崎監督のジョークなのか、それともスタッフの気まぐれによるものなのか、詳細は知る由もない。
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