水 - 3月 14, 2007

新ブログに移行します 


この度、次のURLにブログを移しましたので、ブックマークをご訂正ください。
http://konokensuke.weblogs.jp/  

Posted at 05:48 午後    

日 - 2月 18, 2007

テレビドラマ 


テレビドラマを好きかと問われると、首をかしげる。大昔は「前略おふくろ様」も見たし、山田太一のドラマも見ていたけど、最近はさっぱり。このあいだ同じ倉本聰脚本の「拝啓、父上様」を一回見てあきれてしまい、歳はとりたくないもんだと思った。もともとは小説好き、映画好きだから、物語あるものは好きなんだけど。
で、最近、めずらしく毎回見ていたのが、NHK大河ドラマの「風林火山」。げっ、いまどき「風林火山」かと初めは思ったのだけど、役者もいいし、脚本演出も悪くないし、最初の数回は入れ込んで見てました。井上靖の原作では、山本勘助の前半生ははっきり書かれていないのだけど、それを今回はほぼオリジナルで創作している。その部分が悪くなかった。内野聖陽も市川亀治郎もいいし、千葉真一らの見せ場もあって、戦国時代の軍事的政治的な力の錯綜するなかで愛憎の入り交じるドラマが展開してました。でも、それもやはり最初だけ。最近になると、話がだんだんまとまりがつかなくなってきている。大河ドラマはとりわけ演出家がグループで関与するため、演出の一貫性が弱い。個性的な映像作りをしていたかと思うと、いつもの大河ドラマにも戻ってしまう。
ま、そろそろ飽きたなと思ってたら、同じNHKの土曜ドラマで「ハゲタカ」というのが始まった。これが面白い。大森南朋という俳優が前から好きなので見てみたのだけど、一回目だけでも宇崎竜童、永島瑛子、松田龍平とつぎつぎにいい役者たちが出て来る。役者がいいというのは、その役者の顔や演技がいいということではなくて、制作者や演出家が役者たちにいい役どころを与えて、いい演技をさせる条件をつくてちるということだと思う。宇崎竜童の良さにもびっくりしたけど、松田龍平には心底おどろいた。大島渚の「御法度」でデビューしたときは、雰囲気はあるけどどうも困ったねという印象しかなかったけど、久しぶりに見たら、いやあすごい。松田優作のDNAなのか、もうあたりをはらう空気を放って、他を寄せつけない。こういう役者同士の連鎖反応を起した現場はかなり面白いだろうな。さて、これを次回以降も持続できるのでしょうか。
ドラマでいうと、日曜日は「華麗なる一族」もありましたね。山崎豊子原作で、そのむかし山本薩夫が映画にもしていましたが、松本清張と並んでいまでも生きているコンテンツなのでしょうか。お話は「風林火山」と同様、銀行頭取の父と長男をめぐる家父長制の闘いのドラマで、時代劇は仲代達矢、こちらは北大路欣也という、どちらもリア王役者が演じています。30年近く前の映画版「華麗なる一族」だと、いまの長男キムタクの役を仲代が、成宮くん演じるキムタク配下の技術者で妹の恋人役を北大路が演じていたのがご愛嬌。こちらはかつて日本共産党の全面応援のもと、労働者を大事にする鉄鋼資本を、いかに悪徳金融資本が攻撃するかという全編、歌舞伎みたいなお話でした。ここでは役者たちは自分たちを生かしようもなく、鈴木京香も原田美枝子もあやつり人形で何だかかわいそうです。 

Posted at 11:48 午後    

土 - 2月 17, 2007

台湾ドキュメンタリー映画の上映会について 


学内の共同研究のグループで、台湾のドキュメンタリー映画の上映と監督の講演会を開催することになりましたので、お知らせします。
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2006年度日本大学人文科学研究所共同研究
「近代東アジアにおける文学・演劇・映画の交差をめぐって」
「ドキュメンタリーフィルム上映と監督講演」のご案内

