自称☆芝居道楽委員会

2005年前半 <<芝居道楽録 <<HOME

まちがいの狂言

2005年5月12日(世田谷パブリックシアター)

シェイクスピア『間違いの喜劇』の狂言版である。某教育番組『にほんごであそぼ』で一躍子ども達の合い言葉?になった「ややこしや」はコレが元ネタ。
ぶっちゃけ、野村萬斎はどうでもよかったのだが、01年の初演、そしてロンドン公演も好評で、今年はアメリカ公演もあるという舞台を観ておかねばなるまいという使命感(?)で劇場に足を運ぶ。

客席に入ると、そこには武悪面をつけ、真っ黒なてるてる坊主のような格好をした「ややこしや隊」がウロウロしている。座席を確認する観客のチケットを覗き込んだり、いつの間にか観客の隣りに座り込んでお客を驚かせたり、時々「ややこしやー」と歓声をあげたり。開演前から客席をややこしやワールドに引きずり込む。
客いじりをしていたややこしや隊が舞台に上がると上演開始。あ、その前に「ややこしや!」とカメラおよび携帯電話の使用禁止を訴えていましたね。

白草の石之介と黒草の石之介の双子は石田幸雄の1人2役、白草の太郎冠者と黒草の太郎冠者の双子は野村萬斎の1人2役と、ややこしさにややこしさの拍車が掛かる配役。しかしそこは演出の工夫がある。舞台左手奥には、黒い布に白抜きで草(タンポポ?)が描かれた幕が下がっており、ここから登場した人物は黒草の国の人物。反対に、舞台右手奥の、白い布に黒抜きで草(タンポポ?)が描かれた幕から登場した人物は白草の国の人物、という設定。
狂言ではあるが、伝統的な狂言ではない。狂言ではおめにかからない2階があったり、台詞回しが現代っぽくなったりする。だからと云ってナンチャッテ狂言の安っぽさは無い。そこのところの微妙な一線は保っている。さすが。
但し、一人、黒草の国の領主を演じた役者(名前失念)の台詞が、どうにも変。素人が狂言の台詞術を表面だけ齧って、いかにも狂言らしいイントネーションで台詞を言っているが、あからさまに怪しい、そんな感じ。是非、本来の能舞台で舞台を多く勤めてきちんと狂言ができるようになってから、こういった舞台に立って貰いたい。

とても素朴な疑問難なのだが、石之介の両親は、何故双子の息子に同じ名前をつけたのだろう。そもそも子どもに同じ名前をつけたことが「ややこしや」の原因なのでは。それは従者・太郎冠者の両親もそうだけれどね。

ややこしや、ややこしや。やや子、恋しや。
この舞台は脚本(高橋康也)の勝利であり、狂言の勝利である。

採点:★★★★☆

2005年前半 <<芝居道楽録 <<HOME