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千葉県木更津市

<概要>

 

 千葉県の内房地区(東京湾側の沿岸地域)の中でも古くから中核的な役割を担ってきた街です。学生時代のうち5年間を過ごしました。

 港を中心として街が開けており、海と山の幸の両方に恵まれています。東京湾アクアラインの玄関口として成長が見込まれたものの、車社会が急速に進み、木更津駅前の商店街はそごうの撤退を皮切りに倒産が相次きました。その結果「シャッター街」とも呼ばれるほど廃れてしまっています。

 しかし、清見台地区に大型ショッピングセンターが整備されるなど、人の流れそのものが変わっただけで、街が大きく廃れているわけではないとの見方もあります。

<木更津駅前>

 房総地区の中心である木更津は、元々栄えていた港を中心に市街が広がっています。行政関係機関もほとんどが港の近くのエリアに存在します。その玄関口である木更津駅は、かつては西口にそごう、東口にダイエーやEPO(エポ)などのデパートと供に賑わっていました。

 木更津は房総地区行政の中心であるとともに、多くの大学・高校を擁する学生街でもあり、通学の拠点となる木更津駅周辺は、若者向けの店舗も多くあった記憶があります。

 現在は、少子化と移動手段の中心がマイカーにシフトしたことが影響し、木更津の中心は清見台などの郊外にある大型店舗に移り変わってしまいました。木更津駅前は閑散とし、商店街の店舗の多くが廃業してシャッターを閉ざした状態であることから「シャッター街」と不名誉な愛称が付けられています。

  

 現在は、西口にそごうの旧店舗を利用したショッピングモールが展開されているほかは、目立った商業施設はありません。東口は、高速バスのターミナルとしての役割が大きいように思えます。

 

 木更津の駅とは直接関係ありませんが、木更津といえば「パー線」こと久留里線が鉄道ファンの興味を引くようです。千葉県内のJR線では唯一の非電化路線で、ここでしか運用していない車輌があるそうです。

<みまち通り〜八剱八幡神社>

 西口の旧そごうの裏手に出ると「みまち通り」と呼ばれる商店街に出ます。この先には証誠寺がある関係で、各店舗ごとに狸の置物が飾ってあります。

  

 残念ながら「シャッター街」の魔の手はこの商店街にも影響を及ぼしているようで、閉店してしまっている店舗も多いですが、下町っぽい雰囲気のする商店街です。

  

 みまち通りを抜けると証誠寺・・・かと思いきや、その終点にあるのは八剱八幡神社です。証誠寺よりもずっと広く、落ち着いた境内はみまち通りとマッチしていて良い雰囲気です。

<証誠寺>

 一番ポピュラーな名所でしょうか。ただ、その発祥の地がここ木更津であることは、千葉県民でも結構知らない人がいるくらいです。お寺自体も駅から比較的近くにあるものの、発見しづらい場所にある上、大々的に観光案内もしていない地味なお寺なので、私も住み始めて3年くらいは気付きませんでした。

 木更津駅を西口に降りて、旧そごうの裏手を進みます。たぬきの石像があるみまち通り商店街を抜けてしばらく歩くと、矢那川を渡る直前に小さな案内看板があります。門徒(浄土真宗)のお寺なので、作りは大変質素で、狸塚や歌碑がある庭園を入れても、敷地は大変狭いです。今でもたぬきを数頭飼っているそうですが、名前が売れている割にはそれを感じさせない静かな空間です。

  

 ついつい見逃しがちですが、木更津市が設置したマンホールの蓋はたぬき囃子をモチーフにした絵柄だったりします。雨水用はカラーだった気がしますが、時間が経って剥がれてしまったのかもしれませんね。なかなかカワイイのでお見逃し無く・・。

<太田山公園>

 東口で降りて、ロータリーからまっすぐ伸びる大通りを10分程歩きます。国道16号線のすぐ手前にある小高い山が太田山です。中には、木更津・君津地区の古くからの暮らしがわかる「上総博物館」や、日本武尊(ヤマトタケル)の伝説にちなんで建てられた「きみさらずタワー」などがあります。

 日本武尊が東征でこの地を訪れた際、荒波を沈めるために妃の弟橘媛が波間に身を投じました。日本武尊は弟橘媛を偲び、永く海を望めるこの太田山に滞在したと言われています。この時に日本武尊が「君去らず~」の歌を遺したことが、ここ「木更津」と「君津」の地名の起こりとの言われています。

  

 ここ太田山は、この悲しい恋の伝説から別名「恋の森」と呼ばれており、恋愛成就の地とされています。この故事に因んだ「きみさらずタワー」は、太田山から更に高いところにあるため、眺めは最高です。中の島大橋よりも広く見渡せます。

 2本あるタワーの頂上には(人は上れませんが)、ヤマトタケルと弟橘姫の銅像がそれぞれ向かい合って立っています。この銅像をうまく見れるポイントが全く無いのが残念なところです。

 タワーの下には、弟橘姫を祭っている橘神社があり、ヤマトタケルの故事について解説したボードも掲げてあります。

 残念な点は公園としての手入れがあまり行き届いていないところ。森の中の遊歩道は大変歩きにくく、階段も崩れたまま修復されていないところがあります。観光スポットとしてもっと力を入れてほしいですね。

 同じく太田山の中にある県立上総博物館は、上総地区の民芸・文化に関する資料がよく集められています。表にあるハムスターのおもちゃが巨大になったような展示物は、国際協力でも実績のある井戸掘り技術「上総掘り」の展示です。人力で掘る方式の中では世界で最も深くまで掘れるそうです。2008年10月より、運営が県から木更津市に引き継がれ、「木更津市郷土資料館 みすず」としてオープンしました。