今年度共同研究の一環として,以下の日程で台湾の歴史や社会を扱ったドキュメンタリーフィルムを上映し,監督を招いて講演と討論会を行います。多くの方に見てもらいたい作品であると同時に,監督の生の声が聞ける貴重な機会なので,興味ある方はぜひご参加ください。
『緑的海平線Shonenko』は第二次世界大戦期,軍用飛行機生産のために日本へ送られた8000人の少年工のことを扱った作品で,昨年台湾国際ドキュメンタリーフェスティバルに出品されましたが,日本ではまだ未公開です。したがって本邦初公開の映画となります。戦時下の少年工については次のような書籍もあります。保坂治男『台湾少年工 望郷のハンマー—子ども・市民と学ぶこの町の「戦争」と「平和」』(ゆい書房)。 日大文理の図書館にも下記の資料集が入っています。大和市役所管理部庶務課編『高座海軍工廠関係資料集 : 台湾少年工関係を中心に』 (大和市史資料叢書)。
柳本通彦氏は現在アジアプレス台北代表で,台湾先住民の戦争動員や従軍慰安婦問題について多くの著作や作品を発表しています。そのうち今回は「私は日本のために戦った——台湾寿村の老人たち」「霧社の高砂義勇兵」の2本を上映します。柳本さんの著作としては以下のものがあります。『台湾先住民・山の女たちの聖戦』、『台湾・霧社に生きる』(共に現代書館)、『台湾革命』(集英社新書)、『明治の冒険科学者たち 新天地・台湾にかけた夢』(新潮新書)、『ノンフィクションの現場を歩く—台湾原住民族と日本』(かわさき市民アカデミー出版部)などです。ふるってご参加ください。

日時:3月11日(日)13:00−17:15
会場:日本大学文理学部図書館3Fオーバルホール
13:00-14:15 『緑的海平線』上映,日本語字幕付
14:15-14:45 郭亮吟監督講演(日本語通訳付)
14:45-15:15 会場討論(日本語通訳付)
15:30-16-15 「私は日本のために戦った——台湾寿村の老人たち」及び「霧社の高砂義勇兵」上映
16:15-16:45 柳本通彦監督講演
16:45-17:15 会場討論 

Posted at 12:00 午前    

水 - 2月 7, 2007

卒論口述試問 


今日は卒論口述試問の日。サバティカルだからお休みなはずなんだけど、ゼミの学生たちとの関係もあり、代講の吉田先生にお願いして、特別にぼくも査読をさせてもらう。結果を吉田さんにお知らせした上で、面談の邪魔にならないよう、2時過ぎ頃に研究室に出かける。面談待ちのゼミ生たちがずらっと学生読書室で待機しているところに出向き、あれこれ雑談。そのあと研究室にいたら、吉田先生との面談を終えた学生たちが第2次口述試問とか言って、ぞろぞろやって来る。ぼくの感想なり意見なりをしゃべっていくうちに、かれらの緊張感も溶けていったみたいです。今年のゼミ生は、ぼくが休みにもかかわらず、あるいはだからなのか現役4年生が全員無事に卒論を提出し、卒業可能な成績を収める気配。これはゼミ始まって以来のことじゃないかな。みんな大学に愛着もって残りたがるひとばかりだったのに、この好成績はなんだろう。どうやら、これは吉田さんの功績らしく、ぼくが休みの方がよくなるという驚くべき結果になってしまった。休んでいた方がいいのか〜〜。今度は20日に卒論の発表会と3年生の卒論計画発表会があるので、そこで新たな秘策をしいれておくようにします。 

Posted at 10:50 午後    

火 - 2月 6, 2007

国分寺本多公民館 


あっという間に2月。1月の後半は予想外の仕事があって、ずいぶん時間をとられてしまいました。
さて、この日は国分寺市本多公民館で市民講座。もともとこの市民講座は中国文学研究で知られる同僚の山口守さんがやっていて、今回のテーマは「日本の文学者が見た中国」全5回。その3回目の話し手として呼ばれたもの。対象は武田泰淳の『上海の蛍』と堀田善衛の『上海にて』。横光の『上海』や金子光晴の『どくろ杯』を読んできた方たちを相手に、1940年代の敗戦前後の上海をめぐる話となる。それぞれ内容の濃い両作品をいっぺんに取り上げるのはなかなか厄介だけど、かえって2人を対比させるいい機会になった。なかでも泰淳の『上海の蛍』を読み返して、これが60代半ばの遺作だったかと思うと、武田泰淳おそるべしという思いを新たにする。どうしても戦後すぐの泰淳の小説を扱うことが多かったけれど、こうして晩年の作品から見て考えさせられることが多い。この2つの作品、小説とエッセイという違いはあるし、書かれたのも76年と58年という時差はあるけれど、同じような魯迅の古い墓にお参りする場面が2人とも一緒の体験としてあって、書かれていて、またその書き方が大いに違うところに2人の個性、思想、文学の違いがよくあらわれている。1時間半ほど話して、そのあと山口さんと質疑、会場からも熱心な意見が出て、かえっていろいろ教わることがありました。 

