◆還暦を過ぎても異様に元気なストーンズ、何とまたしてもワールド・ツアー開始! まったくこの人たちは止ることを知らないのか! A Bigger Bang ワールドツアーの発表から来日公演直前まで。
 すみません、いきなり謝ります。前回の最後に触れていた企画ですけど、これを書くその瞬間まですっかり忘れていました(笑)。
 お恥ずかしい話ですが、あの話は思いっ切り反故にしちゃってよろしいでしょうか? え? ダメ? いや、ダメでも反故にせざるを得ないんですけどね…… さて、では何もなかったように話を進めましょう。

 いやもうまいった。参りましたよ。
 Licksツアーの時にも書きましたけど、当時は「これで最後かも」とけっこう真剣に思ってました。だって、ニューアルバムを出しませんでしたからね。
 過去の名曲をとっかえひっかえで演奏するようなツアーでした。それはそれで非常に良かったんだけど。
 とにかくメンバー誰もが元気いっぱいのツアーで、思う存分楽しませていただきましたよ。
 あまりに元気なもので、早い段階で「こりゃ当分できるな」とも思いました。ええ、思うでしょ、そりゃ。
 でも、ニューアルバムは出なかったし、Forty Licksの新曲4曲も今ひとつ。ああ、もうアルバム1枚作ったり、狂喜乱舞したくなるような新曲を作ったり、というのは無理なのかなと。
 そうこうするうちに、チャーリー・ワッツが、あの我らがチャーリーが、癌だとのニュース。完治したと伝えられはしましたが、いくら何でもツアーが可能なほど回復するとも思えませんでした。
 しまいにゃロニー先生がま〜〜〜たアル中に。
 こりゃダメだ。もうツアーなんてできないだろ。Licksの時、ロンドンや香港に行っておいてよかったなあ。それにしてもあの香港が最後か……。

 ところが、これが誤算でした。
 よもや前回のツアーから2年もしないうちに、ニューアルバム作ってツアーに出るとはね。しっかしまあ、なんて頑丈な年寄りでしょうね(笑)。俺の方が絶対早く死ぬよな。
 ちなみに前回ツアーまでに、「ストーンズが来るたびに子供が増える」というジンクスが私にはあったのですが、今回はその運命は免れました。はい、免れましたよ。

 そして、忘れもしない2005年5月10日がやってきました。
 オフィシャル・ファンクラブから「東部時間午後1時に、ここにアクセスしろ。見逃すな」というメールが届きました。
 来た! 来たよ。
 ツアー開始の発表会見に違いありません。
 その時の様子はPowerBook日記に書いたので、あんまり詳しくは書きませんが、日本では深夜2時からのスタートですからね。一度寝て、夜中に起きて食い入るように見ました。
 特によかったのが、そこでの演奏はホントにストーンズのメンバーだけで行われたことです。“カウントじいさん”窓チャックも、ホーン隊も、コーラス隊も、便利屋(ブロンディ)もいません。メンバーじゃないのはダリルだけ(そりゃベースだからね)の5人による演奏でした。
 演奏そのものは、まあ、ほめられたもんじゃありませんでしたが(笑)、技術とかそういうこと以外の部分が重要なんです。
 飾りがないストーンズだけで、音圧の強い、力強い演奏が聴けた、というのが大事です。

 で、実はそのだいぶ前からストーンズのオフィシャルFCの会員権(?)を更新していたんですが、最大の特典である“いい席の先行発売”は(何せツアーがなかったんだから)行使してませんでした。
 すると、来ましたね!メールが!
「5月9日以前の会員の方は、そのまま権利継続ね。で、ほかの会員さんよりも1日早く先行発売出すからさ。よろしく」

 えらい!(笑)

 マーケティングとかそういうこと以前に、「お得意さん優遇」は商売の基本です。
 特に“細かい優越感”を感じるのが大好きな私にとって、いつも来る先行発売メールの中で、「Pre May 9 member」という優遇される側に入っているのが嬉しいのなんの。
 もっとも、その一方で1年前に約束されてたはずの“記念ポスターと会員限定DVD”はいつまでたっても送られてこなくて、「今、マスターできたから」とか「発送準備に入った」とか、そば屋の出前並みの言い訳がFAQに掲載される始末でしたけど。
 あ、さすがにもう届きましたよ。でも、「発送準備」とやらから半年はたってましたけどね。

 そうこうするうちに、ニューアルバムの具体的な情報が出回り始めます。
 いけないことではありますけど、音源なんかも当然のように出回りました。

 そして05年8月21日にボストンでツアー開始。ちなみに、この日に新居に引っ越したので、我が家は別名“ビガバン御殿”と申します。
 玄関に入るとすぐにファンクラブ特典の大型ポスターが目に入り、リビングにはベロマーク入りの飛行船(kunchanより寄贈)がつるしてあります。そこ、「それ、LicksツアーのグッズだからBigger Bangと関係ないじゃん」と突っ込まないように。

