dog biscuit
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M:I-2

 Mission Impossible NYレポート・1

Aug.4th,2000


Expect the impossible again

〜1日目New York到着

texts & photographs by Mr.N

トム・クルーズをこよなく愛するN氏は「M:I-2」の日本公開を待切れずに、今年もまたNewYorkに飛びました。さてさて、どんな興味深い話題をレポートしてくださるでしょうか? どうぞお楽しみください!
↑ ミレニアム限定標識!!

2000年5月31日 〜NY着〜
 
昨年の「エピソード1」に続いて、今年もまた来てしまった。思えば今年の正月映画、もう内容も忘れてしまったシュワルツェネッガーの「エンド・オブ・デイズ」に行ったときに見た、あのすばらしい「M:I-2」の予告編にいてもたってもいられなくなったのだ。

 おなじみのパラマウント山が映し出されると、カメラが近づきながら、山の背後に回り、いつしか実写に変わっている。その断崖を素手でよじ登っている男。すると、腕がすべってあわや転落しそうになるが、腕1本で体を支え、しかもどこか余裕がある。さらにカメラが近づくと、それがトム・クルーズ! 頂上に登り詰めると、そこにサングラス。それをかけ、何やら指令を受け取ると、そのサングラスを画面のこちらに向かって放り投げる。と、同時にかき消すように消滅するサングラス! 爆発と同時にタイトル。そして、炸裂する肉弾戦の映像のコラージュ! あれ? トム・クルーズの殴り合いって確か初めて? 「遥かなる大地へ」であったけど、あれはあくまでも拳闘試合の位置付け。拳骨で敵を倒すなんて初めてでは? いや、これほど期待をかきたてられる予告編は初めて見た。

 そんなわけで、アメリカへの殴り込みを果たしたものの、仕事の都合がつかず、「M:I-2」の全米初日(5月24日)、という訳にはいかなかった。それでも、最初の週末にはひっかかってるので、気分くらいは味わえるだろう。

 今年のホテルは、Pennsylvania Hotel。マジソン・スクエア・ガーデンのまん前。ちょっとタイムズ・スクエアには遠いが、15分ちょっとで歩ける距離。まあまあといったところ。

 ところで、そのマジソン・スクエアでは、来週からブルース・スプリングスティーンとEストリート・バンドの連続10回ライブが開催される。 くっそー、来週だったらこれを聞けたかもしれないな〜、と一瞬、悔いるが、チケットは全てソールド・アウト。考えてみれば、現地の人でもなかなか手に入らない、スーパー・プレミアム・チケットなのだ。一旅行者ごときには、かなわぬ夢か。しかし聞いてみたかったな〜、マジソン・スクエア・ガーデンでのスプリングスティーンの白熱のライブ!

 ホテルへのチェック・インは夜7時半頃に完了。今日はもう何もできないんで、明日からの作戦を練る。まずは仕込みから。とりあえずは、滞在中に見るミュージカルのチケットを確保しようと直ちにブロードウェイに繰り出す。ボックス・オフィスは8時までなので、のんびりしている時間はない。

 今回見るミュージカルについて、もう心は決まっていた。噂に名高い「ライオン・キング」と、リバイバル中の「アニーよ銃をとれ」の2作だ。どちらも、チケットの入手は難しいはずなのだが、こちらは1人だし、劇場窓口に直接行けば、案外買えてしまう、というのは、去年の「CHICAGO」で経験済み。まずは42番街、アムステルダム・シアターの「ライオン・キング」へ。人がやたらに多いのは、もちろん8時からの上演を見に来た人の群れ。それをかきわけて窓口へ。

「大人1枚くださいな」
「今日のか?」
「いや、明日の」
「どの席がいい?」
「一番いい席を。」
「オーケストラ席はもう売り切れ。2階席ならあるよ。」
「2階のどのへん?」
「最前列。ほぼ真ん中。」
「完璧。それを1枚。」

スプリングスティーン・マジソン・スクエア・ガーデン・ライブのポスター。もちろんSOLD OUT!