 太田山内のもう一つの名所は「旧安西邸」です。藁葺き屋根の家が丸々キレイに保存されており、入場は無料です。内部は(日によりますが)ボランティアスタッフが案内してくれます。

<バーベQ弁当>

 木更津のあまり知られていない名物のひとつがバーベQ弁当です。上りホーム君津側の売店で売っています。全国駅弁100選に当選しました。味付けのしっかりしたお肉がご飯の上に載っていて、なかなか豪快です。駅弁の中では珍しく若者向けの一品かもしれません。仲間内では「ベキュー弁当」と呼ばれていました。

   

 元々は地元の「浜屋」が製造・販売を行っており、木更津駅構内の売店も浜屋の経営でしたが、近年は駅弁事業を千葉の弁当大手「万葉軒」に委託しているらしく、駅構内で買える駅弁は「万葉軒のバーベQ弁当」として販売されています。

 で、その浜屋はと言うと・・。市内で店舗経営を続けています。木更津西口の旧そごう裏手にある「吟米亭浜屋」では、現在でも「浜屋のバーベQ弁当」を売っています。

<としまや弁当>

 バーベQ弁当と並んで忘れてはいけないのが「としまや」です。緑色のカバとオレンジの屋根のコントラストが印象的な、木更津発の弁当チェーンですが、24時間営業や書籍、雑貨の取扱など、コンビニに限りなく近い営業形態の店舗も多く見られます。

 中の島大橋の対岸にあたる地区にある「新宿店」は、としまやグループでも最古かつ最大の店舗で、仕出し事業などの中心も担っているようです。各店舗とも、出来る限り手作りによるお弁当を供給しており、ホカ弁よりも美味しく、融通が利く(付け合わせを取り替えてくれたりなど)ため、木更津在住時代は良く利用しました。最寄りの店舗は24間営業ではありませんでしたが、近隣では22時で閉まるコンビニよりも遅い23時までの営業時間でしたので、大変重宝しました。雑誌もコンビニではなくとしまやで購入していました。

<巌根海岸と潮干狩り>

 潮干狩りの名所として知られる巌根海岸。かつては潮干狩りシーズンに合わせて国鉄が臨時列車を走らせていましたが、今はマイカー化やレジャーの多様化、少子化などが原因か、かつてのような、どうにもならないほどの混雑にはならないようです。

 写真は江川海岸での潮干狩です。巌根エリアは、漁協毎に潮干狩場を管理しており、500円~1000円程度の入漁料を支払って潮干狩りを楽しみます。江川のほか、牛込、金田、久津間や中の島など、木更津市内の海岸では複数の潮干狩り場が運営されています。首都圏で潮干狩りと言えば三番瀬などでも観光客を呼び込んでいますが、こっちの方が貝のサイズが大きい気がします。

  

 意外と思われるかもしれませんが、内房地区で潮干狩りができる地区はわずかです。と言うのも木更津を除く多くの市で沿岸部に企業を誘致しており、海岸のほとんどが企業岸壁等として整備されているためです。木更津市は地元産業である潮干狩りを守るために、企業誘致による税収アップを投げ打ったということになります。結果、内房地区では一番のビンボー市となってしまい、シャッター街への対応の遅れも財政難が原因と言われています。潮干狩りは守って欲しいですけどね・・・。

<東京湾アクアライン・わくわく市場>

 東京湾アクアラインの開通によって、木更津<->東京都内・横浜・羽田空港といった高速バス路線が一気に発達しました。これにより、人の流れは鉄道中心から自家用車・バス中心に一気に傾き、駅前の過疎化が急激に進みました。

 人の流れの転換は、シャッター街を生んだ一方で、新たな街を形成しました。圏央道の整備と共に、清見台や請西地区の山を切り崩し、巨大ショッピングモールが発達しています。マイカー中心となった、木更津地区の暮らしスタイルにあった街ができあがりつつあります。

 

 また、マイカー中心の暮らしの中で高速バス利用を伸ばそうと、「パーク&ライド」の仕組みも発達しつつあります。高速バス乗り場付近には、広大な駐車場が用意されており、ここでマイカーから高速バスに乗り換えてもらおうというシステムです。

 このような変化の下、マイカー利用者やバス乗り場に集まる人を取り込もうと「わくわく市場」などの物産販売所もお目見えしています。アクアラインが木更津の街の様態を一気に変えてしまったのですね。

  

<木更津港>

 重要港湾に位置づけられている木更津港。ただ、旅客船の運行は無いので人の流れはまばらです。木更津駅の西口に降り、ほぼ真西に1kmくらい歩くとすぐに港が見えます。「木更津キャッツアイ」で有名になった中の橋大橋は、潮干狩や釣りの名所である中の島と木更津港を結ぶ橋で、車の通行はできませんが、自転車やバイクは通れるようになっています。

  

 橋の勾配が結構キツいので、自転車は大変かもしれませんが、歩いて渡るのも結構しんどいです。橋の一番高い部分はTP25.3m。真下を船が通ることもあるので、数字以上に高く感じます。ここからは木更津港だけでなく、市街全体を見渡すことができます。空気が澄んでいれば対岸の横浜を見ることができます。

  

 かつては港から栄えた街だけあって、市役所や警察署、県の合同庁舎など「お役所関係」はみんな港の近くのこのエリアに集中しています。