Posted at 10:39 午後    

日 - 1月 14, 2007

美華、閉店! 


1月早々、衝撃のニュースが伝えられました。高円寺北口の純情商店街にある中華料理店「美華」が1月いっぱいで閉店するというのです。昨夜遅くそのことを知り、とるものもとりあえず今日昼に出かけました。女将さんの話だと、人の手当てができなくなってきたというのですが、厨房でもシェフの下ではたらくひとたちを初め、お運びさんもむずかしく、地下から3階までの店内を階段で上り下りするのが年齢的にきつくなってきたというのが主な理由のようです。料理人も鍋をふることはできても、細かい味のわかるひとが少なくなったとか。聞くところでは、「美華」は開業してから50数年。戦後のほとんどをカバーしてきたのです。シェフはそのむかし南国酒家の料理長もつとめた達人で、ここの味は中央線随一ではないかと思ってました。
どれも美味しいけど、今日は昼なので、光麺(ネギ入りそば)とXO醤餃子を注文する。ここの光麺は透明な澄んだスープに縮れ麺、それに細切りしたネギがのっているだけという究極のシンプルさなのですが、この麺のシコシコ感、スープの上品さは絶品。美華閉店を知らなかった昨日は、外出する前に時間がないのでやむなく近所の「げんこつラーメン」に行ったのですが、かつては一世風靡したげんこつラーメンがまったく奥行きのない味になっているのに比べ、ここまでいろいろなものを削り落として、なおかつ美味しいのは素晴らしい。ここの光麺を食べるとラーメンの概念を一変させられます。女将さんと名残りを惜しんでいたら、彼女もこの味が途絶えてしまうのは残念ですとうっすら涙目。シェフは閉店後、しばらく海外に遊んでくるという。いずれまた商売を始めるのでしょうが、それにしても高円寺「美華」の名も味も消えてしまうのはほんとに残念至極。個人の商店というのは何ともつらいものがありますねぇ。月末の閉店までは休業日なしでのぞむとのことで、夜のディナーの予約も入れることにした。月末になるともう予約でいっぱいだという。ここはほんとのおすすめです。前に「カレーの聖地」のことを書きましたが、ここもまた「中華の聖地」だったのです。 

Posted at 02:21 午後    

木 - 1月 11, 2007

カレーの聖地 


二三週間ごとに猫をつれていく病院が荻窪にあるのだけど、いつもその南口の商店街を通るたびに気になる店があった。途中でちょっと路地をまがったところに「欧風カレー&シチューの店 トマト」という看板が下がっている。「欧風カレー&シチュー」という言い方が気になるし、看板の古さも店構えのあまりに古ぼけた感じもどこか引っ掛かっていた。そしたらなんと、ここが「カレーの聖地」 と呼ばれているところだと知ったのです。「トマト」なんて、あまりにさりげなさすぎる名前!
さっそく出かけてみました。むかし喫茶店だったところを居抜きでひきとったという店のなかは、たしかにお世辞にもキレイとはいえません。しかし、それがただならぬ気配を漂わせているし、お客さんに対応してる奥さんがじつに上品できびきびしている。ビーフジャワカレーを注文したのだけど、一口、口にほうりこんだとたん、「これは……」と絶句。36種類のスパイスが口のなかで花火のようにはじけていくような感じ。カレーが薬膳料理であることを再認識させられる逸品でした。ビーフ肉もやわらかく、それでいてしっかり肉のうまさがひきたっている。それほど辛くはないのだけれど、たぶんどれかのスパイスに反応したのだろう、顔や頭からどっと汗がふきでる。すごい新陳代謝。このところカレーはインド料理、パキスタン料理、タイ料理とエスニックの度合いを深めていたのだけど、これは欧風という煮込み料理の原点に戻ってふたたびその奥行きをのぞかせたようでした。帰りがけに、レジで奥さんにそのあまりの美味しさを伝え、また来ますと言ったら、奥の厨房にいたご主人がにっこり笑顔を見せてくれました。
この日は学術フロンティアの会議があったので、聖地で昼食をすませたあと、大学に出かけて、ポストドクターの森井さんにこの話をしてら、すかさず「トマトでしょ?」と来た。すでに行ったことがあるという。さすが!もし、まだの方はぜひ。 

