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<概要>
親戚が道内に多数住んでいるといっても、多くが石狩地区に集中していますので、道東エリアなどはこれまでもなかなか散策する機会がありませんでした。
もちろん、道内に来れば墓参りの誓約が出て来ますが、今回は思い切って道東を一気に回ることにしました。知床から釧路、根室と周り、帯広を経由して札幌に至る大旅行です。
<女満別空港~網走>
道東の玄関口としては、釧路たんちょう、とかち帯広、紋別オホーツク、中標津、女満別などがありますが、知床入りを考えると、網走を拠点に女満別を目指すのが便利です。
女満別空港は、網走と北見の中間に位置する空港で、それぞれの都市へのアクセスに使われているようです。近くに石北線女満別駅があるものの、路線バス以外の公共交通機関もなく、自家用車での移動も多いため、空港周辺は特に何もありません。とくに、空港に一番近い「西女満別駅」は、鉄道以外でのアクセスが困難な「秘境駅」としても鉄道ファンに認知されているようで、空港アクセスとして鉄道が眼中に入っていないことが伺われます。
空港から網走までのアクセスは路線バスを使います。ちょうど飛行機の到着に合わせて発車するダイヤになっているので、荷物受け取りがあっても特に慌てる必要もありません。
網走湖畔を30分ほど走ると網走駅に着きます。バス自体は、駅より少し離れたバスターミナルが終着で、そこから各方面へのバスに乗り継ぐことができます。今回は網走から斜里まで釧網線を使う予定でしたので、終点の一歩手前でバスを降りました。
<網走~斜里>
網走から先は、知床まで一気に向かう計画でしたので、ここで少し早い昼食を摂ることにしました。ここで選ばれた駅弁は、帆立弁当とカニ弁当の二つ。
知床の玄関口である「知床斜里」駅までは、釧網本線で向かいます。途中、原生花園付近は、天橋立のように湖と海岸線の間にできた中州を走る珍しい路線です。とはいえ、海岸側は高い砂防に守られているため、特筆するほどの車窓ではありません。
<知床へ>
幸い、斜里からカムイワッカまでの直通バスに乗れましたので、一番奥から順番に降りてくることにしました。途中の知床五湖から先は、未舗装の道路が続いており、道幅も狭いことから、マイカーの人もシャトルバスに乗り換えて登らなくてはいけません。
ここまで来ると、完全に人間のテリトリーを出てしまったかのような感じがします。道端にはキタキツネやエゾシカなどの野生動物が出てきており、かなり近くで見ることができました。
<カムイワッカ>
バスで40分ほど山を登るとカムイワッカの登り口です。カムイワッカは強酸性の温泉が混ざっているため、河床にはコケなどが全く生えていません。もちろん魚など水中生物の姿も見られません。苔生した河岸よりも水中の方が滑りにくいので、川の中を歩いて登ります。
残念ながら、登り口から5分くらいのところにある、1の滝までしか登れませんでしたので、アッと言う間に終了です。バスの関係で40分は滞在しないといけないので、短い区間を上り下りしながら時間を潰します。
<知床五湖>
カムイワッカから未舗装の道を再び降り、マイカーとの乗り換え拠点の一つである知床五湖に来ました。一番大きな「二湖」を中心に5つの湖が点在し、その間を縫うように遊歩道が確保されています。右に左に湖を眺めながら、原生林の中を歩いていきます。
ガイドによると1周で約1時間ということでしたが、歩き慣れた私の脚ではたぶん40~50分くらいの距離でしょう。さっそうと歩いていると、途中で赤い看板が・・・。
そうなんです。熊が出る危険性がある場合は、通行できない区間があるんですね。改めて、人間のテリトリーではないと感じさせられます。結局、五湖のうち半分の行かないうちに引き返すことになりました。
<自然センター・フレペの滝>
五湖のバス停からもう一つ降りると、知床の総合案内所でもある「自然センター」に出ます。ここでは、知床の様々な案内のほか、ヒグマの毛皮なども展示してありました。
ここからは、更にフレペの滝に降りる遊歩道がありましたので、降りてみることにしましたが、途中で濃霧に遭ってしまったので、無理はしないで引き返して来ました。
<斜里>
斜里川の河口を中心に広がる斜里の街は、知床観光の拠点です。最近駅舎の改修や区画整備が行われたらしく、新品の街並みとなっていました。知床観光以外には、港くらいしかありませんが、日本海でも太平洋でもない、オホーツク海に面した港町です。
新装された斜里の駅には、観光案内所が併設されており、様々な情報を得ることができます。駅から5分ほど歩くと、道の駅などもあり、お土産などを見つけるにはうってつけです。
<釧網線>
釧網線は道東を縦断するローカル線ですが、日に2往復くらい快速が走っています。この時期になると植生も豊かなので、線路沿いに続く防雪林がまるで緑のトンネルのようです。山と牧場が交互に続く車窓を楽しみながら、拠点駅の一つである標茶に出ます。
