ヘンデル「合奏協奏曲」
J.S.バッハ「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」(諏訪内、フランソワ・ルルー)
ヴェレッシュ「パッカサリア・コンチェルタンテ」(フランソワ・ルルー)
何と言っても面白かったのが、『パッカサリア・コンチェルタンテ』。
20名ほどの室内管弦楽団が適度にこじんまりと並び、中央にはアチラとコチラを向いた2脚の譜面台。その2脚の譜面台に挟まれた位置、まるでサンドイッチの具のようにオーボエのフランソワ・ルルーが立つ。ルランソワ・ルルーは、まず、客席に背を向け、指揮者用の譜面を確認すると、両手で分かりやすく指揮を始めた。そして、そろそろ自分(オーボエ)の出番だとなると、くるりとこちらに顔を向け、オーボエ用の譜面にちらりと視線を投げかけ、そして楽しそうに曲を吹く。
オーボエの時は客席を向き、出番が無いときは指揮者になる。そうやって舞台上でくるくる廻るフランソワ・ルルーが面白くて、曲よりもそのパフォーマンスに見入ってしまう。オーボエの吹きっぷりも楽しかったし。
曲そのものは、私の苦手な現代音楽。ギコギコ、じわじわ、どどーん!ドンドン!ガガガ・・・ピッ!ギヨーン。
いったいこんな曲を作って作曲者は楽しいのだろうか。こういう曲を聴いてどれだけの人が感動するのか、私には皆目わからない。正直言って、素敵な曲だとは思えないし、何度も聴きたいとは当然のことだが思えないし、アノ現代音楽とコノ現代音楽の何がどう違うのかも全く分からない。
しかし、まぁ、少なくとも、生で聴くぶんには、音だけではなくて見る楽しみがあるから、聴いていられるんだな。
J.S.バッハ「ヴァイオリン協奏曲2番」(諏訪内)
C.P.E.バッハ「シンフォニア5番」
J.S.バッハ「2つのバイオリンのための協奏曲」(諏訪内、チョーリャン・リン)
何が大笑いって、諏訪内晶子とチョーリョン・リャンの2人のヴァイオリン奏者の違い。
ずばり、姿勢です。姿勢が正しいとか悪いとか云う、あの、姿勢。ヴァイオリンって正しい構え方があるんじゃないんかい、こらー!と云いたくなるくらい、2人の構えが違う。そして、曲に入り込んだときの体勢が違う。もう、思いっきり正反対。
諏訪内晶子は、どちらかというとヴァイオリンを外側(左寄り)に構えて、曲が盛り上がるとヴァイオリンを振り上げるような、上体を反らすような姿勢になる。これに対してチョーチャン・リンは、どちらかというとヴァイオリンを内側(中央寄り)に構えて、曲が盛り上がるとヴァイオリンごと堀下がるような、前のめりの姿勢になる。
華やかに美しくヴァイオリンを奏でてみせる諏訪内。自分の世界に突っ込んでいくかの如くなチョーリャン・リン。整った顔立ちと綺麗なボディーラインをアピールしてみせる諏訪内。2階後方席から舞台を見下ろしていると、つむじばかりが見えるチョーリャン・リン。ヴァイオリンの見せ場、片足を半歩前に出し、ぐいっと反る諏訪内と、半歩出したまま踏み込んでゆくチョーリャン・リン。
2人並んで演奏すると…面白すぎます。
<アンコール>
サラサーテ「ナバラ」(諏訪内、チョーリャン・リン)
バルトーク「3つの小品」(諏訪内、チョーリャン・リン)
J.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリンソナタ」より「ラルゴ」(諏訪内)
耳が肥えていない私には、諏訪内晶子とチョーリャン・リンそれぞれのヴァイオリンの音色の違いなんて分からない。ひたすら、見た目の違いを楽しむ。
アンコールに応えて諏訪内とチョーリャン・リンが登場。最終曲はチョーリャン・リンが諏訪内に「どうぞ」というように場を譲り、自らは管弦楽団の後ろのひな壇にちょこんと腰を下ろし、楽しそうに諏訪内の弾く『ラルゴ』を聴いていた。なんだか誰もが楽しそうで、お腹いっぱいになった演奏会だった。