Posted at 11:46 午前    

水 - 1月 3, 2007

正月映画 


「ヘンダーソン夫人の贈り物」と「鉄コン筋クリート」の2本をはしごする。ジュディ・リンチは以前からかっこいいと思ってたけど、これは彼女とボブ・ホスキンスの2人のための映画みたいでした。第2次大戦中のロンドンでヌード・ショーをつづけた劇場の所有者と演出家の話だけど、ヌードを指示したのがこんなブルジョア女性だとは知らなかった。ブルジョアであれ有閑マダムであれ、その世界で自分をつらぬいていくことの魅力が存分に出ている。視野が狭かったり、配慮が足りなかったりしても何のその。そういう人間の弱さと強さを出しているところがいい。ただ「ヘンダーソン夫人の贈り物」という邦題だけど、原題は“Mrs.Henderson Presents”だから「ヘンダーソン夫人提供」とでも訳すのがほんとうでしょうね。演劇や映画で冒頭に出て来るプロデューサーのクレジットに重ねているのですから。
「鉄コン筋クリート」は、暮れに劇団黒テントの松本大洋作「メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス」を見ていたので松本大洋つながり。面白かったけど、こういう物語だと、村上龍の「コインロッカー・ベイビーズ」の圧倒的な先駆性を思ってしまう。このマンガも10数年前の作だから早いといえば早いけどね。アニメになって「宝町」の空間の感覚が立体的によく出ているし、キャラクターも立っているのだけど、なぜかシロの存在感が蒼井優の声もあって、クロよりもすごく目立っている。クロは二宮くんが声をやてっているのだけど、さすがに分が悪い。このアニメ、声優に個性派をそろえているのだけど、それがあまり生きていない。本木くんもクドカンの声もそうと気づかなかったな。どうせならクロの声は阿部サダヲにやらせるべきでなかったかというのが結論。 

Posted at 11:27 午前    

月 - 1月 1, 2007

あけましておめでとうございます 


新年あけましておめでとうございます。
年の始めに何ですが、留守中のわが家で猫番をしてもらっているチヨナツさんがみごとな写真の腕前で、猫たちを撮ってくれました。親ばかならぬ、飼い主ばかによる猫自慢ですが、2枚の写真をご覧あれ。1枚目がハッピー。もう11歳の老猫です。次のがキュータロウ。8歳です。
 

Posted at 10:21 午前    

日 - 12月 31, 2006

大晦日 


27日の夜に帰国。日本に戻ってきました。
NYも暖かかったのでびっくりでしたが、戻ってきたら東京も18度ちかい暖かさ。ところがその翌々日には急に寒くなって、名古屋や京都では雪がふったとか。その晩、たぶん、空港でディレイになったらしいクリス・スコットくんがアメリカから台湾へのフライトのトランジットで日本に寄ったとのことで、電話をくれました。マカレスト大学につとめたクリスくん、慣れるまで多忙なようですが、元気はつらつとした声で近況を聞かせてくれた。
おしせまっての旅行だったので、帰国後は大掃除やらに追われました。31日になって、まだばたばたしている始末。毎年恒例ですが、いつのまにか慌ただしく正月を迎えます。
さて、かくして2006年は過ぎていきました。来年はどうなることか。とはいえ、みなさん、せめてよいお正月をお迎えください。 

Posted at 02:12 午後    

月 - 12月 25, 2006

メリー・クリスマス! 