標茶駅は、かつてはさらに東へ進む標津線との分岐駅でしたが、標津線が廃止された現在は、列車の交換を行う拠点の駅の一つとなっています。更に20分ほど乗車すると、本日の最初の目的地である塘路に着きます。
<塘路>
釧路湿原を楽しむには、「釧路湿原」駅などもありますが、ここ塘路付近は小高い丘などもあって、風景を楽しむには絶好のスポットです。ここではレンタサイクルで散策することにしました。途中、砂利道なども予想されるので、少し値段の高いMTBを借りることにしました。
長く続く砂利道を40分ほど進むと、展望台の登り口に出ます。ここからは自転車を降りて登ることになります。5分ほど登ると、シラルトロ湿原や、所々川幅の広がった釧路川を眺めることができます。
とても良い天気に恵まれたのですが、残念ながら野生動物に出会うことはできませんでした。ただ、北海道の大地の広さと、自然の広大さを感じるには十分な滞在でした。
<ノロッコ号>
ノロッコ号は休日を中心に運行されている臨時列車で、オープンデッキ風の客車を連結しているのが特徴です。一部自由席もあり、18きっぷでの乗車も可能です。
我々も、今回は特に狙っていたわけではなく、偶然来た列車がノロッコ号でしたので、釧路までそのまま乗車することにしました。ノロッコ号は、釧網線のほか、花咲線や富良野線、函館本線の大沼付近などでも運行しているそうです。
<釧路>
釧路は道内屈指の港を中心に栄える港町です。製紙工場や穀物を中心とした物流・漁業など港湾に関するあらゆる産業が活発です。今回の旅行でこれまで通ってきたどの街よりも活気が感じられます。
有名な幣舞橋の夕日は見れませんでしたが、釧路川河口付近の風景はなかなかのものでした。
幣舞橋のすぐ近くには、フィッシャーマンズワーフと呼ばれる再開発ビルがあり、おみやげ屋さんなどが充実しています。
釧路の繁華街では、漁港の街らしく、魚介類の炉端焼きの店が多く見られます。ほとんどの店はカウンターで囲まれた網で大将が目の前で焼いてくれる形式で、雰囲気の良い店がたくさんです。
<根室へ>
北海道の東端にありながら、かつては開拓の中心都市の一つであった根室。しかし、今では昆布漁を中心とした静かな漁業の街です。道東の中心都市である釧路から更に120kmもあることが、根室という街の発展を妨げているのでしょう。
根室へは花咲線が通っていますが、本数が少なく、釧路からの所要時間もかなりかかるので、よほど計画的に行動しなくてはいけません。今回は、根室での行動時間を確保するために、5:55発の一番列車で根室に向かいます。この列車は、かつては「まりも」が根室まで連続運行したこともあったのですが、現在はまりもと接続するものの、違う車輌で運行しています。そのまりもも今夏で廃止となるらしいので、この1番列車のあり方も見直されるのかもしれませんね。
この列車は、花咲線内のほとんどを通過する快速「はなさき」号として運転します。急行並に停車駅が少ないことからも、札幌から根室へ輸送するかつての役割を伺わせます。
2時間強で、終着の根室です。釧路や網走と異なり、本当に線路がここで終わっていますので、まさに最果てまで来た感じがします。
根室の散策は、観光バス「のさっぷ号」を利用することにしました。のさっぷ号は、納沙布岬方面を回るAコースと湖方面を回るBコースに分かれており、それぞれ2時間半所要です。通しで利用することも、それぞれ別個に利用することもできます。今回はAコースのみ参加しました。
Aコースの見所は「車石」と「納沙布岬」の二つ。それ以外は、車内から流して見る程度でした。車石のある花咲岬からは、断崖を見ることができました。
納沙布岬では、若干ガスっていたものの、水晶島や国後島などがうっすらと見えました。ここまで来ると、北方領土返還の最前線というようなエネルギーを強く感じました。
北方領土返還を訴える建造物から少し目を離すと、採れたての昆布を山盛りに載せたユニックが街中を走っていました。
<東根室>
根室駅がオホーツク海側にあるため、花咲線は途中から180度近く方向を変えます。そこで、一番東にある駅が終着の根室ではなく、一つ手前の東根室になります。
根室駅から東根室駅までは、約2kmくらい。徒歩で30分くらいでした。駅舎は無く、ただ降車場と案内板があるだけの小さな駅です。日本最東端と書かれた記念碑がありました。
<エスカロップ・オランダ煎餅>
根室発祥の食べ物の一つがエスカロップです。バターライスの上にトンカツを載せ、ドミグラスソースで味付けをした洋風の食べ物で、カツカレーのビーフシチュー版みたいな印象です。お目当ての店がこの日はお休みでしたので、今回は「エスカロップ弁当」でガマンしました。このエスカロップ、道内でもほとんど普及していないので、根室でしか食べられない味みたいです。
もう一つの根室の味が「オランダ煎餅」。煎餅といっても、その実態はベルギーワッフルのような食べ物です。海運の拠点だった根室にもたらされて広まったそうです。駅の売店ほか、根室の各地で手に入ります。釧路駅の売店でも見掛けました。
