自称☆芝居道楽委員会

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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2007
民族のハーモニー

2007年5月5日(東京国際フォーラム)

<無料公演>地上広場(ミュージック・キオスク)
タラフ・ドゥ・ハイドゥークス(ルーマニア民族音楽)

音楽は始まっていないが、ミュージック・キオスク(屋外に設置された小さな演奏舞台)の周辺に人垣ができているので近寄ってみる。3日にちらっと聴いたルーマニア民族音楽の人達の演奏が始まるらしい。
キオスクの前にオジサン歌手、ヴァイオリン奏者、アコーディオン奏者、キオスクの中に縦笛、ヴァイオリン、チェロといった合奏団が入り、賑やかに演奏開始。いかにも街角で音を楽しんでいる雰囲気。喉慣らしと楽器の音合わせを兼ねた準備運動の1曲が終わり、これからヒートUPするところだが、チケット購入済み有料公演の開演が迫るのでキオスクを後にした。

<公演番号:434>ホールB5
ダニエル・ロイス指揮/フセヴォロド・グリヴノフ(テノール)、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(バス・バリトン)、カペラ・アムステルダム(合唱)/マルクス・ベルハイム(ピアノ)
ドヴォルザーク「モラヴィアの歌より」抜粋(合唱、ピアノ)
ヤナーチェク「野鳩」(無伴奏合唱)
ヤナーチェク「狼の足跡」(女性合唱、テノール、ピアノ)
ドヴォルザーク「聖書の歌 作品99」より(バリトン、ピアノ)
ヤナーチェク「天にいますわれらの父よ」(テノール、合唱、ピアノ)

会議室を改造して音楽をやっているわけだから、決して音響が良いわけではない。いや、端的に言って、音響などというものは望めない状況にある。が、しかし、考えてみれば、音楽は常に音響の整った場所で演奏されたり聴けたりするものではないのだ。そりゃあお金を払って聴くからには好条件を望みたい。素晴らしい歌声にあと一歩の響きが欲しいと思うのは当然のこと。だが、悪条件下で聴く面白みというのもある。「あれ?声が出ていないぞ?」という歌手の声の出ていなさ加減がモロに暴露されてしまうのも、いとおかし。
素晴らしかったのは何と言ってもデイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(バス・バリトン)。輝く低音とは将にこのこと。歌っていることが楽しくて仕方がないというふう。こんな人が毎週教会で歌ってくれるなら、日曜日のミサに行ってもいいかも、と騙されてしまいそうに。
ところで。ドヴォルザーク『聖書の歌 作品99』の最後に歌われた「10.主に向かって新しき歌を歌え」の前奏曲、明らかにコレは「雪やこんこ、あられやこんこ♪」だった。私は一瞬、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソンが日本人のために日本の童歌を歌ってくれるのかと思ったよ。

<無料公演>地上広場(ミュージック・キオスク)
トリオ・ヴァンダラー

バイオリン、チェロ、ピアノの三重奏をやっているな〜と耳だけで楽しみつつ、屋台をひやかす。ふとキオスクに目をやると、やたらと眼光の鋭いヴァイオリン奏者とチェロ奏者が人の頭越しに目に入った。うわー。3日にラヴェルとサン=サーンスを聴いたトリオ・ヴァンダラーだ。
相変わらず喧嘩腰?!の演奏を披露。ヴァイオリンとチェロは時々アイコンタクトをとっているのだが、刺すような目線で相手を確認するのだ。怖いよー。(単に、顔の彫りが深いので、のっぺら日本人には目つきが怖く見えるだけかも。)演奏中に笑顔が出ないところも凄みがある。殴りつけたり手なずけたり、変化の面白い曲を1曲半(もしかすると1楽章半かも)聴いた。

<公演番号435>ホールB5
アラン・プラネス(ピアノ)、樫本大進(ヴァイオリン)、レジス・パスキエ(ヴァイオリン)、豊嶋泰嗣(ヴィオラ)、ニコラ・バルデル(クラリネット)、岸上穣(ホルン)、河村幹子(ファゴット)
ヤナーチェク「コンチェルティーノ」
ドヴォルザーク「三重奏曲」ハ長調作品74

