#26 - 2003年ベスト10

- 2003年ベスト10 -
(対象は2003年1月〜12月の公開作品)

1.「ボウリング・フォー・コロンバイン」(マイケル・ムーア)
2.「ラスト サムライ」(エドワード・ズウィック)
3.「めぐりあう時間たち」(スティーブン・ダルドリー)
4.「ファム・ファタール」(ブライアン・デ・パルマ)
5.「イン・アメリカ」(ジム・シェリダン)
6.「家宝」(マノエル・デ・オリヴェイラ)
7.「インファナル・アフェア」(アンドリュー・ラウ/アラン・マック)
8.「猟奇的な彼女」(クァク・ジェヨン)
9.「阿修羅のごとく」(森田芳光)
10.「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」(ピーター・ジャクソン)
番外:「ゲアトルード」(カール・ドライヤー)
番外:「キェシロフスキ初期作品」(クシシェトフ・キェシロフスキ)

 1位は『ボウリング・フォー・コロンバイン』で決まり。アメリカ銃社会の問題を強烈に追求したものの、表現そのものは粗悪な民放番組を思わされて、そこが問題。けれど、この低俗性は多くの観客を獲得し、より広く問題提起をするためには不可欠か。いずれにせよ、体を張って行動を起こしたことには敬意を表したい。
 2位は、「ボウリング…」がなければぶっちぎり第1位の『ラスト サムライ』。唯一の難点は、いくら何でもヒットしすぎ。動員数800万人突破? ウソでしょう?
 3位『めぐりあう時間たち』は、今だにあの美しい画面を思い出してうっとり。風格でいけば「サムライ」以上。実は今年見た回数は「サムライ」3回に対して、「めぐりあう…」は4回。1回勝ちなのでした。
 4位『ファム・ファタール』は1位にしてもいいくらいの、デ・パルマ究極の傑作!最高の女優(レベッカ・ローレン=ステイモス)を得て、今年最も「目」を楽しませてくれた作品。いつまでも見ていたかったビジュアル大賞!
 5位の『イン・アメリカ』もよかった。今年いちばん泣いた作品。ジム・シェリダン(『マイ・レフト・フット』『父の祈りを』など)なんて大嫌いだったのに、突然こんな傑作を作ってくるとは。クライマックスでは劇場中がすすり泣きの嵐でびっくり。
 オルヴェイラはやっぱりすごい。6位は失礼だけど、『家宝』ってタイトルが、カッコ悪くて減点。これほど複雑で多彩な性格の人物を描き分け、かつドラマチックに配置できるのは、世界でこの人ただ一人。昨年の傑作『家路』が小品に見えるほど。
 7位『インファナル・アフェア』。上映後、これだけぐったり疲労したのは久し振り。ジョン・ウー以外にこんなテンションの高い映画作れる奴がいるのか!? 脚本か製作かのどれかにタッチしているに違いないと、つい探してしまったほど。香港映画復活?
 8位『猟奇的な彼女』は、いま世界で一番元気のいい韓国映画の、極めつけに元気な作品。ベスト10は過大評価?…とも思うけれど、ジェヨン監督の新作『ラブストーリー』(現在公開中)があまりにすばらしく、ご紹介の意味をこめて。
 9位『阿修羅のごとく』は、向田邦子のオリジナルシナリオの核を見事にすくいあげた傑作。(脚色は筒井ともみ)ああ、こう画にすると登場人物の感情が表現できるんだ、と思わされる場面の連続で、もしかしたら映画作りを学ぶ人には模範作品かも。
 このHPに間借りさせていただきながら、『二つの塔』が10位なんてあり!? と、横山さんに殴られること必至! すみません! 2作目はぼくにとって、どうにも燃焼しきれませんでした。『旅の仲間』にあった、スクリーンを突き破るような、巨大な空気感、広大な空間処理が、『二つの塔』では失われていたように思ったんです…。

