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旅行記(2004年以前) > 1998年8月
<概要>
北東北フリーパス周遊券を使い、東北方面を目指します。宮沢賢治の街、イーハトーブこと花巻、民話の町遠野、海の幸豊かな釜石・宮古、北東北一の鍾乳洞である龍泉洞と盛りだくさんの計画です。
周遊券は、周遊エリア内で特急の自由席が使えるのが特徴です。普通列車の本数が少ないエリアでは18きっぷよりもお得な場合があります。ただし、往復には急行までしか使えないので、注意が必要です。北に行く場合は、東北本線経由の八甲田、奥羽本線経由の津軽、さらに青森から北海道方面ははまなすを利用するのが定番です。今回は花巻を目指すので、八甲田に乗り込みます。
<花巻へ>
八甲田は客車を汽車が牽引していくタイプの急行列車です。基本的に座席がほとんどですが、寝台車を1両連結しています。また、乗客の自動車を同時に乗せるカートレインも連結していました。車内は、学生旅行風の乗客がたくさん乗っていました。お金を掛けた旅行も贅沢ですが、時間を掛ける旅行も十分贅沢だなと思いながら列車に揺られていきます。
まだ日が昇るかどうかの明け方、最初の目的地の花巻に到着しました。まだ朝の5時でしたが、ここで降りる乗客もたくさんいました。若い女の子が駅トイレの横の洗面所で、歯磨き、顔洗い、お化粧と旅先でも朝の準備に余念がありません。
<花巻>
ここから観光するにもまだまだ朝が早く、朝食も調達できないので少し観光して時間をつぶすことに。幸い近くに「ぎんどろ公園」というのがあるらしいので行ってみることに。
この場所は元花巻農学校の跡地で、隣には図書館・文化会館があります。園内には「風の又三郎」の石碑があったりもしましたが、残念ながら時間を潰せるほどのものではありません。仕方なく次の場所へ・・・。公園のすぐそばに身照寺というお寺があり、ここに宮沢賢治の墓があるというので行ってみますが、これもすぐに終了。意外と時間を潰すのも大変です。
この地区はあきらめ、観光スポットの一つ「イギリス海岸」に行ってみます。イギリス海岸は地質がイギリスのドーバー海峡に似ていることから、宮沢賢治によってそう名付けられたそうです。
しかし、この年は梅雨が一度も明けず、この日も北上川は長雨の影響で増水していました。で、肝心のイギリス海岸は濁流の下。何てことのない河川敷にガックリしながら早くも観光終了。
それでもなんだかんだ2時間くらいは時間が経ち、駅に戻ると駅そばが営業を開始しています。無事朝食にありつけ、いよいよこれからが旅の本番です。
<宮沢賢治童話村・宮沢賢治記念館>
花巻といえば宮沢賢治。というわけで、宮沢賢治ワールドを体験しに、新花巻から宮沢賢治記念館を目指します。新花巻の駅からは、約1kmくらいの距離。何てこと無いと思っていたら、小高い丘にあるため、なかなかの勾配。着く頃には大汗かいていました。
宮沢賢治記念館は、宮沢賢治の作品をあまり知らい人でも、宮沢賢治の世界を知ることができる博物館です。童話村は「宮沢賢治の童話の世界で楽しく遊ぶ」というコンセプトのもと、「銀河ステーション」「銀河ステーション広場」「妖精の小径」「天空の広場」「山野草園」「賢治の学校」などに分かれていて、それぞれの世界が楽しめます。まだオープンしたばかりのようで、とてもキレイでした。記念館が博物館的な位置づけなのに対し、童話村は家族連れで楽しめるような施設です。お得な共通入場券もあるので、これらをセットに観光すると良いかもしれません。
<遠野へ>
釜石線は、宮沢賢治の花巻や民話の町遠野を沿線に持つことから、観光客に向けた工夫が凝らされています。これで車輌にもう一工夫あれば完璧なのですが。主な特徴は、沿線の駅の名前が「エスペラント語」で併記されていることです。
エスペラント語は、世界共通語を人工的に作ろうという試みの中で生まれた言語ですが、結局普及には至らなかったそうです。感じとしてはラテン語に近い印象です。なぜここでエスペラント語を使っているのか、よくわかりませんが、童話や民話の世界に足を踏み入れたような錯覚を感じるのだから不思議です。
