はじめましての劇団を、はじめましての劇場で。
いやはや、吃驚する劇場でした。どうやら元々はピンク映画館だったのが廃館になって、場所を貸し出している…ということらしい。んで、建物がボロく、暖房設備が無い(稼働しない?)のである。
「会場内は寒い」という事前情報は仕入れていたので、着席後もコートとマフラーを脱がなかったが、それでも寒かった。入り口近くの通路側の席だった私は、足元からスコスコ冷えてきて、「内側に起毛のあるブーツが欲しい、せめて靴下2枚履きすればよかった」と切実な後悔をすることに。いくら私が冷え性だからといって、屋内の観劇で手袋をはめることになるとは…貴重な経験でした。おそるべし、中野光座。
炭鉱の神様・泥花。泥花様は死に向かう人にしか見えない。だが、泥花様にお願いをすれば、それはかなう。 舞台は昭和35年頃の九州の炭鉱。落盤事故を起こした炭鉱のヤマ主の子ども、炭鉱で働く男、炭鉱町を支える女、物乞いをする子ども、働けない男、いばる女、労働運動にのめりこむ男、噂話に花を咲かせる女…。笑いと悲しみが入り混じった泥臭い人間模様が、ざわざわと展開する。
困った。フツーに面白かった芝居って、本当に感想が書きにくい。
感動の嵐!というわけにはいかなかったが、そんなことは些細なことだ。客席にいた2時間?を物語に浸って過ごせたということが嬉しい。脚本(サジキドウジ)、演出(東憲司)、役者が揃っていて安心して見ていられる。後に引く感情というものも薄かったが、だからといって軽薄だったわけではなく、面白い読み物の世界からひょっと現実に戻ってきた、そんな気持ちになれたのは収穫。
唯一私が納得いかなかったのはラスト。どうして弟ハジメ(外山博美)は泥花様を見ることができて、願いがかなう!ハッピーエンドになるんだ? あの数少ない登場人物の中で、泥花様を見た人数が多すぎるのもなんとなく嫌。
浮浪少年・敏チャン(ヨネクラカオリ)にしても、そういう願いのために泥花様に出会えて願いがかなうというのはいかがなものか。あのテの逃げは凄く嫌だ。
なんとなく「???」だったのは、弟ハジメが独白シーンで首を極度にかしげ、寄り目で喋ること。ちょっと頭が弱い子、という設定なのかと思ったが、どうやら学校のお勉強はよく出来るらしい。体に何か障害があるのかとも思ったが、普段の行動からはそのような様子もあまり見られない。あの癖のある表情は何だったのだろう。なんだか気になる。