 と、いうわけで90ドル。ブロードウェイの相場は、最高額で80ドルだから、ちょっと高め。でもまあ、それだけ自信があるのだろう。

 直ちに走って、こんどはマーキス・シアターの「アニーよ銃をとれ!」の劇場へ。ここはとても広い劇場で、しかもホテルが併設されているので窓口がちょっとわかりにくい。やっと見つけて、明後日の残席を聞いてみると、おお、すばらしい。前から7番目のド真ん中。直ちに購入。80ドル。

 そこまでやったら、あとはのんびりと作戦を練ろう。目の前のバージン・メガストアに目をやると、地下のシネコンでかかっている映画のタイトルが電光掲示板に走っている。ここは去年「マトリックス」を見たところだ。上映中なのは、「ロミオ・マスト・ダイ」「ヴァージン・スーサイド」「アメリカン・サイコ」「キーピング・フェイス」。うーん、10時間飛行機に乗ってきて、その足で見るほど魅力のあるプログラムではない。やっぱり、じっくり考えよっと。



2000年5月31日 〜ビレッジ・ヴァンガード〜
 
ヴァージン・メガストアに入り、入り口近くに置いてあるフリー・ペーパー、「Village Voice」(NY版のぴあ)をとって、隣のピザ屋さんSBBAROへ。ピザを食べながら、明日以後の作戦を練る。まずは当初の目的である「M:I−2」の劇場、時間などを総チェック。
 
すると、うーん驚いた。ニューヨークの映画館事情って、すっかり変わっちゃってる。ほとんどシネコン化していて、単独館はめっきり少なくなっている。ふと気がつくと、タイムズ・スクエア沿いの映画館は全部つぶれているではないか。総開発が進んでいるのだ。
 
それと、てっきり今のNYは「M:I-2」中心かと思ったら、そうでもなく、どちらかというと劇場数では「グラディエーター」が優勢だ。特に、昨年私が「エピソード1」を見た大劇場、シーグフェルド・シアターでやっているのも「グラディエーター」なのだ。「グラディエーター」は「M:I−2」との直接対決を避けて、2週間ほど先行して上映されており、ヒットしている。この辺の様子は、やっぱり現地に来ないと、わからないところ。

 とりあえず、これからの時間で映画を見るのは、何となく断念。気持ちは「M:I-2」だし。そのかわり、ふとひらめいてジャズのライブに行こうかなと決断。よし。ブルーノートか、ビレッジ・ヴァンガードに行こう。1度くらいは本場のジャズを聴いてみたい。
 
そもそも、もう何度かNYには来てるけど、一度もジャズを聴きに行ったことがないのは、私が酒を飲めないから。酒も飲まずにジャズのライブハウスに行くのが、どうも気がひけていたのだ。今回は、ビールくらいは注文しようと心を決めた。ライブはだいたい9時半頃から。急ごう。直ちに地下鉄にのって、ビレッジ・スクエア界隈まで。

 地下鉄に乗りながら、どうもブルーノートは観光客に毒されてるような気がしてきた。ガイドブックを見ると、土産物売り場まであるなんて書いてある。その瞬間気に入らなくなって、ビレッジ・ヴァンガードに行くことに決める。そもそもここは、私の大好きなビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デビー」が誕生した所でもあり、憧れていたのだ。
 
ただ、こういうジャズのライブハウスがあるのって、ちょっとコワイ所。遅い時間だし、人通りもなくて、なんとなーく物騒な感じ。少し後悔していると、名門のくせにバンガードの入り口ってひどく古ぼけた様子。古そうな木戸をくぐって、危なっかしい木造の階段を下りて行く。ひぇー、何だかコワイ。やっぱ帰ろっかな、と思うも、出入りする人々はけっこう身なりのいい人達なので、意を決して入場する。
 
ひょろりと背の高い、若い男が入り口に陣取っている。人数を聞かれ、「ひとり」と答えると、「入場料25ドル、ドリンクのためのミニマム・チャージ5ドル」と言われる。とっても事務的な態度。しかし、それにしても安い。合計30ドルかよ。ブルーノート東京とかだったら、1万5千円は軽くとられるじゃん。


