自称☆芝居道楽委員会

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シリーズ「われわれは、どこへいくのか」3
「やわらかい服を着て」

2006年6月8日(新国立劇場・小)

「われわれはどこへゆくのか」シリーズ第3弾の脚本は永井愛。「イラク空爆反対」を訴えるNGO 「ピース・ウィンカー」の人間模様、という物語設定には全く惹かれないが、永井愛だからと観に行く。あらー、そういえば永井愛、国歌斉唱と起立を扱った『歌わせたい男たち』に続いて政治的題材の舞台だわね。

NGOの大将・夏原一平(吉田栄作)、がんばってるなー。リーダーらしく会議の進行して、方向性を纏めて、そうかと思うと腰にタオル巻いただけのかっこでうろうろして、ギター弾いて、歌って、彼女(千秋)とのすれ違いがあったり。そつなくこなして「いい人」って言われているけど、実はかなり流されやすいんだろうね。だから、新子とも何かがアルんだけど。

常に微笑でNGOを支える池森新子(小島聖)。この役者が良いかどうかってことよりも、私はこの手の人間がつくづく嫌いなのだと思う。
慈愛の微笑みで「イラクの現状に目を向けて下さい」って言われても、私は引いちゃうんだよね。逆に「何でイラク限定なの? カンボジアはどうするの? ボスニアは? それ以前に、日本国内の交通遺児とか障害者は?」などと思っちゃうし。平和活動って大切なことだと思う。自分には直接何にも関係のない国のことを思いやって行動を起こせるって、凄いことだ。でもね、それを押しつけられるのは、勘弁願いたい。だって私、とっても我が儘で心が狭いの。他人に対して親切にしている余裕も無いし。
新子の愛情表現も回りくどいんだよね。あー、やだやだ。
でもまあ、これだけ役をしっかり見せて、私に嫌な女だと思わせたってことは、この役者上手いんだな、きっと。うん。

そういう意味では、世間一般代表である工場長がいい味を出していた。NGOの活動を応援したり、イラクで人質になった三人の自己責任論を口にしたり、NGOメンバーの熱さにうんざりしたり。そして、そいういう移ろいやすい世間(あるいは操作された世論)を前に「一人一人に話しかけるの?イラクの状況を聞いてくださいって?」「手応えはある、でも、多くの人は無関心」とじりじりするNGOメンバー。
この辺の人間模様、考え方の食い違いの表面化は面白い。イラクの少女がどうこうって語っているその口で、その心で、自分の恋人がどうこうっていがみ合うんだから。やっぱ、基本はソコなんだろうなーと思わせてくれる。

時々キレて吠えてみたり、あるいは猛省して跪いたり、新子の彼氏・大槻純也(粟野史治)は、 波は激しいけど一途?なNGOメンバーなのだろう。ま、こういう人の存在は熱っくるしいけど。
地味に印象的だったのは、「官僚」と呼ばれていた事務係の巣山礼史(泉陽二)。派手な行動は特に無いのだけれど、事務方とくに渉外関係は巣山がいないと廻らないんだろうなと思わせる官僚っぷりが出ていた。

大将夏原の婚約者で商社レディー・佐野千秋を演じたのが月影瞳。「月影瞳って名前に聞き覚えがあるけどヅカだったかな?」思ったら、やっぱり元・宝塚歌劇団でした。しかも、星組(麻路さき)と雪組(轟悠)で娘役トップだったんですね、1997年から2002年2月まで。うはー。どうりで典型的な演劇発声&板に付いたプチ・ハイソだと思ったわ。

よくわからなかったのは、大将夏原と新子の浮気疑惑事件以来NGOに顔を出さなかった千秋が、半年ぶり(だっけ?)にNGOの倉庫に来て退会届を出すと、メンバーが揃って千秋の退会を引き留めようとする。 なんで?
そりゃあ夏原・千秋の関係がぎくしゃくして、夏原・新子・純也のぎこちない関係があって、NGO内がどうも変な感じなのは分かる。けれど、それでここに千秋が戻ってきてそれで全てが上手く行くなんて、見通しが甘いのでは。ま、世界の愛を信じているNGOの若者らしい姿勢といえば、いえるか。

採点:★★★☆☆

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