自称☆芝居道楽委員会

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イデビアン・クルー「排気口」

2008年8月22日(世田谷パブリックシアター)

イデビアンクルーというグループ名と、その主催者である井出茂太の名前は 5年以上前からには知っていたと思う。なんとなく気になってはいたのだが、 イデビアンの公演を観にいくチャンスを逃しつつ現在に至っていた。
だが、ふと、気になって調べてみると、 どうやら私は井出の「振り付け」をこれまで何度も観ているようなのだ。 たとえば、

いい加減、イデビアン本公演を見逃し続けている場合ではないぞ、と。

場所は旅館。舞台上には旅館の一室とそれを囲む廊下が柱と枠組みだけで示されている。 舞台奥にはホリゾントも無いから、 舞台裏ともいうべき照明器具の棚や配線がしっかり見えている。

全体としての大きな物語は無い。だが、場面場面でダンサー同士の関係性が明らかに見え、 そこでほろりと物語られる。
例えば、戯れるようにタバコを奪い合う一寸関係性が破綻しつつある黒服の男女(佐藤亮介、菅尾なぎさ)。
廊下でぶつかったことがキッカケで恋に落ちる男女(原田悠、東さくら)。女はここでクチパクの告白。
三味線を弾きつつガンガン歌う女(安藤洋子)と、それに従う男(松之木天辺)。
目と足が不自由なおじいちゃん(小山達也)と、その面倒をみている従業員(金子あい)たち。
何かを挑発するスーツ+文金高島田の番頭(井出茂太)。
魚を抱えてジタバタする料理人(中村達也)。
まとめた髪をほどき、爆発パーマを振り乱してスプレーする女。
鏡台の後ろから女の髪が現れ、逃げ回る男。
サンパ?のステップを教える女と習う人たち。
次々と繰り出される一寸不思議要素の入った場面と、単純だからこそ変化の有るダンス。
ぽっかーん!と見とれているうちに、終幕となってしまった。

ダンスについては完全に素人なので、彼らのダンスのレベルをどうこう言うことはできない。 良いなと思ったのは、ちょっと練習すれば私にも出来るかも?と 一瞬勘違いしてしまいそうな分かりやすいダンス。
超絶技巧で勝負するのではなく、分かりやすい動きに混じった 日常の動きからはちょっとズレた重心移動の面白さを見せてくれること。 こういうダンスなら入っていける。

スーツ+文金高島田で背が低めで小太りの男が、おもむろに登場。 かっこうはトンデモなのに、マジな表情でガツガツ踊ってゆく。 そのダンスが(いかにソロパートとはいえ)他のダンサーとは違う何かがある。 小太りのくせに(失礼!)ダンスにキレがあり、 体形とダンスがあまりにもしっくり似合っている。
誰だか知らないがただ者じゃないなと、思った。
普通、スーツ+文金高島田の男が登場したら場内大爆笑で、 その後に続くのはコントや漫才などのお笑い、色物にしかなりえない。 確かにこの男のダンス・動きにも笑いの要素はあるが、決してそれは 「笑わせてやろう」とウケを狙ったような媚ではない。 あくまでも、「ヘンテコなカッコウで、マジなダンスを!」というギャップ の面白さなのだ。
誰だよ、これ? と思って配布されたチラシで終演後に確認したら、 それが井出茂太だった。恐るべし、井出茂太。

このほかに印象的だったのは仲居ジェシカ・ジョビン・袴田(斉藤美音子)と、女将?宮之元(安藤洋子)。 仲居ジェシカはちょっと力技っぽいところもありつつ、 若さの証拠であろう元気な筋肉でガツガツ魅せる。
宮之元(は踊れることは当然とした中で、あえてキレを外したところで、 いってみれば熟女の魅力を発散させる。

やばい、癖になるかも。イデビアン・クルー。

採点:★★★★★

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