 さて、ツアー開始の10日後、8月31日の0時、iTunes Music Storeで「A Bigger Bang」が発売されました。そりゃCDも買うつもりでしたけどね、目の前で売ってるのに我慢できませんよ。
 即、ダウンロード購入しました。で、その場で2回ばかり通して聴きましたよ。平日で、翌日は仕事でしたけど、要は朝起きりゃいいんでしょ。死にやしないって。
 詳細は「レコードと私とストーンズ」に書きますけど、今回のはよかった。
 もちろん、ストーンズの新しい方向性を指し示すような何かとか、度肝を抜かれるようなリフとか、そういったものはありません。
 でも、ミックとキースが共同で曲を書き、それはミックの歌い方が生きるような楽曲で、キースが手クセで弾きまくれる曲なので、全体に緊張感がありつつリラックスしている快作でした。
 こういうのは基準をどこに置くかで評価が分かれるんですけどね。聴いてて気分がいいかどうかというシンプルな基準では、疑いなく傑作です。

 かくして始まった全米ツアーはどこも盛況。
 例によって友人たちが次々と渡米しては見に行きます。挙げ句の果てにはおなじみH君(ブルース好きの方)まで嫁をMSGに強制連行する始末。
 く、くっそー……
 「ロンドン公演には必ず行く」という決意だけが心の支えです。

さて、恒例のむやみにデカイステージですが、今回はこういうのです。
A Bigger Bangツアー用ステージ

すみません。もうイラストで起こすのがめんどくさくて。

 スクリーンの両側にある立体駐車場のようなスペース、これが何と今回は客席なんです。いやはやいろんなことをよく考えるよねえ、ホントに。
 しかもスクリーンの機能があるようで、映像もものによっては写真のように映るようになっています。

 例によって、日本公演はいつまで経っても発表されません。
 上記の記者会見で、ツアー・プロモーターのマイケル・コールが、欧米以外の地域については「Japan」はそのまま言い、「China」は「Probably」が付いてたので、恐らく日本公演そのものはありそう。
 でも、どこの呼び屋が呼ぶかが固まっていないようでした。

 そうこうするうちにヨーロッパツアーが発表。うう、来日の発表なんか、待ってられねえ。
 家内からロンドン行きの許可を取り付け、11月29日にはロンドン公演の良席を押さえました。追加公演もKちゃんの努力で良席ゲット。
 ははははは。もういいや、来日しなくても(笑)

 と、思ったのも束の間、12月上旬には来日の情報が聞こえ始めました。
 加えて日刊スポーツと北海道新聞がフライングで記事にするというおまけつき。
 にわかに風雲急を告げてきました。来日しなくても良かったんだけど、来るとなれば「行かない」という選択肢はないし、どうせならいい席で見たいですからね。

 ところがですねえ、今回はいつもの呼び屋さん(ウドー)ではなく、JECというところが呼ぶというんです。
 ちゃんと呼んでしっかり開催してくれるなら、どこが呼ぼうが関係はありません。
 ところが、入ってくる噂はろくでもない噂ばかりなんですよ、これが。

 曰く、
「Pのコンサートでアリーナ前方のチケットを丸々二重発券。客入れ後に発覚するも、そのままコンサートを強行し、大混乱」
 曰く、
「RS(ストーンズじゃなくて、ソロ歌手です)を呼ぶということでチケットを売ったのに、結局契約ができず、来たのはJBだった」
 曰く、
「某有名ミュージシャンのバックバンドを、スタッフの一員扱いしてタコ部屋をあてがい、激怒した彼は自費で部屋をアップグレード」
 曰く、
「ドームともめており、口座を持てない。だからドーム公演なんか無理」
 曰く、
「コースも考えずに地方公演を組むので、アーティストにもスタッフにも不評」

 ……
 どーですが、お客さん。

 これだけ評判の悪い呼び屋も、そうはないでしょう。

 こういう状況で、ロンドンのチケットも押さえてある。
 となるとね、
 「今回は来日しないで欲しい」
 こう思ってしまった私を、誰が責められるでしょうか。

 そして、年の瀬も年の瀬、12月28日になって、この広告が掲載されました。

ひどい新聞広告10段
 ……唖然。
 日本語のまちがい、無意味な「!」の三連打、センス皆無のインチキ旅行会社みたいなレイアウト(“デザイン”はされていないと断言します)も凄い。
 でも、これは“広告”ですらありません
 一応は広告で禄をはむ身なので、よりによってストーンズの広告がこんなだと、腹立たしいこと夥しい。
 この広告もどきは、誰にも向けられていません。
 誰に、何をアピールし、どうさせたいのかがまったくわかりません。部下がこんなもん作ってきたら、5秒以内に却下ですよ。
 コアなファンがこれを見たら、怒りがこみ上げます。
 よく知らない人が見たら、「何これ?」でおしまい。
 そんなさあ、でっけえステージに万単位の金払う奴がいるわけねえだろう。
 広告ひとつ満足に作れない会社が、世界一のわがまま集団ストーンズを仕切れるのでしょうか?

 とか何とか言ってるうちに、1月の下旬にはチケットが発売され、公式ファンクラブ割り当て分も発売、とりあえず、友人との連携の元、22日はゴールデンサークル、24日はS席を確保しました。
 が、ふと申し込み確認メールを見ると、ゴールデンサークルには1枚につき約10,000円の手数料が乗っているではありませんか!
 JECではなく、Etixの取り分だとは思いますが、この数字はあんまりじゃねえか。
 ストーンズに65,000円、ならば別にいいです。
 何でこんなよく知らない会社が、いきなり万単位で中間搾取するのか。

 ……殺意すら覚えつつ、次回は本編です。

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PowerBook日記どこでもドア奇譚