一年ぶりのハーレムを散歩して気づいたこと。
新しいコンドミニアムなども出来て、街並みがきれいになっているし、路上に駐車している車がみな小ぎれいだ。なかにはペットの犬をつれて散歩しているひとを見かける。ちらほら白人も暮らしている!
マンハッタンのなかでもこのアフリカ系アメリカ人たちの居住区は治安の悪さで知られていたのだが、この10年ほどで安定してきたという。わずか一年だけども、この間だけでもハーレムの風景が変わってきているように感じられた。これはいいことでもあるけれど、同時にニューヨークのマンハッタンという資本主義の根城のような土地で、ハーレムだけが別の価値観とコミュニティを維持してきていたのに、そのなかに資本の論理がどんどん表から入り込んできたことをも意味する。だいたいニューヨークの不動産価格は半端じゃない。その高い地価や家賃のなかでハーレムは特別視されていただけに、相対的には安かった。白人に比べれば、はるかに学歴も年収も低い状態を余儀なくされていた黒人にとって、思いがけない価格で土地が売れたり、アパートを貸すことができるようになれば、それは願ったりかなったりだ。資本の論理を身に付けた黒人企業家たちもどんどんあらわれている。その微妙な変化が街の風景を少しずつ変えている。
中上健次が描いた「路地」の世界に近いものがハーレムにはある。「路地」よりも巨大で、人口も多いのが違いだけれど、コミュニティは強い。なにせ、ぼくみたいな東洋人以外に見えない人間が路上を歩いていると、道行く黒人のおばさんやおじさん、若者が「メリー・クリスマス!」と言ってくる。もちろん、数人だけど、見知らぬもの同士がそうやって声をかける風景など、もう東京じゃほとんど見ないと思いませんか。ニューヨークもミッドタウンやダウンタウンの繁華街はそうかもしれない。でも、一歩離れると違ってくる。どこかなつっこい。でも、その地面の下には奴隷制から始まった長い、長い差別の歴史があり、無数の人間の血が流されている。奴隷売買が始まってからだって300年ぐらいたっている。奴隷制が廃止されたのが150年前。でも、差別はつづき、公民権運動が起きるのがざっと40〜50年前のことだ。それでも、つい先日、翌日に結婚式を控ええていた丸腰の黒人青年が公務執行妨害で、拳銃を所持していると誤解したNY市警の警官に発砲され、50発の銃弾を受けて殺された。125丁目の街角では、いつもキング牧師やマルコムXの熱い演説テープを拡声器で流している店があったりする。
こうしたハーレムがしかし、徐々に変わりつつあるのだ。おそらくハーレムに在住の黒人たちのなかでも少しずつ階層分化が起きているし、NYとそれ以外の土地に住む黒人のひとたちのあいだでも格差が広がっている。ハーレムの隣にスパニッシュ・ハーレムと呼ばれる地域が生まれてきているが、アフリカ系アメリカ人たちよりも、さらに低収入で英語を話せないスパニッシュ系アメリカ人のこうした集団の登場は、階層格差の問題にさらにエスニシティ(民族)をからませ、複雑化しているのだ。
それでもなお、かれらはすれ違いざまに「メリー・クリスマス!」と呼び交う。ハーレムはやはり興味のつきない場所だ。 

