CineCritique
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#21 2002年ベスト10

(対象は2002年1月〜12月の日本公開作品)

1.「グレースと公爵」(エリック・ロメール)
2.「マイノリティ・レポート」(スティーブン・スピルバーグ)
3.「ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間」(ピーター・ジャクソン)
4.「家路」(マノエル・デ・オルヴェイラ)
5.「春の日は過ぎゆく」(ホ・ジノ)
6.「スパイダーマン」(サム・ライミ)
7.「アバウト・ア・ボーイ」(クリス・ウェイツ/ポール・ウェイツ)
8.「ハッシュ!」(橋口亮輔)
9.「イン・ザ・ベッドルーム」(トッド・フィールド)
10.「サイン」(マイケル・ナイト・シャラマン)
番外:「スター・ウォーズ/EPISODE2 クローンの攻撃」(ジョージ・ルーカス)
番外:「フォーエバー・モーツアルト」(ジャン=リュック・ゴダール)

 1位は、今年最大の驚き、「グレースと公爵」! ヌーベル・ヴァーグの最長老ロメールが、CGを駆使して製作した、まさかの一作。しかも舞台はフランス革命。古さと新しさが共存する奇跡の作品。しかもロメール的エロスに満ちあふれた空前の傑作。
 古さと新しさの結合なら、近未来を舞台にヒッチコックとホークスをブレンドして、スピルバーグが遊びに遊んだ、大予算の「実験映画」である「マイノリティ・レポート」。すごい! ただし驚きの度合いはやっぱり「グレースと公爵」の方が上。2位はやむなしかな。
 3位は、この目でみるまでは、まさかこれほどの傑作とは夢にも思わなかった「ロード・オブ・ザ・リング」。映画を見る最大の喜びが別世界へのトリップだとするならば、これ以上の作品は考えられない。 同じ3時間近い上映時間でも、ただただ苦痛でしかない「ハリポタ」に比べ、逆に短かすぎるのがこの「LOTR」。(おやっ? 比べるのはあまりに失礼?)
 4位は、90歳を超える映画界の最長老、オルヴェイラ監督の「家路」。今年もっとも胸にしみた作品。どれだけ噛みしめても味わいつくせない芸術作品。一生つきあっていきたい一本。思い出しても涙が出そうになる。
 5位は、前作「8月のクリスマス」もよかった、韓国のホ・ジノ監督「春の日は過ぎゆく」。絶対に入れてはいけないところにくだらないBGMを流してみたりとか、気になる点はあるものの、ヒロインを演じるイ・ソンエには恋せずにいられないでしょう! 今年見た最も美しい顔です。映像設計も見事で、特にラストの2人を映しだす長回しは息を飲む美しさ。
 6位「スパイダー・マン」は、今年もっとも楽しんだ作品。これを見ながら食べ、かつ飲むポップコーンとコーラは最高に美味。こういうのを見ると、映画って本当に安価な娯楽だよな、とつくづく思ってしまう。
 7位「アバウト・ア・ボーイ」は、今年もっとも感じのよかった作品。人間の弱さと強さをさっぱり描いて、やっぱいいもんだよね人間って…と、まさかヒュー・グラントに思わされる日が来るとは思わなかった。最近のグラントはなかなかよいです。
 8位は、それまで幸せに暮らしていたゲイのカップルと、自分の子を授けてほしいと突然2人の間に割って入った強引な女の奇妙な三角模様を描いた「ハッシュ!」。あり得ない設定ながら、薄ら寒くなるくらいリアルな会話がすごい説得力。それもこれも、完璧無比なカメラと編集のたまもので、いったいどうなってしまうのか、くいいるように見てしまう一本。
 9位の「イン・ザ・ベッドルーム」は、正直なところ「チョコレート」や「アイリス」と共に、どれを入れるかでおおいに悩んだところ。いずれも人生の苦悩と哀しみを描ききった見事な作品だけど、演技の真実味でわずかに「イン・ザ…」に軍配。その意味で「チョコレート」はややスター性過剰。「アイリス」はやや演劇臭が残る。
 10位の「サイン」は、今年もっとも没頭させられた作品。宇宙人襲来という通俗的なモチーフを、現在社会に漂う漠然たる不安として、抽象的に置き換えることを可能にした離れ業。非常に知的な作品だった。

