春頃だったか、CD店に足を運んだら、クラシックコーナーでこの曲がながれていた。サー・サイモン・ラトル指揮、ベルリンフィル演奏の『カルミナ・ブラーナ』。その荘厳にして壮大な曲調に惹かれて早速CDを購入し、家で何度も聞く。CDには合唱の歌詞が書かれていたのだが、私が購入したものが輸入盤であったため、英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語が列記されていた…。すいません、4カ国語にして頂いてますが、どれもわかんないです(苦笑)。
そして先日、公共放送でこの演奏が放映され、字幕を読んだ。うわあああ!そういう歌詞だったんですか!タイトルの前に冠されている「世俗的カンタータ」って何のこっちゃ?と思っていたけれど、嗚呼、世俗なのね。その通り、風俗なのね。シモネッタなのね。
「春になったから恋をしよう!」とか「彼女のふくよかな胸に…OH!ビーナス!」とか「男と女が1つの部屋にいたら、やるコトは1つだ!」とか。しかも、そこに少年少女合唱団が加わって「そうだ、そうだ」と歌い上げる。ああ、びつくり。
その、びつくりを生で堪能しようと出かける。
来場者に配られたパンフレットには、ラテン語の原文に日本語対訳が載っていた。比較的おとなしめに訳してあるような印象を受けたけれど、それでも子供達(横須賀芸術劇場合唱団少年少女合唱隊)が「愛し合いましょう(メイクラブしませう)」とか歌っちゃってるわけでして。合唱団の指揮者の先生は、子供達にどういうふうに歌うように指示(説明)したのだろう(笑)
生で聞いて面白かったのは、やはり楽器の動き・役割が見えること。そして、何と言っても大奮闘の打楽器群。ティンパニー、パーカッション、ドラ、シンバル、トライアングル、タンバリン、小太鼓、鉄琴、マラカス?、ゼンマイ式の???等を次々と打ち鳴らしてゆく。そのリズムがたまらん。
大熱演といえば、焼かれる白鳥の悲しみを歌った高橋淳(テノール)。酒場で酔っぱらいが、白鳥の気持ちになって歌う、という場面で、歌手は千鳥足で下手から登場。そのままよろよろしつつ、高らかに歌い上げる。思いもよらぬ方向にまろびでるので、1stヴァイオリンや2ndヴァイオリンのトップ奏者達が、思わず譜面台を引き寄せて、高橋の動ける場所をつくってしまうくらい。最後には哀れ白鳥は焼かれ、歌手もバッタリと舞台に倒れ伏す。劇的。
指揮者・飯森範親は、茶髪な長髪をなびかせ、紺のタキシードを翻して裏地のワインレッドを客席にアピールしつつ、キメキメで指揮をする。まるで戦隊モノのヒーローが「ヤァ!トゥウウウウ!」と技を繰り出すような、あるいは「シュタッッ!」と決めポーズをとるような感じ。いろんな指揮者を見ていると、指揮ぶり違いが見えてきてそれだけで面白い。
暗譜で臨んだ東響コーラスの大合唱、負けじと張り切る成田博之(バリトン)と高橋薫子(ソプラノ)、そして東京交響楽団の熱演と相まって、なかなかに力強く華やかで、どこかミサを思わせるような神々しさのある、世俗的カンタータであった。