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 ぼくのぶく
 最近読んだモノ、観たモノ、聴いたモノなど
 るっちゃんのアンテナにピン!ときたものの
 感想文です。

 最近読書量が減ってるなぁ……。


 X-filesとエヴァはとこしえの試金石?
■HAZAN/監督:五十嵐匠/映画波山製作委員会

板谷波山は茨城県出身の陶芸家。「きょうのるっちゃん」かどこかに書いたかなぁ、絹ごしに陶器を見るような何とも神秘的な釉薬「葆光釉」を開発した人です。その、彼の映画。封切りの日に見に行くなんてことをしてしまった。これはね、何かを創っている人や、(まだ世に認められない)偉業に取り組む誰かを支えている人なんかは涙なしに見られないかも。はぁ、MJもボロボロ泣いてました。 貧しさの中でも妥協しない、信念ってすごいなぁとか、んー言葉にすると陳腐だけどね。

■はたらくうまのハンバートとロンドン市長さんのはなし/ジョン・バーニンガム/童話館出版

純粋に子ども向けの絵本だと思うんだけど泣けてしまった。ハンバートはくず鉄集めの荷車を牽く馬。だから、って訳じゃないけど、まぁ華やかな世界とは縁がない。シンデレラみたいな感じ?でも(棚ボタのシンデレラと違って)ハンバートの偉いところは人目なんか気にせずやらなきゃいけない時にやるべきことをする勇気を持っていること。そしてロンドン市長さんは見かけなんかより大切なモノをちゃんと知っていてココロに応えられる。それを喜べる町の人たち。だけどお役人はあくまでカタチにこだわる、ってところが妙にリアルでツボにはまっちゃった(ロンドン市長さんも馬車にはこだわるって意味じゃ一種困ったちゃんではあるけれど……それは譲れない本質って意味なんだろうなぁ。「腐っても鯛」とか、「武士は食わねど高楊枝」とか???)。


■六番目の小夜子/恩田陸/新潮社

時々こういうのを見つけてしまう。そして切なくなってしまう。私ってどうしてこんなに学校が好きなんだろう。自分がそこに戻れないと分かっているくせに永遠に学生でありたいと心底願っていることに気づいてしまう。不毛だ。これを読みながら何度泣きたくなったことか。沙世子達が仲間四人で過ごす高校3年の夏はパーフェクトだと思ってしまう、もう二度とこういう日々はこないと分かっているからこそそう思ってしまう、その辺のくだりは胸が引き裂かれそうだった。世界が終わるのが惜しくてわざとゆっくり読んでしまうタイプの本だった。

こういう大人な高校生が出てくる話は大好きだなぁ。本当は高校生って大人なんだよね。自分もそのつもりだったけど。もちろん「自分っていったい」ってもがき苦しんではいるんだけど。沙世子って私みたいだ。あ、美少女とかいうことではなく。あたしはみんなが思っているほど大した人間じゃない。少々気が強くてハッタリがきくだけ。そして何でも持っているふりがうまいだけ。あんまりそれがうまいから自分でも本当に持っているんじゃないかって錯覚しちゃう……やれやれ、そうそれは私のこと。目ぇさましてくれてありがとう。

NHKで放映中なのよね。私がこれを読んだ時点では。テレビのは随分違ったお話になっているようだけれど、それはそれでぜひ見たいと思う。あ、文庫版も読みたいっす。

とある地方の公立進学校に転校してきた沙世子。この学校には不思議な小夜子伝説というものがあり、それを守らないと災いが起きるという。伝説と同じ名の転校生の出現で最初から波乱含みの一年間。小夜子とは何なのか?沙世子の目的は?次々起こる怪事件との関わりは?ホラーというかミステリーというか青春小説というか。とにかく上質な読み味。日本ファンタジーノベル大賞最終候補作。

2003年追記:読み返してしまった。MJに読み聞かせしたんだけどね。『赤毛のアン』とかと並んでこういうのリクエストするとは面白い子ども達です(読んであげる私も私か?)。分かる人には分かる大発見が!関根秋親子はこの時点でもう登場しているのね。いい感じだ。沙世子と秋の続編とか出ないのかなぁ。それにしても、大事に大事にこの本を読んだあの日からもう3年も経ったなんて早過ぎ。だけどチリにいた時は正真正銘のお子ちゃまだったMはこの間に既に受験を経験し「部活」なんてのも日常になって、すっかり沙世子サイドの住人になっちゃったよなぁ。感慨深い。


■ガダラの豚I・II・III/中島らも/集英社文庫

これはいい!面白い!さすがらもちゃん!「民俗学者と闇の魔人の呪術合戦」ちゅうことですが。主人公の大生部がこび売らなくて素敵。見た目はそれだけでギャグと言えるような……例えば「肛門口」だったりするんだけど、権威を笠に着るのではなく実際に賢いとことか、テレビに出ても自分が誰であるかを忘れない姿勢とか、謙りすぎないし奢らないところが気持ちいい。トリックで再現できない超常現象はないと言い切るミラクルさんもカッコいい。決して全ての超常現象がインチキだと言っているわけではないんだよ。その辺が深い。

第一部では超常現象とされることのインチキさを小気味よく喝破して、新興宗教にのめり込んじゃった妻・逸美さんを奪い返しにいく。乃南アサの「暗鬼」に出てくるあの家族のやっていたことは洗脳方法として非常にスタンダードなものだったんだねぇ。「自分の目で見るまで信じない」っていう人は確かに多いんだよね。でも「自分の目」というのもいかにトリックで引っかけられやすいものか、ということを認識しなきゃいけないなぁ。

