2005/05/25
初代iMacを扱ったトンデモ本の世界

執筆した作者はそれなりにまじめで、一流と呼べる出版社から正式なルートで販売されているにも関わらず、常識的な視点から見直すと、到底理解できない類に、『トンデモ本』というものがある。
そんな『トンデモ本』について研究しているのが、SF作家である山本弘氏を中心に結成された『と学会』という組織で、今までにも数々の研究書籍を発表している。

『トンデモ本』の定義について、『と学会』の会員である藤倉珊氏は、こう説明している。

「著者が意図したものとは異なる視点から読んで楽しめるもの」
要するに、著者の大ボケや無知、カン違い、妄想などにより、常識とはかけ離れたおかしな内容になってしまった本のことなのだ。
(と学会・編 『トンデモ本の世界』より)

『トンデモ本』についてはたくさんのバージョンが発表されているので、興味のある方は『と学会』のWebサイトをぜひご覧いただきたい。



さて、今回紹介するのは、多くの『トンデモ本』を集めた文庫本、『トンデモ本の世界』
(宝島社・1999年刊)



今から6年ほど前の古い文庫本だが、その中にMacユーザにとって興味のある記事が掲載されている。知り合いのTくんから教えていただいたので、今さらではあるが、ご紹介しよう。



『パソコン界を震撼させる爆笑の理論』というタイトルで紹介されているこのトンデモ本、その名も
『Windows98で覚えるiMac』

なんだこりゃ?……の、とんでもない世界である。
このトンデモ本は、Windows98とMacOSのシステム画面を強引に比較しながら、「ここが似ている」「ここが同じだ」と、読者に無理やり納得させるのを目的としている。

そして、作者である小林勝氏(今も当時も、氏の肩書きは不明)が、著書の冒頭で得々と語っているコメントも、そのまま引用されている。

「Windows98が持っている素晴らしい
システムをそっくり真似たMacOS 8.6。Windowsを使い慣れたユーザーなら、ちょっとした努力で、話題のiMacを簡単に使いこなすことができる。
パソコン界のポルシェとまで言われていたMacintoshだが、それを司るオペレーティング・システムが余りにも
複雑で高価だったため、多くの日本人には買うことができなかった。(ちなみに著者は、米国でポルシェを一度だけ見たことがある)
ところが、Windowsそっくりのシステムを導入して以来、Macintoshは驚くべき進化を遂げ、価格もだんだん庶民にも買えるようになって来た。
そして登場したのが、iMacである。
本書では、Windows98の
ディスクトップを参考にしながら、MacOS 8.6との類似点をわかりやすく解説する」

やれやれ、勘違いも程々にして欲しい。
ビギナーのWindowsユーザに、「MacってWindowsにそっくりだね」と言われたことがあるが、このような立派なトンデモ本を執筆している先生でさえ事の次第を勘違いしているなんて、本当に困ってしまう。(言うまでもないが、事実は小林氏とまったく逆である)

さらに小林氏は、

「WindowsマシンもiMacも、A〜Zまで、キーボードの配列はほとんど同じなので
、どうか安心して使って欲しい(キーボードの配列もWindowsを模倣しているとは………、恐るべしMac)」
「iMacの起動時に発する異音は、決して部品が爆発したわけではないので、驚かないように」

など、とても理解できないほど親切に解説している。
そして本書のあとがきでは、

「もしも皆さんが、今使っているWindowsマシンに不自由を感じていないのなら、焦ってiMacを買う必要はないだろう。処理能力もWindowsの方が優れている(場合もある)。
アップリケーションもWindowsの方が遥かに多い。(特にムフフのゲームに関しては、Macintoshもイチコロだ。ポルシェに戦いを挑んだスバル360が、余裕で買ったようなものだ)
間違えてiMacを買ってしまったWindowsユーザーは、ぜひとも本書でMacOS 8.6を覚えて欲しい。そうすることによって、ますますWindows98の素晴らしさに一喜一憂することだろう」

などといった戯言が、なんと5ページに渡って記されている。

この本を購入したほとんどの人は、Windows98からiMacへの乗り換えを考えていた(もしくはすでにiMacを導入した)はずだ。
そんな人に対して、「焦ってiMacを買う必要はない」とは………。
一体なにを伝えたいのかよくわからない、まさに『トンデモ本』としてふさわしい逸品である。


○本文および画像はパロディーですので、決して信じないでください。
○紹介した画像は創作であり、と学会とは一切関係がありません。



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