<河童淵>
遠野と言えば河童。と、いうわけで河童に会い(?)に河童淵へ。よく妖怪モノのテレビに出てきそうな小川に河童が棲んでそうな小屋。いよいよ河童とご対面か・・と思いきや出てきたのは小柄なおじさん。河童おじさんと呼ばれること人物は、なかなかの人気者のようで、この河童淵で河童に関する様々な話を聞かせているようです。
<釜石から宮古へ>
遠野から30分ほど列車に揺られると、港町・釜石に到着です。それほど大きな駅ではありませんが、大きな魚市場がひときわ目を引きます。残念ながら、お盆中ともあって市場はお休みで、街全体が閑散としていましたが、市場が開場している日は賑わうのでしょう。
昼食を軽くとって、山田線で宮古へ向かいます。山田線は、三陸海岸を通って宮古までを結びます。国内のリアス式海岸の代名詞ともなっている、三陸海岸沿いの車窓を楽しみながら、のんびりと列車は進んでいきます。
宮古の街は、釜石と同じように漁港を持つ港町です。まだ日没まで時間があるみたいなので、浄土ヶ浜まで足を伸ばします。宮古湾を横目に歩き、さらに一山越えると波の静かな浄土ヶ浜に出ます。海岸沿いというよりは、涼しい水辺といった雰囲気の浄土ヶ浜。港町・宮古のもう一つの顔を見た気がします。
<岩泉>
この日は東北最大の鍾乳洞・龍泉洞を目指し、宮古からは途中の茂市で岩泉線に乗り換えて終点の岩泉まで列車で移動します。岩泉線では、ちょうど高校生の通学時間帯にぶつかり、車内は大変な混雑でした。
龍泉洞は巨大な地底湖を持つ鍾乳洞で、水の透明度は世界有数とか。ただ、だいぶ観光開発されてしまっているのは残念でした。様々な色のライトアップは一見美しいですが、透明度が自慢の水の自然な色を楽しみたいですね。あちこちで鍾乳洞のライトアップが流行っているようですが、過度の観光開発は逆に観光客の足を遠ざけてしまうのではないでしょうか。
<盛岡>
龍泉洞を後にして次に目指すは青森。今夜の急行八甲田で帰路に着く予定でしたので、滞在時間もあまりありません。当初は山田線で盛岡に至る予定でしたが、接続が悪いみたいでしたので、高速バスで一気に盛岡入りします。
東北最後の夕食を盛岡で摂ろうと、冷麺を求めて商店街を散策します。しばらく歩くと、冷麺のお店が何軒か固まっている場所が。そのうちの一軒に入り、ジャジャ麺なる冷麺を頂きました。香辛料を絡めて食べる冷麺で、ピリ辛の味付けが、旅で疲れた胃腸に浸みます。付け合わせの鶏卵湯(チータンタン)が程よい塩加減で落ち着きます。
残りの時間を盛岡城趾公園の散歩に当てますが、相変わらずの悪天候。結局、ほとんど晴天に恵まれることなく今年の旅行は終わりを告げようとしていました。
<会津若松へ>
旅の思い出に浸りながらも、なかなか寝付けないまま急行八甲田に揺られ帰路に着きます。午前中には自宅に着くのかと思いながら、朝焼けに染まる車窓を眺めていると、雲がほとんど無く晴空が広がりそうな空模様です。
1日も晴天に恵まれなかった今回の旅行、このまま終わるのは惜しいと思い、大胆な作戦が頭をよぎりました。それは、郡山で途中下車し、会津若松を目指してみるということでした。今回の北東北フリーパスでは、ギリギリエリア内です。
急な思いつきでしたが、会津若松ではこの旅初めての晴天に恵まれ、作戦成功。朝昼兼でラーメンを平らげ、会津・鶴賀城などを巡ります。途中、ゴリマートという名のコンビニを発見。巨大なゴリラが屋根からぶら下がっており、とても目立ちました。店内は普通のコンビニでしたが。
久々の晴天をより楽しむために、猪苗代湖に来ました。湖岸に打ち寄せる波は、まるで海のようです。手こぎボートがあったので、爽やかな日差しと湖の涼しい風を浴びながら、心地よい一時を過ごしました。
<帰宅・・>
帰りは郡山から新幹線で一気に帰宅。北東北フリーパスが往復に新幹線が使えたのを、帰りのこの時になって初めて気付きました。ワイド周遊券のイメージでいたので、エリアまでの往復には急行までしか使えないと思いこんでしました。
ともあれ、寄り道作戦の大成功によって、とても印象に残る旅行になりました。本当に旅行は家に着くまで何が起こるかわかりませんね。