カトリックの教会に出入りする人々のあれこれ。跡継ぎとか、霊とか、不妊とか、エイズとか、蕎麦屋とか、クリスマスとか、離婚とか、殺人未遂?とか、洪水とか、仏教のような宝石のような…とか。
物語がドッカーン!と展開するわけでも、情に流れるわけでもなく。緩やかな起伏とささやかな出来事の積み重ねが描かれる。
「えー?!ラストはそれなの?」とちょっと拍子抜けでもあるし、「アノコトはどうなっちゃうの?」と片づかないいくつかの問題にモヤモヤもする。でも、こんなふうな終幕もありなんじゃないかなと思える。だって、舞台上に描かれていたのが「どこかで見たこと・出会ったことのある日常」だった。日常のあれこれなんて、どこかの時点で全てが完璧に片づくってわけじゃないしね。
私には、先日観た『エンジョイ』よりも、こちらの方が見慣れた日常に思える。
それにしても今回良い味を出していたのが高山家の婿養子・広志(杉山文雄)のヘタレっぷり。絵文字にorz(がっくり/人が四つんばいになった様子)ってのがあるが将にコレ。「エイズかもしれない!」とウジウジし、「検査に行くのが怖い」と言っては柱に抱きつき、検査結果に泣き崩れる。そのあまりの駄目駄目な様子には、怒りや呆れを通り越していっそ天晴れにすら見える。
そんなヘロヘロ夫を支える妻・聖美(萩原利映)の肝っ玉母ちゃんっぷりも、また、見事。
保険外交員・浅岡智子(鬼頭典子)が歌う東北弁な賛美歌、笑える〜。浅岡が無邪気に「え?じゃあ、神父さんって童貞なんですか?」と質問した時の、神父・高山忠道(東憲司)と母・高山澄江(井出みな子)の張り付いた微笑みも絶妙。
とてもじゃないが信徒には見えないのにそれなりに教会に入り浸っている梶原育生(中野英樹)のイケイケ・ヤンキー・キャラ。それをサックリあしらいつつも、心に澱の溜まっている妻・有希(高橋理恵子)の様子。いそう、ありそう、ありえそうな夫婦像。
そういえば先日観た『ブルックリン・ボーイ』でも、不妊に悩む夫婦、罪の意識とプレッシャーを感じる妻が登場した。30代後半以降の一般的夫婦像って、コレなのかな〜とちょっとしみじみ。
警官(星耕介)、事故死した兄・高山典行(鈴木歩己)、何故か典之の霊に取り憑かれた近所の主婦・柿本晴香(藤本喜久子)、保険会社勤務の信徒・森淳志(泉陽二)など、手堅い演技で舞台がまとまる。
必見!感動の嵐!というわけではないが、ウェルメイドってこういうことなんだなと思わせる、観て良かった気分にさせる舞台。