実は、これ98年の11月には書いてあったんですけど、イラストを先送りにしているうちに本日(99年8月15日)を迎えてしまいました。今さら1年半も前のことをアップするのも気が引けるんですけど、逆にここまで書いた以上、引くこともできません。よろしくお付き合いください。
さあて、いよいよ16日はアリーナ3列目だ!
チケット取りには何の苦労もしなかったけど、まあ、これまでのチケット獲得努力に対するご褒美だな。
16日朝、出勤する時に家庭内でひと悶着ありました。
「お父さん、今日遅くなるからね」とガキに告げたのがきっかけです。
「なんで?」
「今日もストーンズに行くんだよ」 と、うっかり言ってしまったのが運のつき。いきなりガキが泣き出したのです!
「ぼくも行きたい……うえっうえっ……」
「ええ? もういいやって言ってたんだろ?」
「でもやっぱり行きたい……うえっうえっ……」
「悪いけど、もうチケットがないんだよ。また今度、な! 今度ストーンズが来たら、またいっしょに行こう!」
「今日行きたい……うえええええ」
ここで家内が“行け”を意味する目配せ。後を家内に任せ、とにかく家を出ました。次回の来日の時は、事前によ〜く打ち合わせないといけないな。もっとも、その時は奴も小学生だろうから、今とは反応も違うだろうけど。
例によってクソ忙しいのに、5時半に終業のチャイムを聞くと、そそくさと帰り支度をはじめ、一路ドームへ。
チケットがあるかどうか、何度も財布の中をチェックします。ダフ屋から「アリーナあるよ!」と声をかけられるたびに、「ふふん。もう持ってるよ」と性格の悪い快感を覚えました。
「アリーナの方、こちらからも入場できます!」係員の声に、私は更に性格の悪いことを思い付きました。こちらからもということは、アリーナじゃない奴もここから入るんだということに気付いてしまったのです。
私は迷わずそちらへ行きました(笑)。
スタンドの段階でチケットと座席番号を比べている人たちを尻目に、私はスタンドの通路を大股で歩きました。チケットには目もくれず(笑)。
迷わずにフェンス際まで行き、係員にチケットを見せると、「どうぞ!」と通してくれます。きっと何人かは「いいなぁ」と思ってくれたのではないでしょうか。でなければ、私の行動は無意味すぎます(笑)。
前回のツアーでは、最前列にもかかわらず、チャーリーの姿が拝めなかったという悲しい出来事があったので、席についたら早速ステージのチェック! おお! 今回はドラムセットがよく見える! OK!
センターステージだって、結局スタンドから見るよりも近くだし。なかなかいいぞぉ、こりゃ。クックック。ホーン・セクションが見えづらいという難点はありますが、ここまで近くに来れて、そこまでの贅沢を望んだらバチが当たります。H(バクチ)、一生感謝するよ。親戚の子ができるだけ長く○○○に勤めてくれると助かるんだけど(笑)。
99.8.14 追記 その子は故あって退職し、チケット獲得のルートは断たれました(泣)。
ふと見ると、元ブルーハーツのヒロトらしき人が斜め前にいますが、あんまり興味がないので、そのまま放置しました。ファンの方には申し訳ないけど。
いつものように、コンサートが開始しました。この日のストーンズはヤル気にはやっているようで、何だか物凄い演奏をします。なもんで、初っ端から我々は大興奮状態に。もっとも、アリーナにいること自体が興奮状態を呼び起こしていたのかも知れませんが、まあ、そう区別ができるもんでもないですから、今更分析するつもりはねえです。
今回は、前回のツアーよりも花火の仕掛けが派手めだったので、ちょっとした発見がありました。
あれだけ近くで花火が炸裂すると、顔に熱を感じるのです。しかも、火薬のにおいがしてきます。大したことじゃないんですけど、凄いもんだなとよくわからない感心をしたもので。
あと、改めて言うことじゃないのかも知れませんけど、奴らの存在感には度肝を抜かれました。たぶん、長年のライブ経験で体に染み付いているんでしょうけど、とにかく異常なカリスマ性ですよ、あれは。
前回のツアーで最前列に行った時は、ひたすら興奮していたので感じ取れなかったのですが、多少なりとも客観的に見ることができた今回は、かえって奴らの凄さを感じることができました。
何しろねえ、ミックがスタコラと通路を歩いてくると、心の底から無条件の興奮が湧きあがってくるんですよ。その姿を見て、「ああ、あのミックがこちらに来る!」というのじゃないんです。よく区別はできませんが、ミックがこちらに来るのに気付く前に興奮して、その後でミックに気付く、くらいに感じるんです。
きっと、人からはオーラみたいなのがやっぱり出ていて、ミックとキースは多分その量が異常に多いんですよ。たぶん、それを感じ取る方のチャンネルもある程度必要なんでしょうけど、あれだけのカリスマ性を身にまとってりゃあ、誰でも感じるね、あれは。意図的に感じないようにしていれば別だけど。奴らこそ、“ナチュラル・ボーン・スーパースター”です。
この日は、やはりアリーナということもあり、95年に私が敢行したキースへのプレゼントの話が出ました。
「何だ、通路こんなに近いじゃん。tadaさん、プレゼント持ってきた?」というわけです。
まあ、私はもうそういうことは卒業したから(嘘)。でも持ってくりゃよかったなあ……。そこでH君(ブルース好きの方)は一計を案じ、急遽“煙草の差し入れ”を思い付きました。彼は、キースの真似をしてマールボロを吸っていたので、それをキースにあげよう、と思ったようです。
「そっかあ! 俺の吸ってた煙草をキースが吸うのか!」すっかりH君はその気になっています。
何しろ我々がいたのはキース・サイドですから、何度かキースが目の前までやってきます。1度目のチャンスを見逃したH君、2度目にチャンスに、キースめがけてマールボロのパッケージを投げた!