Posted at 11:31 午前    

水 - 12月 20, 2006

アポロ劇場のドッグナイト 


ニューヨーク市立図書館に出かけて、10月に見られなかった「絵本」展を見る。この図書館、ミッドタウンのどまんなかにある。言ってみれば、銀座や丸の内に巨大図書館があるようなもの。日比谷図書館がそれに近いかもしれないけれど、市民との距離の近さはこちらが上だ。そこで日本の書物と絵画・写真など視覚的表現をめぐる大きな企画展が開催されているのである。古代の経典や絵巻から始まって、近世・近代の出版物、最近の写真集や前衛詩集、マンガや村上隆までをとりあげている。かなりの点数を展示し、そこに描かれているモチーフによって、天・地・人といった分類がなされている。こういう展覧会がニューヨークで出来てしまうことも驚きだが、それがパブリック・ライブラリーによって無料で展覧されていいることがすごい。出口のところにドネーション(寄付)のための箱が用意されていたけれど、それだけで到底できるものではないだろう。MOMAはしっかり入場料をとっていたけれど、市民と図書館・美術館の垣根が低いのがうれしい。思わず、いくばくかのドルを寄付してしまった。
ホールフーズなどのマーケットに寄って食材を調達し、いったん部屋に戻って夕食を食べたあと、ハーレムのアポロ劇場に出かける。今夜はアマチュアナイトという素人芸能大会のなかでもドッグナイトと呼ばれる季節ごとのチャンピオン決定戦。ここで選ばれたチャンピオンたちが、来週水曜のスーパードッグナイトで年間チャンピオンを争うことになる。スーパードッグナイトの方はすでにチケットがソールドアウト。時間的にも無理なので、今夜のドッグナイトで我慢する。去年、改装中だったアポロ劇場も新装オープンしており、チケットボックスなどもキレイ。なかはあまり変わっていないが、満席の状態。まず司会が会場を一気にもりあげ、観客から数人を選び出してダンスさせるというパフォーマンス。この前座がすむと、10組ほどの参加者によるコンペとなる。ボーカル、ダンスなどを披露して、観客からの拍手の量で順位を決める。だいたい関係の応援団がかけつけているから、もうしっちゃかめっちゃかの応援合戦にもなる。ただし、気に入らないと他の観客からはブーイングの嵐。ふつうのアマチュアナイトでは、ブーイングが強すぎると、NHKののど自慢と同じで、途中でストップ。ピエロが登場して、さえぎるようにタップを踊り出すとアウトになる。さすがにドッグナイトなので退場者までは出なかったが、互角の能力のひとたちが競うので、最終判定は微妙だった。ぼくとしてはボイス・パフォーマンスの白人青年やジェームズ・ブラウンふうな歌いぶりだった黒人青年に拍手したのだけれど、合格したのはチアガールふうな女の子たちのダンスチームでした。こうしたところは好みの違いが出ますね。 

Posted at 06:31 午後    

火 - 12月 19, 2006

ふたたびNYへ 


暮れにまたニューヨークに行くことになりました。用件をはやめにすませて、いつものようにハーレムのトミーズ・ハウスに宿泊。トミーさんとキミコさんに再会した早々、今夜、ミントンズ・プレイハウスに行かないかと誘われました。毎週火曜日はオマー・エドワーズが出るし、今夜のメイベル・アレンのボーカルもいいよと言う。11時間半のフライトで、さすがに疲れてはいるけれど、週一回のライブならここを逃すと今回は見られなくなる。よっしゃとばかりにミントンズに連れていってもらう。このミントンズ・プレイハウスは、1940年代に開業し、ハーレム・ジャズの中心地となったライブハウスで、74年に閉店したが、それを元の雰囲気のままに最近再開したお店。ご一緒したのは、トミーズ・ハウスに同宿したヒップホップ修業中という青年と、ボイストレーニングに来たという若い女性。メイベルの声量も迫力もある歌声もよかったが、オマーのタップがやはり最高でした。この日のものではありませんが、ミントンズ・プレイハウスのサイトにオマー・エドワーズのビデオクリップ がアップされていますので、それを紹介しておきます!結局、11時過ぎまでライブを見て帰宅。たぶん、30時間以上、起きている状態なので、猛烈に眠い。部屋に戻って、シャワーを浴びたらもう爆睡。 