 番外は今年全作品上映の叶った、ドライヤーとキェシロフスキ。特に『ゲアトルード』のすさまじさには、しばらく席を立てなかったほど。こんな恐ろしいメロドラマが映画史にはまだあったのです。これが50年近く前の映画かよ。それに、まだ「愛の作家」となる前の、社会派としての素顔を見せるキェシロフスキ初期作品をすべてクリアできたのに大満足。『出口なし』『傷跡』『アマチュア』『偶然』など、いずれ劣らぬ名作ぞろい!
 10本に入れたいのに、場所がなくなって痛恨なのが、『ファインディング・ニモ』『キル・ビルVol.1』『ソラリス』『エデンの彼方に』『エルミタージュ幻影』。ちなみに、名匠達の競演『10ミニッツ・オールダー』は、確かにすごい。すごいんだけどもう一つ決定打に欠けていて、愛せなかった。それは『ギャング・オブ・ニューヨーク』も同じ。
また、昨年はいつになく重要作品を見損ねているな、と振り返ってみてびっくり。特に『パンチドランク・ラブ』を見落としたのは痛いところ。

 2003年を振り返ると、巷のベスト10では必ず上位に来ている『シカゴ』と『戦場のピアニスト』には興味なし。個人的にはどうでもよかったです。「なめるな!」と思わされる映画なんだもの。
 それから、日本映画に見たいと思わされる作品が増えてきているのが実感。映画の専門家ではないため、どうしても見る本数が限られて、洋画優先になるとはいえ、やっぱり『美しい夏キリシマ』(黒木和雄)と『鏡の女たち』(吉田喜重)を見落としたのはマズかった。
 また、期待をはずされる率が高かったのも2003年の特徴。『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』と、『フル・フロンタル』は何とも残念。不安いっぱいだった『HOTEL』は、耐えられずに30分で劇場を出てしまった。マイク・フィッギスはもういい、見捨てた。え?『マトリックス』? 忘れましょう!

 いよいよ2004年! アカデミー賞の発表は2週間後。ほぼ間違いなく『王の帰還』の独占でしょう! だって、そのために『旅の仲間』も『二つの塔』も受賞お預けだったんだもの。ほんとなら、3部作全部作品賞受賞の大快挙だってやらかしてよかったんだ。(去年の『シカゴ』と、一昨年の『ビューティフル・マインド』ごときとは格が違うよね)
 しかししかし! これまた横山さんに殴られること覚悟でありますが、ここへきて『ミスティック・リバー』という、途方もない傑作が登場してしまいました。個人的にこれはもう、この後どんな作品がきても2004年のナンバー1は間違いなし。というか、これほど胸震える作品に、残りの人生であと何本出会えるかどうか、というくらいのとんでもない作品でした。いや、これはぼくの生涯ベスト10に入ってしまいそう。
 しかし、2月からもう『ミスティック・リバー』というあまりの決定打が出てしまったため、もう一つモチベーションが高まらない今年ですが、この2ヶ月に見た映画のヒット率が高くって、もしかしたら2004年は、ホームランは少なくても打率勝負で、平均点の高い年かも、という淡い期待があります。『シービスケット』、『ニューオーリンズ・トライアル』、『ラブ・アクチュアリー』、そして『ラブストーリー』! いずれもステキな傑作でした。
 期待できそうな大作は『スパイダーマン2』と『ハウルの動く城』ぐらい? 評判の『ロスト・イン・トランスレーション』も楽しみ。日本映画の今年は、旧作アニメの実写化がやけに多いのが、不安と期待の相半ばするところ。『キャシャーン』?『キューティ・ハニー』?『デビルマン』? 大丈夫かよ?
 ともあれ、2005年予定の『スター・ウォーズ』、『インディ・ジョーンズ』というビッグイベントを前にした2004年は、小さな佳作・秀作を積み重ねていく年になるといいな。去年のドライヤー、キェシロフスキ、小津みたいな、派手な回顧上映も今のところ耳にしていないし、じっくりと味のある新作小品を見つけていくのが目下の目標!

(2004.2.15)

Eriko's Note: あはは‥‥別に殴りはしませんよ〜(笑)。私にとって『ロード・オブ・ザ・リング』は別格の映画になってしまっているので、私の中でベスト1になっていればOKです。三部作というのはわかっていることなので、当然その第二部というのは難しい中継ぎ役を負っているわけですが、役割はちゃんとはたしていました。今改めて『旅の仲間』を観ると、『二つの塔』の閉塞感と見事に対比していると感じます。そして、そして『王の帰還』で完璧に終わりを迎えます。(N氏、早く観に行ってくださいね〜!)
さて、去年は他に何を観たのかな(『二つの塔』は4回観に行きましたが)‥‥『めぐりあう時間たち』、『ポロック』あたりで、ベスト3ということで。ん〜、優等生すぎますか? それでは、『ファインディング・ニモ』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』も入れましょう。
(2.17
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