第二部はアフリカ紀行として面白い。呪術が絡んでくるだけアフリカの方が得体が知れない気がするけど、ティダ・アパアパに通じる「焦らずのんびり」のポレポレなんて言葉があったりしてすごく親近感を覚えるし。私が日本を出る前に「発展途上国」に持っていた「貧しい」とかいうイメージと、実際の経済的とか物理的じゃなくっても「これは!」と思えるこういう土地にしかない精神の豊かさについて、うまく表現できていると思う。それともやっぱり観光でしか海外に行ったことないような人は、こういうの読んでも「貧しい」と思ってしまうのかなぁ?

第三部はちょっと人が死にすぎ。これがなければみんなに勧めたい本なんだけどなぁ。日本推理作家協会賞受賞。


■トウシューズ/ルーマ・ゴッデン/偕成社

Mに読ませようと思って買った本。

バレエダンサーをめざす10歳の少女ロッテは才能を認められ、町のバレエ学校から寄宿制の王立バレエ学校への入学がゆるされる。そこでさまざまな困難を乗り越えていくロッテの成長物語といえましょうか。子ども向けの本だけあって単純明快。ところが最後の一行を読んだら思わず涙が出てきてしまいました。「アルジャーノンに花束を」の時と同じ現象。それが意外だったから久々にピックアップです。どんなことをするんでも、忘れちゃいけない「」ってあると思うんですよ。「Listen to the Nightingale」……どうしてこっちがタイトルにならないんでしょうねぇ?


■インドネシアの魔女/鍵谷明子/学生社

ヌサトゥンガラはスンバのそばにあるサブ島、さらにそのはずれのライジュア島を研究している人類学者・鍵谷先生の本です。ヘリテイジでも講演していただきました。ライジュアの人間はヤシの樹液だけで生きているのに、とにかく女性の活きがいい島。男性側にも赤色不浄の考え方がなく、いまだに魔女信仰が健在。未婚既婚に関わらず子供はどんな時でも歓迎される。誰かの夫を奪っちゃう事もありがち。

本の内容は普通の記録なんだけど、鍵谷先生が……お会いしてみれば有閑マダムのようにお綺麗な方なのに、こんな地の果てのようなライジュアに15年も毎年通ったという事の方が感動的だ。それだけ魅せられたということなんだろう。ライジュアの人は出稼ぎに行っても必ず戻ってくる。外では使用人になっても、この島に戻ってくれば主、あるいは自分自身でいられるから、という誇りがいいなと思う。

ライジュアにもいきなりパラボラアンテナとかテレビとかが持ち込まれたということだ。政府のあせりが感じられる。国家全体としての近代化を目指す政府側の考え方も一理あるけれど、例えどんなに端から見て貧しそうでも、暮らしている本人達が誇りや喜びを持っているのなら無理に「近代化」させる必要はないし、してはならないと思う。日本みたいに人々に誇りを失わせてはいけない。難しいけれど落ちついて一番良い道を探さなければならない。


■私、たたかう中学生/滝本久美子/KKロングセラーズ

帰国子女で中学2年生の彼女は学校教育に代表される日本のおかしさに怒りまくっている。これだけ無意味な校則のあることが攻撃される時代にあって、彼女はいったいどんな学校に編入してしまったのでしょう?いまだに靴下がどうの、髪型がどうのとか言われ、朝礼で1時間も話す校長がいる学校があるとは驚きだ。

彼女は「とても変わった女の子」ではない。べつに帰国子女じゃなくても、こういうことを考えている子は多いはずだ。でも言えない。教師は「内申」とかいう下らない武器を持っているから。彼女は在学中にこんなことを書いてしまって先生に苛められたりしないんだろうか……と余計な心配をしてしまう。たたかうっていうほど攻撃的でもない。思ったことを素直に口に出しているだけなのにね。

不登校を1年半するほど苦しんだ彼女だけど、こうやって本を出版するような機会に恵まれて良かったね。縁とは不思議なものです。


■闇の左手/アーシュラ・K・グィン/ハヤカワ文庫

実に小学校5年生だか6年生だかのときに読みたいと思った本で、でもその当時はなかなか手に入らなくて、ぅん十年かかってようやく読み終えた。成田美名子が描いたこの話の中の登場人物のイラストを克明に覚えているんだけど、それが誰だったのかは読み終えてもわからなかった。でも確かに彼女の好きそうな世界だ。ちょっとイスラムっぽい。辺境の星の人々の話は萩尾望都の漫画を読んでいるようでもあり、とっても世界に浸れた。なるべく長くこの世界に関わっていたくって読み急がなかったという自覚がある。

アイが地球人に会って感じた異様な感じ、あるいは違和感というものを、私は将来日本に帰って感じるんだろう……と今から共感してしまう。例えば、日本には四季があるとか、雨が降っても行動を妨げられる理由にはならないとか、道路をむやみに横断しないとか、清潔だとか、身だしなみがきちんとしているとか……逆にインドネシアに来た時に「これがないなんて……」と思った様々なことがもう不要に思えているんだから。

なんにせよ、きちんとした世界が構築されていて、かつ矛盾のない話が書ける人は素晴らしい。ネビュラ賞ヒューゴー賞を受賞している。




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