自称☆芝居道楽委員会

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天保十二年のシェイクスピア

2005年9月15日(シアターコクーン)

とうとう全4弾どれも観てしまったよ、NINAGAWA vs COCOON。まるで私が蜷川幸雄ファンみたいじゃないか。ファンじゃなくて、単なるミーハーなのに。
ぶっちゃけ、今回は出演者が豪華すぎる。知っている名前のオンパレードだ。しかも、唐沢寿明、藤原竜也、篠原涼子、夏木マリ、白石加代子など。これだけ強力な名前がずらり揃うということは、よっぽど濃いキャラクターばかりの、とっちらかった話なのだろうということが容易に想像できる。そして、その予想通り、ドタバタと笑いと悲劇と助平ネタてんこ盛りの舞台だった。

シェイクスピア全37作品を元ネタに、アノ台詞とかアノ設定とかアノ名前をごたまぜにして1つの物語にしたという、ある意味マニアックな作品。ちなみに製作発表時に井上ひさしが「3時間くらいに収まるように台本に手を入れていて、今は20作品くらいしか登場していない」と言っているが、果たして結果は何作品残っているのだろうか?実際の上演時間は休憩時間を除いて4時間くらいだったが。
シェイクスピア全作品を熟知している人にとっては、全ての場面で「おお!ここで『テンペスト』か。アレが『ヘンリー6世』だな」等とニヤニヤするだろう(私には分からなかったが)。適度にシェイクスピアを観ている(知っている)人なら「あ、ココは分かる。『オセロー』だね」等と指を鳴らすだろう。勿論何も知らない人でも(多少人間関係がごちゃつくではあろうが)「これは知ってる!『ロミオとジュリエット』だ」と喜ぶだろう。
まぁ、とにかく、よくぞここまで繋げたもんだと呆れる。が、逆に言えば、シェイクスピアってどうもどれがどの作品だったか分からなくなるなと思っていたら、やっぱりこんなに似ていたんだ、と納得させられる、とも言える。

そして、やはりこれは井上ひさしという脚本家の上手いところなのだが、シェイクスピア特有の言葉遊びが、実に綺麗におさまっている。劇中歌には惚れ惚れするね。さらに、男女のムフフのあーんなコトやこーんなトコロを、豊かな語彙で表現してくれると嬉しくなってしまう。何でも略語、フツーにエッチする人々にはない豊かさだね。
あ、あと、“To be or not to be. That is the question”のいろんな訳が紹介された場面、マニアックにうけてしまった。

ちなにみ、この劇中歌と舞台の場面名は、舞台両サイドに設けられた電光掲示板に表示が出る。当初、この表示は「あまりに役者(例えば藤原竜也)の歌が下手で歌詞が聞き取れないから字幕を出したのか?」などと思っていたが(実際、そういう面もあるとは思うが)、井上の言葉遊びを楽しむ為に果たす掲示板の役割は大きい。

それにしても「もしもシェイクスピアがいなかったら♪」の歌詞が頭の中をグルグルだ!蜷川も井上も、その他多くの演劇人にとって「シェイクスピアはノー・スペア♪」だよねとニヤニヤ。

面白かったのよ。ちょっとシェイクスピア・クイズを解いているような面白さとか、下ネタ満載・GOGO!猥雑な展開とか、井上ひさしお得意の語呂合わせとか。しかし、ま、それ以上でもそれ以下でもなく、可もなく不可もなく。…いや、当落線上ギリギリもあるけど。
話題としては面白い。そういう意味では観ておいて損はない。4時間にわたる上演時間も、多少おしりが痛くはなるが、決して飽きさせない。でも、もし、見逃したとしてもさほど惜しくは無い舞台かな、と。

★観たことのある原作と、今回見抜けた主な場面

ちなみに「時間よ止まれ、おまえはややこしい(美しい)」の元ネタは、ゲーテ『ファウスト』ですね。

★たぶん元ネタがあるのだろうが、元ネタが何が分からなかった場面

採点:★★★☆☆

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