ウェーバー :オペラ『魔弾の射手』序曲
4月に新国立劇場オペラ『魔弾の射手』を見ており、
その時は『序曲』にうっとりしつつも、うっとりしすぎて1分程意識を失ってしまった、
という記憶がある。
またしてもうっとりしたくて身構えたのだが、うーん。何だか全体的に物凄くバラバラ。
私は伸びやかなホルンに期待していたのが、それが
「おいおい、そりゃないだろ・・・」と相手の肩を軽く叩きたくなるほど
素晴らしくコケていたので、しょんぼり。
指揮者のオラリー・エルツは、どことなく俳優であり演出家の野田秀樹に似ていた。
登場するときの一寸カクカクしたピコピコした歩きは、玩具のよう。
身長の低さを指揮の大きさでカバーしようとしているのか、
とにかく指揮の動作が大きい。腕をぶんぶん振り回し、
時には地引網を弾くようにしてオーケストラから音を引き出し、
時には爪先立つぐらい伸び上がって後方に配置された金管楽器へ指示を出す。
しかしながら、常に大げさに表現される指揮は、
ガツーン!と音を出すには向いているが、
音の細かい組み立てや微妙な色使いをオーケストラから出し切れていない、
という印象を受けた。
ショパン :『ピアノ協奏曲 第2番』 ヘ短調 op.21(ピアノ:ニコライ・トカレフ)
<アンコール>
シューベルト:『楽興の時 第3番』
バッハ/シロティ:『前奏曲』 ロ短調
トカレフは日本で人気のピアニストということで期待していた。
だが「演奏会前半の2曲目で睡魔に襲われる」というジンクスは今回も健在で、
第2楽章から第4楽章前半まで熟睡。
名曲で心地よく眠れたのだがら、優雅な眠りを良しとすべきか?
アンコールの2曲はどちらも「めっちゃ、聴いたことあるー」な曲。
癖の無い滑らかな演奏で前半を締めくくり休憩時間へ。
ブラームス :『交響曲 第1番』 ハ短調 op.68
第4楽章に突入するとイヤでも盛り上がる曲なので、
そりゃあ最後は「ジャン♪」と同時か若干フライングぎみで
拍手と「ブラボー」が飛ぶ展開になるのは心理としてわかるし、
私としてはそういう反応を批判するつもりは毛頭無い。
でも、今回の演奏って、そんなに熱狂するほど素敵だったかしらん?
各楽器の演奏を単独で取り上げれば、あるいはあれでも良いのかもしれないが、
全体的な印象として、オーケストラの音量バランスが悪いと感じた。
私は2階中央ブロックのほぼど真ん中で聴いていたので、
音のバランスとしては良い席のはず。であるにも関わらず、
やたらと低音弦楽器(コントラバスとチェロ)の伴奏音が聞こえてきて、
主旋律(1stヴァイオリン)の音が時として聴こえなくなったのは、何故?
管楽器が高らかに鳴らせばヴァイオリンの音などかき消されてしまうのだろうが、
それにしても、ことに「ここぞ!」という場面でことごとく
1stヴァイオリンのメロディーがかき消されているのは、
指揮者のあえて意図するところなのか、オーケストラの特徴なのか。
少なくともそれは、私の期待するブラームス『交響曲1番』ではなかった。
<アンコール>
シベリウス:『悲しいワルツ』
ブラームス :『ハンガリー舞曲 第6番』
アンコールはもう、デジャブの嵐。つい1ヶ月前に聴いた
P.ヤルヴィ指揮/フランクフルト放送交響楽団と、
曲が完全に被ってるよ。プログラムにあるブラームス『交響曲1番』は、
6月2日に聴いたばかりであることを承知で今回のチケットを購入したわけだけれど、
まさかアンコールまで被るとは。わはははは。
『ハンガリー舞曲』でエルツは、指揮棒を振り下ろしてから「あ!譜面を開いていなかったよ」
とばかりにその第1音を伸ばしに伸ばしまくって、その間に譜面を開く、
というパフォーマンスまでいれた、強弱つけまくりの演奏。
ワルツにしろ舞曲にしろ、不思議なハイテンションで好き放題に演奏する感じなのは、
たしかにアンコールとしては良いのかもね。