自称☆芝居道楽委員会

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「かもめ」

2008年7月5日(赤坂ACTシアター)

チェーホフの戯曲『かもめ』は読んでいないが、 これが所謂「斜陽族」の話であることは知っていた。 そして私はこのテの物語がちっとも好きではないどころか積極的に嫌いで、 勿論のこと太宰治『斜陽』も読んでいない。
べつに、没落貴族に対しては別に好き嫌いは無い。 だが、現実逃避なのか現実認識力皆無なのか、 「昔は素敵だったわね今も素敵だけど」と言いつつ 確実に滅びの坂を下っているバカには付き合っていられないし、 青少年の青少年ゆえの悶々とした悩みというヤツには 「ウゼェ」という反応しか私は持ち合わせていない。

では何故、『かもめ』を観にいったのかといえば、 芝居道楽者として一度はチェーホフ『かもめ』を観ておくべきなのでは? と思ったから。
そして、 悶々と悩み転げ回る『ハムレット』の藤原竜也、 変幻自在の大女優『黒蜥蜴』の麻実れい、 天真爛漫のようでいて計算高い『エレンディラ』の美波なら、 あるいは面白いかもという儚い期待故である。

そして、長かった・・・。休憩時間20分を含める2時間45分は イライラの連続による限界に挑戦の長さ。
役者それぞれは悪くなかったと思う。 イメージ通りの演技で人物を描いており、 見事なまでに全員ウザイ斜陽族になっていたのはお見事。
中でも退役中尉シャムラーエフ(藤木孝)、その妻ポリーナ(藤田弓子)、 その娘マーシャ(小島聖)の家族揃ったウザさは天下一品。 かなうことなら今すぐ首を絞めてやりたいくらい目障りで耳障り。 私だったら、あんな一家とは絶対にお付き合いしたくない。 とにかく1つ1つの台詞に「ウゼェ」「だるい」と不愉快な気持ちが湧き上がり、 さっさと全員が黙ってくれないかなと思わせてくれる。
ウザイ物語をあくまでウザく&ダルく演出した栗山民也の技量を褒めるべきなのか? ま、単に、オールスターキャストによる見せ場作り(=政治的配慮)をしたら こうなった、ってことなんだろうけれど。

トレープレフ(藤原竜也)は一事が万事悶々としており、 そもそも「何を」すればよいのかすらわかってないもよう。
小説(あるいは戯曲)が書きたい、書きたいことがあるから書く! のではなく、 ママに認められるための手段として、小説(戯曲)を書く。 だが、書いたところで「ママが認めてくれない」とぐだぐだぐずぐず。 ママに認められる方法として小説を選んだが認めてもらえなかった (だってさー書きたい!よりも認められたい!が先行した頭でっかちな作品が ママに認められるわけないじゃん)& 恋人が他の男に走ったので(だってさー、単なるウジウジ青年よりも 流行作家の方が格好良くみえるのはしょうがないじゃん)自殺未遂。
ハムレットでもこれほどまでに悩んだか?いや、 ハムレットはまだ「To be or not to be」と 自分が何をしたい(又はしたくない)のか分かっていたが、 トレプーレフは「be」が具体的に何なのかすら分かっていなかったもよう。 ハムレットのほうが悩みはすれど積極的行動に出たぶん、数段大人だよな。 自殺なんて所詮、妄想の末の自己完結に過ぎないんだし。

そして、対するママ・大女優アルカジーナ(麻実れい)は、 『夏の夜の夢』の妖精女王ティターニアも これほどまでにハジケていたか?というほどのはしゃぎっぷり。
正直、本当に大女優で、だからこそ我侭なアルカジーナなのか、 大女優というのは自称で、だからこそ田舎では過去の栄光?にすがって 田舎者相手に大女優ごっこをしているのがアルカジーナなのか、謎。 うん、まぁこういうお母さんだと苦労するかもね、息子は。 「つーか、ママといっしょに弾ければいいじゃん、トレープレフ」と思ってしまった私は、 青少年のウダウダが大嫌い。

人気作家トリゴーリン(鹿賀丈史)は、大女優・麻実アルカジーナと、 女優志望のニーナ(美波)という二人の女から思いを寄せられる人物。 配役だけ聞くと「トリゴーリン伯父様、ステキ!」「ロマンスグレーのトリゴーリン!」 かと思ってしまうが、実は違う。トリゴーリンは流行「若手」作家なのだ。 うーん、鹿賀トリゴーリンは明らかに設定年齢より20歳は年上に見えるぞ。
麻実アルカジーナと鹿賀トリゴーリンのカップルは、 設定年齢さえ無視すれば違和感は無いが、 美波ニーナと鹿賀トリゴーリンではどう見ても「「伯父様、ステキ!」 「ぐへへ、30歳以上年下カノジョだよ」という構図に。 ニーナって、いわゆる 「老け専(老けた人≒自分より思いっきり年上の人を専ら愛する人)」なのか…。 そのくせ台詞では「有名人大好き、流行作家、ステキ!」なのだから、 美波ニーナが自己矛盾なのか、シンプルに鹿賀トリゴーリンが ミスキャストなのかその歪みっぷりがへんてこ。

絶対にアノ台詞で「劇終」であることを間違いなく感じ分かっているにもかかわらず、 「え?まだ何か続くの?マジで・・・?」と思わせてしまう、 どうにもしまりの無い演出はいったい何だったのだろう。
★3つぶんの減点は全て演出・栗山民也に。

採点:★★☆☆☆

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