自称☆芝居道楽委員会

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初代松本白鸚二十七回忌追悼二月大歌舞伎
昼の部3幕目「積恋雪関扉」

2008年2月11日(歌舞伎座)

初代松本白鸚二十七回忌追悼の2月歌舞伎座では、初代白鸚にゆかりの演目が並ぶ。例えば昼の部では、1幕目は白鸚が駄六を勤めて以来の上演となる『小野道風青柳硯』。3幕目『雪関扉』では吉右衛門(白鸚の次男)が白鸚の当たり役・関兵衛を勤め、白鸚襲名披露狂言であった『七段目』を幸四郎(白鸚の長男)の由良之助、染五郎(幸四郎の息子)の平右衛門。
珍しい上演となる『小野道風青柳硯』も気になるところではあったが、とりあえずは見逃したくない吉右衛門と福助の『雪関扉』である。

<積恋雪関扉>つもるこい・ゆきの・せきのと

わかったような、わからんような。いかにもおっとりとした物語展開の大らかな常磐津舞踊劇である。あまりにゆったりしているので、一寸気を抜くとすぐさま眠りの世界へ連れて行かれてしまい、うっかり数分眠ってしまっても、まだ物語はほとんど進展していない…というような感じ。
特に、良峯少将宗貞(染五郎)のもとへ恋人・小野小町(福助)が訪ねてくる前半は、まった〜り。関兵衛(吉右衛門)を加えての踊りも楽しいには楽しいのだが、全体の展開としてどうなっているか分からず。さらに、鷹が運んできた血文字の小袖が云々のくだりで完全に「???」となってしまい、ここで思考放棄。ひたすら絵として舞台を楽しむ。
問題だったのは、常磐津大夫の声に全く張りが無くて、何を言っているのか物理的に聞き取れなかったこと。音としては聞こえてくるが言葉として理解できない…のではなく、声がそもそも4階幕見席に届いていなかったのだ。ううむ。

宗貞が引っ込んでからの後半、常磐津の声も急に伸びやかになり、役者の芝居と踊りもぐんと面白くなる。 関兵衛実は大伴黒主(吉右衛門)と傾城墨染実は小町桜の精(福助)のやりとりは、主に常磐津の語りに合わせた踊りで示されるのだが、その踊りが語りを明瞭に描いていて心地よい。
傾城墨染が廓の様子を描いて踊る時の色っぽさ、関兵衛に向けるちょっとした顔の角度に、大成駒・歌右衛門の面影がよぎる。福助の踊りというのはこれまでさほど注目していなかったし、さして踊りの上手い役者だという印象もなかった。だが、今回の傾城墨染実は小町桜の精の所作に、福助の成長ぶりを見た。
そういえば、私が歌舞伎座に通い始めた頃の1991年に時蔵と児太郎(現・福助)による『相生獅子』を見た。あの時、児太郎の踊りが明らかに下手くそで「嗚呼、素人にも分かってしまう下手くそさって…。役者は辛いなー」と思ったことを、昨日のコトのように思い出す。あれから17年、か。

吉右衛門は関兵衛として大きな杯で酒を空ける時も、ドロドロでぶっ返って大伴黒主になってからの鎌を振り上げる立ち回りも、いかにも大きく立派。福助の踊りを受けているときも、傾城墨染に遊んで貰っているようで実は傾城墨染を掌の上で遊ばせているような、そんな雰囲気がある。こういう大きさと力があれば、そりゃあ天下を狙うよねと、納得。
そういえば、今年は1月に菊五郎の大伴黒主を見て、2月は吉右衛門で黒主と、黒主が続くねぇ。

採点:★★★☆☆

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