……しかし、あえなくマールボロはフェンスと通路の間にへなへなと落ちていきました。その瞬間、H君の目からは生気が失われていきました。一部の観客が、「何やってんだ、こいつ」という目で見ています。そりゃそうでしょう。結局、キースにゴミを投げたのと同じことなんですから(笑)。
この日の出物は、キース歌うところの「All About You」。バラードが得意なキースのボーカル曲の中でも、ベスト5に入る名バラードです。しかし、この曲をストーンズの生演奏で聞ける日が来るとは……。おやじファンにとっては、感動ものでした。
あと、センターステージは少々おかしかったですね! スタンドだと、見てる方向おんなじだから違和感ないんですが、アリーナからだと、斜め後ろに向かなきゃならないですから。
その後も興奮状態が続き、いよいよアンコールの「Brown Sugar」です。これまでスタンドから他人事として眺めていた、ものすごい量の金色の紙ふぶき。あれに身をさらせるのかと思うと、何だかニヤニヤしてしまいます。
![]() 下らないとは思いつつ、ついつい拾っちゃうんだよねえ…… |
帰りがけに拾うことを取りあえず決定し、後はステージに熱中しました。この変わり身の速さ!
で、帰りがけに拾ったのが、この紙ふぶきです(笑)。
この日の曲目はこちら!
その後、飲みに行って終電を逃したところまではいつも通りとして(笑)、翌17日はとんでもないことになりました。
この日だけ6時に開演だったので、忙しいってのに堂々と午後半休を取った私は、いったん家に戻って着替えを済ませ、意気揚々とドームへと向かいました。既にグッズ売り場は長蛇の列が出来上がっていたので、とりあえずドームの中に入り、席を確認した後ロビーで喫煙という、せっかく早く来たのにあんまり意味のない待ち時間を過ごしました。
開演時間間際になると、いつもの二人のH君のほか、私の同期のこれまたHがやってきました。何でも、終業のチャイムと同時に出てきたとのこと。ここで「tada、半休取る必要なかったんじゃないの?」という方、それは甘い! 忙しい時期に終業と同時に会社を出るのは不可能なんです。だったら、潔く休んじゃった方が、まだましなんですよ。
開演時間6時だというのに、6時を過ぎてもなかなか客電が落ちません。そんな中で、私の席の真ん前に、長髪(あえて言えばブライアン・ジョーンズ風(笑))に白Tシャツにジーンズに長髪、しかもデブという男が座りました。
「何だよ。前がデカイ奴だと見えにくいな」こんな私の感想は、まあ至極当然なことです。しかし、それだけじゃなかったんです! こいつのせいで、99年8月現在、私にとって最後のストーンズのライブが、さんざんなものになってしまうとは……。
最初は静かに座っていたんです。それが「こいつやばいんじゃねえの?」に変わったのは、開演寸前のそいつの行動でした。
奴は、いきなり口の両側に手を添えると、えらい大声で、何やら英語を叫んだのです。瞬時にして、周囲は凍りつきました。我々も同様だったのですが、いやいや、こんなのは序の口でした。
結局6時半くらいになって、場内暗転、「おうあ〜〜〜」の後、キースが出てきて、「Satisfaction」のイントロを……弾き出すと、奴は両腕を高々と差し上げて立ち上がったのです。その腕が太いもんで、前が見えない! それでも、何とか隙間を縫って見ているとミックが登場。さあ、歌い出し……と思ったら……。
![]() |
おいおい、何が哀しくて、ストーンズのライブで気持ちが引かなきゃならないんだ! しかも、曲中ず〜〜〜っと腕を上げたり下げたり! よくわかんないのは、両腕必ず同じアクションなんです。しかも、なぜか人差し指と小指を立てて、ガッ!と腕を高く差し上げると、手首から先だけをプルプル振るんです。
とりあえず2曲目の「Let's Spend The Night Together」までは我慢しました。興奮してるだけで、そのうち落ち着くさ……
でも、それは甘々でした。
3曲目の「Flip The Switch」が始まっても、奴はおんなじように腕を振り上げたんです。ガタイがいいだけに、正直言ってビビリがありましたが、もう我慢ならない! こうなりゃケンカ覚悟で文句言うしかない!
