自称☆芝居道楽委員会

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楡の木陰の欲望

2004年10月30日(シアター1010)

北千住に新しくできた劇場「シアター1010(センジュ)」のこけら落とし公演は、寺島しのぶ&パク・ソヒによるちょっとセクシーな芝居。ロバート・アラン・アッカーマンの演出はこれまで何度か観ていて、それなりにいけると思ったし、なにより寺島しのぶ見たさに、「北千住?遠い!」と言いつつチケットを確保した。
が、プレビュー公演は「金返せ」の劇評がネットに掲載されており、開幕直後も「頑張ってはいるが、これではダメ」という論調が続く。こうなるともぅ開き直るしかない。どれだけダメが確認してやろうという歪んだ気持ちで劇場に向かう。シアター1010は、北千住駅直結の○I○I(丸井)の11階。やたらに1と0あるいは○の並ぶ劇場である。

開幕は何故か15分近く遅れる。理由の案内放送は何も無い。開幕時間を気にしないおばちゃん達は元気におしゃべりしているけれど、こっちは「どうなってんだよ?」とイライラ。

舞台上には「1階の前の方の席では演技が見えない」とのブーイングがネットで上がっていた問題の建物。つまり、2階建てで、各階左右に部屋がきちんと仕切られた家。正面から見たらちょうど「田」の形。1階前方右手の席だと、舞台の1階左手奥や2階左手の部屋での演技が見えないだろうし、1階前方左手の席でも、舞台1階右手奥や2階右手での演技が見えないだろう。
幸い私の席は2階最前列だったので、どの部屋での演技もしっかり見えた。が、全然心に響かなかった。誰にも共感できないし、誰にも反感を抱けないし、結末も「だから、何?」って感じ。田の字の空間は左右の部屋での対応(連携)や上下での対応(連携)としては面白いが、どうも役者が無駄に階段を上り下りして廊下を歩いているように見える。ここまで凝りに凝った美術(朝倉摂)にしなくてはいけない理由がわからない。

親父エフラム(中島しゅう)は実は全て分かっていて、それでも息子達をあるいは妻を利用しているんだと最初は思った。でも、実は全然分かってないことが見えてきて、それじゃあこの兄弟達は親父の何に恐れて家を出られないでいるのか、あるいは農場を乗っ取れないでいるのかさっぱりわからない。エフラムにとっての妻とは何なのかもわからない。
単なる愚直で頑固なもうろくオヤジ。冷めた目で見てしまっていた私には、寂しいとも哀れとも思えなかった。

前半のアビー(寺島しのぶ)は男をとろかす悪女ぶりが見えたのだけれど、後半になって衣装が喪服のように真っ黒になると、一体何を苦悩しているのかさっぱりわからなくなる。
というか、基本的なこととして、アビーがエバン(パク・ソヒ)を愛して、エバンもアビーを愛しているってことがわからなかった。恋に落ちて愛し合う、というのは理屈じゃないとは思う。でも、それまで貪欲な目的意識を持って行動していたアビーが、何故エバンを愛したのかが、どうしても、どうしてもわからない。子供を作るための方便だったのが、いつの間にか身を焦がす愛になったのだとして、その1幕から2幕の間にあった心理的な変化に私は全くついてゆけなかったよ。

エバンに至っては理解不能。わかったのはマザコンだということだけ。アビーとのキスシーンも濡れ場も、だから何、それであんたはどうしたいわけ?って感じ。
しかも、1幕ラストの盛り上がるべき濡れ場の場面で、客席からあからさまなイビキと、それを制する声が聞こえてね…。それまでもイビキは聞こえていたんだけれど、あまりにタイミング良い高イビキ。ラブシーンを冷めた眼差しで見てしまっていた私は、もっと冷めてしまったよ。ふん!嫌だねぇ、心が荒んでいるときにお芝居を観ても、「愛がなんだ〜!」って気になるんだからさ。やれやれ。

幕が上がって客席から廊下に出たら、廊下のソファーでオジサンが高イビキで寝ていた。客席でイビキかいて寝るより潔いよね(苦笑)

採点:★☆☆☆☆

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