<帯広>
今回の旅行の目玉の一つが、帯広競馬場のばんえい十勝観戦でした。根室から一気に移動し、ナイターに間に合わせるという強行日程です。花咲線を降りると、スグに「スーパーおおぞら」に乗り換え帯広に向かいます。「スーパーおおぞら」は、札幌釧路間を4時間強で結ぶ特急で、それまで6時間近くかかっていたこのルートにとっては、画期的な列車でした。釧路から数えて、根室とおなじ120kmの距離の移動でしたが、1時間半ほどのあっという間の移動です。
帯広で降りて、宿に荷物を降ろすと、早速競馬場に向かいます。帯広の中心街から徒歩で15分くらいでしょうか。一時は経営が危ないと言われていた「ばんえい十勝」ですが、休日ともあってそこそこの人出です。先日に行った「宮島競艇」よりよっぽどマシではないかと思いました。
ばんえい競馬は普通の競馬と異なり、重いソリを引きながら、大小二つの障害(山)を越えて、順番を競います。2つ目の大きな障害を越えるタイミングがレースの勝敗を分けます。
そのため、騎手と馬との連携が普通の競争以上に問われるようです。かつては、道内の他の競馬場でも行われていましたが、現在ではここ帯広競馬場だけの開催となっています。
<札幌・スープカレー発祥の地>
今回の目的の半分であるお墓参りのため、札幌にやってきました。丸1日観光の時間を取ってはいましたが、特に観光したい場所も思い当たりません。そこで、ここ数年で一気に流行った「スープカレー」を味わってみることにしました。
札幌スープカレー発祥の店は、市電の「東屯田通り駅」と「南幌小学校前駅」のちょうど中間地点にある「アジャンタ」だと言われています。いずれかの電停で降りて線路沿いに歩くと、白石藻岩通りの南側に見えてきます。
「薬膳カレー」などと書かれた店内は、インド風の置物などで飾られていました。主なメニューは、とり:1100円、やさい1100円、とりやさい:1700円、らむ:1100円、かしみぃる1100円など。値段は少々高いですが、薬膳の名に恥じることなく、効きそうな印象です。
今回は私は「かしみぃる」を、カミさんは「やさい」を注文してみました。かしみぃる(写真)は、マトンのミンチとピーマン、ニンジンなどが浮いていました。それぞれスープの味や辛さは異なるようで、タンパクで辛さ控えめの「やさい」に対して、かしみぃるは甘い口当たりと辛さのアクセントが効いたスープでした。味覚的にはもう少し辛くても大丈夫そうでしたので、店員さんのオススメにしたがってマサラを少し加えて辛さを調整しました。
しかし、食べていくに従って、体中から汗が滴り落ちるようになりました。舌以上にカラダが辛さを感じていたのでしょうか。それとも「薬膳」の効果が出たのでしょうか。これまでに食べたカレーでは感じたことのない感覚でした。
<札幌ドーム>
ちょうどマリーンズの札幌遠征と合わせることができたので、夜は野球観戦です。札幌ドームは羊ヶ丘の一番北端に位置しており、クラーク像から見ると眼下に見下ろす感じになります。地下鉄東豊線の福住から徒歩で10分くらいですが、バスなどの競合路線が少ない上に、東豊線のキャパも少ないため、人口密度が大変高く感じられます。
バックネット裏上段の席を取ったのですが、入口は1塁(ビジター)側を案内されました。福住駅側から歩くと、ちょうど半周ちかく札幌ドームを回る形になります。更に、バックネット裏の席に向かうまで、内部を半周。もう少し近い入口から入れて欲しかったです。
広島に行ったときも思ったのですが、TEAM26のいることいること。ビジターでこれだけ貢献できる球団は少ないと思いますよ。ビジター応援席は見るからに満席でした。具体的には、マリンのライトスタンドのように、座席数以上の人口密度を感じましたが・・。
<総括>
これまでの旅行でも、移動しながらの観光スタイルが多く、現地での移動距離も必然的に長くなる傾向がありましたが、ここまで移動距離が長かったのは(列車乗り潰しを除いては)初めての経験かもしれません。北海道は馴染みの地ではありますが、行く度に鉄道事情が少しずつ変わっていくのに毎回驚きます。今回の驚きは、道内の夜行特急が廃止直前であることでした。高速車輌の導入により格段にスピードアップしましたが、それでも早朝に釧路や稚内、網走といった都市に札幌からアクセスして、1日たっぷり観光しようと思う人が少なくなったのでしょうか。道内での旅行スタイルの変革が始まっているのかもしれません。
今回の旅行では、エスカロップやスープカレーといった「ご当地の味」に出会うことができました。このご当地の味が洋食なところが、いかにも北海道っぽいと思いませんか? 私の少し歳の離れた弟が「僕にとってのおふくろの味はハンバーグだ」と言っていましたが、経験によっては洋食にも郷愁を感じることもあるのでしょう。エスカロップは40年以上の歴史があるそうですから、これ以降の世代の根室出身者にとっては、エスカロップが「田舎の味」となるのでしょうね。