自称☆芝居道楽委員会

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劇団四季「ライオンキング」

2008年2月3日(四季劇場・春)

ディズニー映画『ライオンキング』の世界をそのまま再現したブロードウェイ・ミュージカルが、劇団四季によって日本で上演されるようになったのは1998年12月のこと。物見高い私は、なんと開幕直後にこの舞台を観劇している。…よくまぁ席がとれたもんだと我ながら感心。
あれから約9年ぶりに、私は再び『ライオンキング』の世界に足を踏み入れた。

「マ〜ティ、ベンニャ〜♪」ヒヒの呪術師ラフィキ(光川愛)の呪術語?で始まる幕開きの『Circle of Life』。着ぐるみではなく、衣装に人形が加えられたような、人形と衣装が一体化したような格好のサバンナの動物たちが、 客席後方の扉から続々と入場、あっという間に客席の心を鷲づかみにする。
例えばキリンは、手と足の先には長い棒、頭には長いキリンの首をつけて、四つん這いのような状態になって歩く。例えばライオンの王ムファサ(金田俊秀)は、頭の上に更にライオンの顔が描かれた被り物を載せているが、頭の角度によってはこの飾りが頭上から外れ、お面のように顔の全面にライオン顔が来る。例えばミーアキャットのティモン(羽根淵章洋)の場合は、ミーアキャットの人形を人間が黒衣(くろこ/この場合は緑色の黒衣)となって動かす。
このミュージカルが成功しているのは、ひとえにこの衣装を思いついたジュリー・ティモア(オリジナル演出、衣装デザイン)のお陰だね。

但し一箇所だけ、その衣装が気に入らない場面がある。『Can You Feel the Love Tonight』においてバレエを披露している3組のペア。あの動脈と静脈が浮き出たようなエグイ衣装は何とかならんのですかね。あの毒々しいレオタードもどきでメイクラブな空中バレエをされても、イマイチ愛を感じられないんですけどね。いや、それ以上に、結構おぞましいんですが。

帝劇や日生劇場などで上演されているミュージカルには「おいおい、この人がミュージカル?これでお金をとるのは犯罪でしょ?」な配役や、「豪華配役したからって必ずしも良いミュージカルが出来るってわけでもないのね…」といった不幸が時々おこる。
だが、 劇団四季のミュージカルは、間違いなく一定レベルのものを見せてくれるので安心だ。露骨なミスキャストや、あからさまに下手くそな人は舞台には上がっていない。今回の『ライオンキング』でも、エルトン・ジョンの曲、ティム・ライスの歌詞が滑らかな日本語で歌われており、主要キャストは立派だし、アンサンブルにも乱れがない。
3時間の上演時間、面白いなー上手くできているなーと感心しながらワクワク見ていた。

でもね、でも、この分かりやすすぎる勧善懲悪の物語に、私はどうしても入り込めなかった。
その理由はたぶん2つ。1つはヤングシンバ(萩原悠太)とシンバの友だちの雌ライオン・ヤングナラ(片山由里恵)の、この2人の子役の笑顔。
いかにも「この笑顔でオーディションに合格してきました!」と言わんばかりの、「これが笑顔全開の顔です」と言わんばかりの、その作られた笑顔。私はどうもコレが苦手なのだ。『滝沢演舞城』でジャニーズ・ジュニアのちびっ子達の笑顔に違和感を覚えたのも、『ドラリオン』で雑伎団の子ども達の笑顔に媚びを見てしまったのも、ミュージカル『アニー』のポスターや映像を見ると目を伏せてしまいたくなるのも、理由は同じ。私が子ども達の作られた笑顔が苦手なため。
あんな一種類しかないお定まりの笑顔なんて見たくないぞ。怖いじゃないか。キメ!の笑顔を見せつけられるくらいなら、いっそ歌舞伎の子役や能の子方のように無表情でいてくれた方が、こっちが表情を想像できてずっと良い。
そんなわけで、ヤングシンバが活躍する前半は、なんだかずっといたたまれない気持ちに。シンバ(瀧川響)が大きくなって「ハクーナ、マタータ」と言う場面から、ようやく安心してシンバを見ることができるようになった。

が、だからといって物語へ入り込めるわけではない。つまりそれが2つ目の理由。王ムファサの弟であり、王ムファサに息子が生まれるまでは王位継承権2位にあったスカー川地啓友)は、そもそも何故あんなに嫌われているのか、そこんところが分からない。
そりゃまぁ、どうやらちょっとひねくれた性格であるらしいことは分かる。王位に就けないのが悔しくてヒネており、王国プライドランドの外の象の墓場に出入りしているワルっぽい存在だ。とはいえ、シンバが生まれるまではスカーは王位継承権2位にあったわけで、ならばそれまでは周囲からもそれなりの扱いを受けてきたはず。
いったい具体的に何時、何があって、スカーはああなったのか。何をもってして「スカー=悪」の構図が確立されたのか。どうもそこが納得行かない。

現王であり兄でもあるムファサを策略で殺したスカーは、王位に就くに当たり、ハイエナを配下とした。本来腐肉を食らうハイエナが、表だって肉を要求し、その為に動物の乱獲が行われるというのは確かに食物連鎖を乱している。そんな場所を嫌がって他の動物たちがプライドランドを去るのも分からないではない。
だが、そんな食べ物の無い場所に、何故スカーはいつまでも執着し、「俺はプライドランドを離れない」と言うのか。兄ムファサがプライドランドを統治できたのだから、俺にだって!という気持ちが働いているのだろうけれども、そこんところが舞台上では充分には描かれていないように思う。
スカーは悪い奴なので、王位についても上手くゆかず、結局、前王ムファサの息子であるシンバがスカーの手から王位を取り戻しました。めでたしめでたし。…うーん、そうなのかー?王ムファサの死に責任を感じたとはいえ、王子でありながら王国を離脱したシンバがなんで「善」であると決めつけられているんだ?

あれ? こう書いていて気づいたのだが、ようするに私はシンバが嫌いで、その反動でスカー贔屓なだけなのかも。だってほらシンバって、私が嫌いな「うじうじ悩める青年」な部分があるし。嗚呼そうか、そういうことか…。

採点:★★★☆☆

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