 今晩の出演者はエリック・リード&ニューヨーク・セブン。うー、全然知らないミュージシャンだ。リーダーがピアノで、ドラムス、ベース、トロンボーン、アルトとテナーのサックスにトランペットという編成。

 ずうずうしくステージのまん前に陣取ると、ウェイターに「そこは困る」と言われる。「予約席だから」。といっても、そんなのどこにも書いてないじゃん。と思いながら、真ん中あたりに行くと、「そこも困る」と言われる。「じゃ、どこならいいのさ」と聞くと、「あそこ」と後ろの方を指差される。「1人の方はあっちの方」。うーん。なるほど、おそらく、前の方は予約客、真ん中あたりはグループないしはアベック。独り身は一番待遇が悪いのだな。たしかにその付近には、独りだけのニューヨーカーもいたりして、あういう人って筋金入りのジャズ・ファンなのかな、とちょっと憧れてみたりする。


 カウンター脇の独り用のテーブルに陣取ると、メニューが置いてある。ボトルのワインなどは別にして、どれも5ドル以内の料金。すでにミニマム・チャージを払ってるので、どれでも飲めるってこと。おかわりしたら追加でかかるってことか。とりあえず無難に「ブルックリン・ラガー」ってのを注文する。どうせ飲めないのだから、何だって同じだ。

 壁には、エヴァンスやコルトレーンやマイルスの写真が飾ってある他に、シャガールっぽい、モダンな絵が描かれている。店のどこかでフラッシュがたかれたので、「お、撮影してもいいのか」と、カメラを取り出し店内を激写! すかさずカウンターに座っていた、おばさんのウェイトレスに注意される。「撮影はOK。でも店としてはありがたくないし、演奏が始まったら絶対に撮影はお断りよ」みたいな、うまく日本語にできないけど、ゆっくりとした、とてもムードのある英語。言葉は厳しいけど、表情はにこやかで感じいい。顔つきも人生の修羅場を潜り抜けたような、何ともしれないおばさんで、少し冷や汗。

 9時半から演奏が始まった。黒人の7重奏で、リーダーはよくしゃべる、陽気なミュージシャンだ。全部オリジナル曲。かなりスタンダードなスタイルのジャズだ。爆発的にうまいわけではない。サックスの人なんて、それほどよく指が回るわけでもないし、トランペットももっと音を開放すればいいのに、どこか思いきりが悪い音を出す。でも、本物を前にしていることの満足感は高まってくる。客たちの反応も良好だ。演奏も曲目を重ねるにつれて、どんどん熱っぽくなっていって、かなりのものだった。圧巻は、ピアノとトロンボーンだけで演奏された、「ダニーボーイ」。私の前に座ってた中年おばさんは涙を流していた。やっぱり聴衆も熱い。ところで私のすぐ横のカウンターに座ってた2人組の若い女性。私の方に向けてミニスカートの長い足がにゅーっと伸びていて、かなりの美人だったこともあり、どうにもこうにも目が行ってしまうのだが、なんと演奏途中からキスを始めてしまった。しかもかなり濃厚な…。レ…レズビアンのカップルじゃん!すっごいきれいな2人組なのに…。頼んでも混ぜてはもらえないと思うので、悲しい思いでジャズを聴き続けることに。さすがニューヨーク。何が出てくるかわからない。

 約1時間ほど演奏して、ステージは終了。次のステージは午前零時から。追加料金をとられるわけじゃないし、もうワンステージ聴こうかな、と思ったけどさすがにやめておく。もう30分くらい、ちびちびビールを飲みながら雰囲気を味わって帰ることにする。演奏終了後のアナウンスがよかった。「1回目のステージは終了。次のステージは午前12時から。これでお帰りのかたはグッドナイト。またのお越しを心よりお待ちしています。次のステージも聴かれる方は、もちろんウェルカム。どうぞお楽しみください。」今日のところは無理せずに、睡眠をとっておいて明日に備えよう。とりあえずタイムズ・スクエアに戻り、閉店(AM1:00)までバージン・メガストアで物色して、ホテルに戻り、ゆっくりお風呂につかって就寝。


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