出演者、会場、チラシ、あらすじ等から、この公演が「地味め・懐かしい系・柔らか直球・ミュージカル」であることは分かっていた。また、素敵なタップシーンが見られるのは最後の10分程度で、それまではずっと下手なタップが続くであろうこと、歌唱力が期待できる人物が少ないことも分かっていた。
では、何故そんな公演のチケットを確保したのかといえば、ひたすらに主演のビバリン(前田美波里)見たさである。
では、何故、ビバリンなのか。ずばりビバリンのナイスバデー。
1965年資生堂の「太陽に愛されよう」の時のスタイルを現在も維持し、他の同世代女優の追随を許さないルックス。その素晴らしい背中と脚にぶっ飛んだ件については、劇団四季『マンマ・ミーア!』のレポート中でも触れており、また、ビバリン目当ての『グランド・ホテル』では役が役(8回目の引退公演中のバレリーナ)だったためいまいち冴えなかったことも書いた。今回の『ステッピング・アウト』のチラシには、黒のレオタード+網タイツ+赤のタキシードジャケット+帽子という典型的タップ衣装でビシッとキメたビバリンが!
うおおおおっ!ビバリンの脚線美を拝ませて頂きたいっっ!まるで助平親父のノリである。
さて、舞台。田舎町、週に1度のタップ教室。生徒達はてんで下手くそ。全く音が鳴らなかったり、カタカタ音を出せても姿勢が維持できなかったり、そもそも練習に集中していなくてお喋りのために集まっているような状態。そんな教室ででタップを教えているのがビバリン。
ビバリンが登場したとたん、客席がどよめく。ジーンズ細っ!脚長っ!背が高い!しかも身長の半分が脚!姿勢が良い!胸が主張してる!そして圧倒的なオーラ。
ええ、もう、凡人にはどうやっても届かない世界ですヨ。デトックス(排毒)とか、マクロビオテック(穀物や野菜中心の健康食・自然食)とか、ピラティスとか、水泳とか、そういうことで維持できる健康体や筋力というのは確かにある。凡人はそういう努力をしてなんとか凡人レベルを維持するわけだけれども…。ビバリンを見ると(勿論体型維持のためにイロイロやっているだろうとは思うけれど)、やっぱり持って生まれた基本的な骨格の違いってのはあるんだなぁと。
宝塚歌劇のトップスターが羽を背負って登場した時のようなオーラが、舞台を被う。やっぱり世の中には主役を務められる俳優と、勤められない俳優がいるんだ、ということを見せつける感じ。
ま、当初から予想はしていたけれど、ビバリンの存在感で8割もっている舞台。
ビバリンは十分に堪能した。だが、それだけではね、やっぱり道楽としては満足できないんですよ。
さすがにラストの華やかなタップシーンは、キラキラと素敵だった。踊れる役者が踊れない役として物語の9割をが進行するのだから、そりゃあラストははじけて踊るさ。でもね、それもまぁ、そんなもんでしょ、という程度。
劇中にはそれぞれの心情を歌う場面があるのだが、何名か発声ができていない人がいて、地声で歌ってます、というのがまるわかり。いくら出演者の年齢が若干高めと思われるとはいえ、ミュージカルに出演するからにはそれなりに歌える人が出ているはずなわけで。それなのに歌声に伸びやかさ艶やかさが無いのにはがっかり。
歌でグッと観客を掴むというところが、どうも甘い、緩い。それが、どうしようもなく残念だった。