Posted at 06:16 午後    

水 - 12月 13, 2006

教育基本法の「改正」は正しいか 


13日、教育基本法の「改正」案が国会で与党の絶対多数によって承認されました。この改正法案自体にはいろいろ問題があるのですが、そのいくつかを指摘しておきます。1947年に制定された前の教育基本法には、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。/われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。/ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。」という前文があります。これをよく読むと分かるように、教育基本法は日本国憲法と密接不可分になっています。ところが、今回、政府は教育基本法を先に改正し、次に憲法を改正しようというのです。これってヘンじゃありませんか。現行憲法はまだ生きていて、あらゆる法の上に存在している。それを変える論議をして、憲法改正になったら、その「憲法の精神に則り」教育基本法を変えるというのがあるべき筋道です。しかし、そうしなかった。
これは政府が事実上、憲法を有名無実化し、形骸化していることを示しています。そもそももう「時代にそぐわない」のだから無視してしまおうというわけです。しかし、憲法改正を前面に押し出すと反対論が噴出するから、教育基本法を先に変えて、既成事実を積み重ね、憲法改正への文脈作りをしようとしているのです。既成事実作りを行ない、法律の手続き論など棚にあげ、いやおうなしに進めていく。こういう政策のどこに「美しい国」作りがあるんでしょうかねえ。
それに、なぜ教育基本法を変えなければならないかが明確ではありません。個々の学校現場で起きているさまざまな問題や事件はこんな基本法の改正でどうなるものでもない。ただ教育振興計画など、この基本法のもとに学校補助の予算をばらまき、一律に学校支援をするのではなく、施策に合致した学校に手厚く対応しようという魂胆なのでしょう。「個人」の「尊厳」や「価値」にふれた条文を相対的に薄くし、「伝統文化」の尊重や「国や郷土を愛する心」を強調していくところが特徴的ですが、一方でこの改正に向けたタウンミーティングでやらせ質問をしていたり、もはや理念とその実現に向けた政府の動きが乖離しぎていて、あきれるばかりでした。「美しい」謳い文句を口にしているものほど、腹黒い。政治の内実がますます教育現場をむなしさで覆い、建前の形式主義だけを蔓延させていく。この間、日本的ファシズムとは何かというテーマが気になっているのですが、日本的ファシズムとはヒトラーやムッソリーニのような独裁型の権力が一極に集中したファシズムではなく、だれも最終決定の責任を負わない、その場しのぎで既成事実だけをつくり、形式を優先させていく空虚な官僚主義のことではないかと思えてなりません。もちろん、この場合の官僚主義とは霞が関の実際の官僚たちのことだけでなく、まさに政治家や企業人、教員、学者たちふくめて、成立させている思考と行動の形態のことを指すのです。 

Posted at 04:04 午後    

日 - 12月 10, 2006

1週間前の菊池寛賞授賞式のこと 


先週、菊池寛賞授賞式があったのだけれど、書きもらしていたので報告。八木書店の「徳田秋聲全集」が受賞したことは前に書いたけれど、12月1日にその授賞式と主催者である日本文学振興会の忘年会がありました。八木書店の八木壮一社長が賞を受けられ、とてもいいスピーチをされたことはいずれ八木書店のニュースでも出ると思います。ぼくとしては同じ受賞者として黒柳徹子を生で見たことと、旭山動物園の園長さんに会えたことが喜びでした。
おおむかし、まだテレビ朝日がNETという名前だったころ、大学生のぼくは4日ごとにテレビ局に泊まり込んで、深夜と早朝のニュース番組の写真資料を用意するというアルバイトをしていました。まだ、ビデオカメラもコンピュータもない時代ですから、ニュースでキャスターの背後に出る映像やフリップに使う画像はすべてアナログ写真を使います。ロッキード事件が当時、最大のニュースでしたので、田中角栄や小佐野賢治、児玉誉志夫たちの顔写真を写真保管ボックスから出して、報道部に送ったり、場合によってはポラロイドで複製して切り抜きなどの作業に提供する、そんな仕事をしていました。4日に一度、夜6時に入って、翌朝7時頃に退出する。勤務時間がけっこうあるので2日分の仕事になる上に深夜手当てがつく。真夜中は仮眠をとることもできるので、朝、会社からそのまま大学に出かけることができる。効率もいいし、割りもいいそんな仕事をしながら毎日を送っていました。たいしたニュースのないときは、テレビ局のなかを見て回ることもできます。そのなかですでに視聴率をあげていたのが始まったばかりの「徹子の部屋」。あれがいまでも続いているんですからねぇ。
旭山動物園の園長のスピーチも良かった。動物そのものを幸福な環境に置くことが見に来てくれる観客の喜びになるはずと語っていました。忘年会のときには、恥ずかしげもなく挨拶に出かけて握手してもらいました。旭山動物園に行きたいな。もうそろそろペンギンの園内散歩も始まっているはずですよ(と書いていたら、いまテレビのニュースでその映像が流れた)。 

Posted at 05:48 午後    

















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