自称☆芝居道楽委員会

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ルル 〜破滅の微笑み〜

2005年4月11日(世田谷パブリックシアター)

オペラでも有名な『ルル』。正直言って男性出演者には全く興味が無く、それどころか「え〜、古谷一行?!びみょ〜」な後ろ向きの気分。それでも、まぁ、北九州芸術劇場プロデュースで白井晃・演出なら『ファウスト』が良かったから今回もイケルかも、というほんのりとした期待。そういった諸事情はさておき、タイトルロールを演じるのが秋山菜津子とあっては、見逃すわけにはゆかない。慌てて劇場に走り、あっさり当日券を確保。

ルル(秋山菜津子)に関わった男達は皆、破滅してゆくけれど、それはルルのせいではない。あくまで男達が自滅しているだけ。いや〜、本当に、男ってアホだね。編集長、新聞社社長シェーン(古谷一行)、その息子アルヴァ(増沢望)、カメラマン(みのすけ)、ルルのファン、筋肉男。天晴れ、見苦しいまでに醜態をさらしている。
社会の中での自分の位置とか、ルルに対しての自分の立場とか、常に他者と自分を比較していないと自分を保てない、気の毒な男達。自分が立脚してきたと思っているその「位置」ってやつを見失ったとたん、男は簡単に自滅する。「破滅だ。ルルのせいだ」と言うけれど、そんなのは負け惜しみ。自分1人という姿を想像できなかったコトに対する、言い訳にすぎない。男って哀れ。同情する気もおきないけれど。
その点では、ルルの父(浅野和之)と、切り裂きジャック(古谷一行/2役)が自己中心的でヨイ感じ。

そんなバカな男達と違って、ルルは、自分が自分であることを大切にしていて、そして精一杯生きている。ブラボー、ルル。
原作もオペラも知らないので、一般的な『ルル』の解釈と比べてどうこう、ということはわからない。だが、この作品では間違いなくルルは可愛い女だ。「貴方は私を愛しているのよ」と言い切ってしまえる一途さと、決して己のありようがブレない強さと、女独特の(?)奔放さ。
愛を求めてコロコロを男を替える女の話、ではない。下心全開の男達がルルの周囲に寄ってきて、せっかくだからとルルが彼らに微笑むと、男は身勝手に自爆してゆく、そういう話。少なくとも私にはルルに対する嫌悪感は全く無い。それどころか、友達にしたら話題が尽きなくて面白そうなヤツ、って感じで好印象。
唯一残念だったのは、秋山菜津子がおばさん顔になっていた、ってこと。嗚呼。

場面転換では、テクノ系?の音楽と映像(nido)と、ダンス(振り付け:井出茂太)が入る。これが面白い。ルルを見つめる男の心象とか、ルルから見た男達の残像とか、ルルと男達の葛藤の流れとかが、直球で伝わってくる。台詞ではないからこそ、言葉に惑わされない。身体表現だからこそ、お互いの位置関係とか影響力とか、そういったものが見える。動きが活きている役者と、ダメっぽい役者が一目瞭然なのも、笑える。

終演後、ステージトーク(白井、秋山、古谷)が15分ほど。うっかり聞いてしまったが、聞かなきゃ良かったと後悔しきり。
正直言って、舞台を見て感じたことを、演出家や出演者が後追い説明されても嬉しくない。表現したいことは、舞台で勝負してくれなきゃ。楽屋でどんなにフォローしたところで、大根役者が名優に見えるわけじゃない。しっかり作って舞台にのせたなら、役者や演出は「舞台で全てを表現したので、観客は見て、わかれ」ってくらいの傲慢さがあって良い。
特に、今回のように、演出意図が明確に読み取れたうえに、観劇後に想像をふくらます余地が多い舞台の場合、ステージトークは無用だった。終演後、自主的に客席に残ってしまった私がいけないのだけれど。
(ちなみに、ジャックが「可愛い唇」と言ったのは、子宮方面の意味だよ。わかったかな?カマトトな観客さん達。)

採点:★★★★☆

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