シャンソン歌手を辞めて、ようやく音楽科講師にありついた仲ミチル(戸田恵子)。10年前の節を曲げて現在の東京都教育委員会の方針に従おうとする与田校長(大谷京介)。「日の丸」「君が代」に不起立を貫こうとする社会科教師で3年生担任の拝島(近藤芳正)。積極的起立推進派の若手、英語科教師で2年生担任の片桐(中上雅巳)。噂話には通じているが、国旗国歌問題には無関係であろうとする養護教諭の按部(小山萌子)それぞれの立場がいかにも「らしく」描かれていて面白かった。
保健室という場所も、いかにも学校内の避難場所っぽくて意味深。
正直言って、自分が今、公立中学や高校に通う身分じゃなくてよかったなぁと、しみじみ。イロイロと因縁のある問題で真剣に考えなくてはいけないことだとは思うけれど、でもね、現状はギャクだよ。
「君が代」と「日の丸」には太平洋戦争=侵略戦争のシンボルという負のイメージを持つ人がいることは知っている。でも、私は「君が代」って綺麗な歌詞と曲だと思うし(イケイケGOGO!な歌詞&曲じゃないことも好きな理由の一つ)、「日の丸」は分かりやすい図柄で好きだ。そして、国旗を掲げる時、国歌を歌う時は起立すべきだと思うので、私が卒業式等に列席したら起立して歌う。
でも、それを強制されるのは嫌だ。ましてや、立っていない人をチェックするなんてアホでしょ。「ご起立下さい」のアナウンスに立たない人がいてもいいじゃん。歌わない人がいてもいいじゃん。強制したところには、本当の意味での愛国心(この言葉も誤解を招きやすいのだが)や歴史認識は生まれないだろ。
こんなアホなことが実際に起きているなんて、そりゃあ英国では信じてもらえなかっただろうね。私も信じたくないよ。ちなみに、私が中学・高校時代に校歌を口パクしていたのは、歌いたくないからではなく、高音部が届かなかったからなのだ(笑)
与田校長の「内心の自由」の演説は、熱演すればするほど滑稽。内心というのは心の内側にあるから内心であり、心の内に何を思うかは自由。それを外に出してしまったら外心。外心になってしまうと、非難の対象になってもしかたがない、って!凄い理論だ(大笑)
ついでに言うと「みなさーーん」という呼びかけには、人形劇『ひょっこりひょうたん島』(脚本:井上ひさし)の、大統領ドン・ガバチョの演説を思い出したよ(笑)もしかしてオマージュか?!
ラストに仲ミチルが歌うシャンソン「教えてよ愛の歌を」は、それなりのメゾソプラノ?で上手いとは思ったけれど、シャンソンには聞えなかった。戸田恵子はたぶん完璧に歌っていたけれど、シャンソンってもっと語る方がそれらしいのでは?そういう意味では、拝島先生が途中でムキになって歌い出すやけっぱちなシャンソンの方がシャンソンっぽい。美輪明宏やピーターのシャンソンみたいに。
でもまぁ、あれだけの歌を、堂々と背を向けて歌われたら、拝島先生は切ないね。