ヤナーチェクには客席の8割は「ぽっかーん」だったと思う。第1楽章はピアノとホルンの似非音階練習。第2楽章はピアノとクラリネットの似非音階練習にファゴットとホルンが加わり、最後1小節に弦楽器が参加。第3楽章と第4楽章は、動物園とおもちゃ箱と幼稚園がひっくり返ったようなしっちゃかめっちゃか。こんな珍品はこういう機会がなければ出会わないだろう。
ドヴォルザーク弦楽三重奏は、ヤナーチェクの後に聴くとある種安心感さえ生まれる。体をぐらぐらさせながら音楽に乗る樫本ヴァイオリン、その隣で直立不動のアラン・ヴァイオリン。さらにその隣の豊嶋ヴィオラは両者の中間を取るように時折煽り、時折地味に。アイコンタクトも楽しげなアンサンブル。

<無料公演>地上広場(ミュージック・キオスク)
ムジカージュ(ハンガリーの民族音楽)

尺八のように長い縦笛での演奏が披露されている所に通りかかる。カタカナ英語の説明をそれとなく聞いたところでは、どうやら、奏者が口で「ドレミ」のような基準音を出しながら実際の音を出している、ということらしい(嘘だったらごめんなさい)。横で聴いていると、実際に笛から出る音の他に、基準音も漏れ聞こえているような。

<公演番号:446>ホールC
ダニエル・ロイス指揮
キャロライン・サンプソン(ソプラノ)、スーザン・パリー(アルト)、フセヴォロド・グリヴノフ(テノール)、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(バス)
ムジーク・ファブリーク
 ピアノ×4人:マルクス・ベルハイム、フリーデリーケ・ハウク、ユルゲン・クルーゼ、ベンヤミン・コプラー
 パーカッション×6人:シュテファン・ブルーム、タチアーナ・コーレヴァ、トーマス・マイクスナー、ディルク・ロートブルスト、ミヒャエル・ヴァイラッハー、ペッピー・ヴィールスマ
カペラ・アムステルダム(合唱)
バルトーク「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」Sz.110
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「結婚」

なんじゃこりゃー!の2曲。バルトークはピアノ2台+打楽器8種類(奏者は2人)のリズム重視。いったいそれで曲として合っているのかどうかさっぱりワカラン。何が何だか意味不明だが、見ているぶんには実に面白い。打楽器奏者2人はドラ、ティンパニー、小太鼓、シンバル等に囲まれているわけだが、時には相手の撥を奪うようにしてドラを鳴らしたり、相手の領域に身を乗り出して太鼓を叩いたりとアクロバット繰り広げる。右手の撥は2拍のリズム、左手の撥が3拍のリズムを刻んでいるのを見ると、私はそれだけで感心してしまうのだ。
ストラヴィンスキーも負けていない。ピアノ4台+打楽器(奏者6人)+合奏+声楽ソロ。なんじゃ、この編成は。ちょっとイスラム的な音階で叫び続けるソプラノ、驚異的に低いアルト、ムキになっているテノール、なにやら表情までつけて演技しているバス、パキパキと弾ける合唱。
パンフレットに「ロシアの伝統的な農民の婚礼の様子を音楽化したもので、『泣き女』的に花嫁が嘆く場面(彼の地の婚礼の伝統的な慣習)から初夜の床入りまでが続けて演奏される。とにかく強烈なインパクト」と書かれているが…。強烈すぎ。いやー、この曲を予習無しで聴いたら「結婚って怖い!」と思うでしょ、たぶん。
歌詞の日本語訳が配布されたが、それを読み切る時間もなくまた上演中には文字を確認できず、いったい今、何を騒いでいるのかよく分からなかった。せっかくバスが演技をしていたふうだったのに、残念。これは是非字幕をつけてもらいたかった。
不協和音とガツンガツンのリズムによるバレエ音楽『結婚』。いったいバレエにはどんな振り付けがなされているのだろう。コンテンポラリ系なのは間違いないと思うが、是非一度バレエとしても見てみたい。

<無料公演>展示ホール1(モルダウ)
高関健指揮/桐朋学園大学オーケストラ
ストラヴィンスキー「春の祭典」

音に誘われて地下の展示ホールへ。このドンチャン騒ぎはストラヴィンスキー?という読みが当たって『春の祭典』。私が聴いたのは後半からだが、ホールに入ったとたんに思った「上手い!」弦楽器の細い音、管楽器の安定した響き、打楽器のリズム。こんな演奏を無料で聴いちゃって本当によかったのだろうか?と申し訳なくなってくる。うっきゃー、こんなに上手いなら最初から聴いておきたかった。
私は打楽器の背後の位置で聴いていたので、打楽器奏者がどういうタイミングで構えるのかが分かったのは面白かった。あのジョワジョワと金属を削るような音は、ドラの側面を金属棒で撫でていたのね、ふーん。

採点:★★★★★

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