肩をバシッと叩くと、奴は振り向きました。その時の印象は、「サモ・ハン・キンポーに似てる!」でした。今思うと、どっちかって言えば林真須美容疑者の方が似てたかも知れない。怒りにまかせ、「見えないよ!」と怒鳴ると、奴は……いきなり涙目! 「えええっ? 見えなかった? ごめんね! ごめんね!」としきりに謝り、なれなれしく人の腕に触ってきます。
さすがに、その後は振り上げる手は自分の前方向になりました。もっとも、時折思わず上に振り上げて、あわてて戻したりしてましたけど。
それにしても、気持ち悪ぃな、こいつ……。これ以上関わるのはごめんだ! 「Angie」のようなメロディのある曲でも、「あんじ〜〜〜! あえ〜〜〜んじ〜!」と一本調子でがなっていましたが、もうこいつと関わりたくない一心で、聞こえないようにステージに集中しました。
ところが、奴の前の席の女性は、やはり声がモロに聞こえる位置だけに、我慢ならなかったようで、振り向いて文句を言いました。曰く
「ちょっと静かにしてくれる? 私、あなたの歌じゃなくてミックの歌を聴きに来たんだから!」そりゃそうだ(笑)!
しかし、奴はここで信じられない厚顔ぶりを発揮したのです。おもむろに彼女の肩を両手で抱くと、こう言いやがった!
「勘弁してよ〜。セックスの時、声出さないと盛り上がらないでしょ? それと同じだよ。楽しもうよ、もっと」と、ぬけぬけと言い放ちました。こいつ、本当にコンサートに来てる自覚があるんだろうか……。その後、彼女は何回も振り向いて文句を言っていましたが、奴は何故だか自分が絶対正しいと思い込んでいるようで、「ふふん」てな態度で接しているのです。
途中のインターネット・リクエスト・コーナーで、こいつの正体が割れました。
投票の結果、「Memory Motel」を演奏することになりました。我々は、95年の東京最終日を思い出し(第6話参照)、顔を見合わせて思わず「おお〜〜〜!」と声をあげたのですが、奴はいきなり振り向くと、無礼にも我々を指さしながら、「3年前と同じ!」と叫んだのです。
馬鹿! こちとらその“3年前”、アリーナの最前で見てるんだよ!
挙げ句の果てにサッとステージに向き直るや、「Excelent selection!」と叫ぶ始末。英語で言うってことは、ストーンズに聞かせようってことでしょ? そんなの、こんな遠くから聞こえるわけないじゃん(笑)。
要は、奴は単なるマニア野郎で、ストーンズが好きな自分が好きなだけの野郎だったというわけです。その後も英語で声援を連発する奴を尻目に、我々は「かっちょい〜〜〜!」とか言ってました。
![]() ![]() ![]() こんなの見せられた日にゃ、コンサートに集中できっこないよなあ…… |
左図参照
……ね、変でしょ(笑)? とくに真ん中のポーズ。スタン・ハンセンというか、ブラックサバスというか(笑)。
林容疑者みたいな奴に目の前でこんなことやられて、しかもメロディも糞もないただのがなり声を聞かされて、コンサートが楽しめますか! ああ、この日の「Memory Motel」はデイブ・マシューズが入ってなくて本当によかったのに……。
奴は最後までずっとこの調子でした……。
その後、いつもの店に飲みに行ったのですが、そこで出る話題は奴のことばかり。東京最終日にする体験としては、ひどすぎます! 話題が途切れるたびに誰かが奴の曲間ポーズをまね、爆笑の後の溜め息が訪れる。こんな飲みになりました。おかげで終電に間に合いましたけどね(苦笑)。
もしもストーンズがもう来日しなかったら、これがストーンズの最後の思い出になっちゃうじゃん! 頼む、また来てくれ!
この日の曲目はこちら!