 番外の2作品は、ベスト10とは別に、順位を超越した大イベント。こういうのは10本とは分けて考えないと。(ずるい?)いよいよデス・スター登場もあって、シリーズ完結までまっしぐらの「スター・ウォーズ/EPISODE2 クローンの攻撃」。それに、とうとう正式上映がかなった「フォーエバー・モーツアルト」のすごかったこと! 特に2002年は、新旧含めたたくさんのゴダール作品が上映され、驚異の連続となったものすごい年。
 その他、「モンスターズ・インク」、「ピンポン」、「8人の女たち」、「海辺の家」は是非入れたかったものの、10本を埋めていったらいつのまにかモレてしまった…残念! なお、本来ベスト10入りは間違いないはずのイーストウッドの新作「ブラッド・ワーク」は、東急の陰謀で2週間の限定公開となり、時間が合わずに見落としてしまったのが最大の痛恨!

 それにしても、そろそろ「キネマ旬報」はじめ、各映画誌のベスト10も出揃たものの、多くが「ロード・トゥ・パーディション」を1位にしているのには驚いた。あんな薄味の作品のどこに人はそんなに感動してるの!? それでいて「グレースと公爵」や「家路」も含めて、「フォーエバー・モーツアルト」はもとより、ゴダールの「愛の世紀」、「JLG/自画像」やマフマルバフの「カンダハール」、「アフガン・アルファベット」などの上映もあったというのに、こういうのを軒並み無視する輩って本当に映画評論家を名乗っていいの? 「ノーマンズ・ランド」に票を入れて、それで使命を果たしたつもりになってるんだろうか。

 うーん、さて他人の審美眼はおくとして、いよいよ2003年。新作で楽しみなのはやはり「マトリックス」3部作の完結。予告編を見る限りではすごいの一言! なんだかとんでもないものが見れそうな気がする。アメコミの実写化でいえば、ベン・アフレックの「デアデビル」は期待していいもんなんだろうか?
 特集上映では、ユーロスペース他によるトリュフォー、ムルナウの連続上映に超期待。未見のムルナウ作品をかなりクリアできそうだし、ニュープリントの美しい画面でのトリュフォー「恋のエチュード」などと早く再会したい! ル・シネマでは、未公開のキェシュロフスキ連続上映もあって(もちろん「トリコロール」三部作の再映も!)、新作など見る時間はあるのか!? そして、なんといっても今年最大のビッグイベントは生誕100年・小津安二郎全作品の上映。これには鼻血がでそう! 何年か前の東京国際映画祭でも同じ企画があって、かなりがんばって全作品クリアしたけれど、あの頃よりもう少しだけ年をとった今、改めて小津作品と向き合うとどんな新たな発見があるのか、楽しみでならない!
 ここ数年の傾向として少々残念なのは、思いがけない傑作に出会ってしまう機会が減ってきていること。まったく期待せずに見たら、とてつもない傑作だったという不意打ちこそ、映画の醍醐味。2003年は、そんな思いがけない作品にもっともっと出会いたいもの。まだまだ劇場に足を運ばなくっちゃ!

eriko's Notes : それでは私もベスト10を!・・・と思いましたが、観ている本数が少ないのでベスト3にします。
 1位「ロード・オブ・ザ・リング」。これこそ映画の醍醐味、始まるやいなや現実は消え、旅の仲間たちと一緒に中つ国を旅しているのでした。素晴らしい演技を見せてくれたのはアラゴルンを演じたヴィゴ・モーテンセン。アラゴルンは王家を継ぐたった一人の人間でありながら、その運命を受け入れがたく感じていたのですが、その彼が中つ国の平安のために運命を受け入れると同時に、王位継承者としての責任に目覚めていきます。その成長の過程をヴィゴは見事に演じています。(目の輝きの演技!!)私の今一押しの俳優です。さて、物語は旅も始まったばかり仲間が離散したところで終わるものの、次回作「二つの塔」への期待はふくらむばかりです!
 
2位「アバウト・ア・ボーイ」。見終わって、ほんとに爽やかな気持ちになれる作品でした。いろんな人がそれぞれの事情を抱えながら何とか折り合いをつけて日々の生活を送っている。そして、それぞれの生き方を否定しない人たち…なんともいえないあたたかさに満ちた作品でした。ここでは私のヒュー・グラントへの評価が一気にアップしたのでした。
 
3位「モンスターズ・インク」。もう何も説明はいらないでしょう!? サリーとマイクに引っぱりまわされて、笑ったり泣いたり、それでもう幸せな気持ちになれるのですから。以上、2002年私の大好きな3本でした★


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