自称☆芝居道楽委員会

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タイタス・アンドロニカス

2004年1月17日(彩の国さいたま芸術劇場・大)

夜半から雪、平野部でも積雪と天気予報は言っていたが、とにかく前売りチケットを購入しているのだから、何が何でも観に行くのである。交通麻痺を恐れていては劇場通いはできないのだ。空気はキリキリと冷たいが、雪が降るような雲にも見えない。帽子、マフラー、手袋、コートにブーツの完全防備でいざ劇場へ。

切符をきってもらうと、ホワイエの客席入り口近くに衣裳掛けと小道具の棚があるのが目につく。試作品が展示してあるのかなと思ったが、よく見ていると名前が書いてあるモノがあり、どうやら舞台で使う本物らしいことが判明。舞台進行、役者の着替えの都合上こういった場所に置かれているのだろうが、観客への雰囲気作りとしても大胆で印象的である。

客席に入れば、舞台上にも衣裳掛けがあり、開演15分前くらいからスッタッフが舞台を横切るし、役者が舞台上で発声練習をしながら動き回り出す。そのうち役者が衣裳を着けはじめ、舞台から客席へ下りる階段を確認し、客席通路うろうろする。
時折、舞台監督?が「キャストの方は客席と通路を確認してください」というようなことをマイクで言っている。いつの間にか演出の蜷川幸雄が舞台上にいて、役者に声をかけたり、最前列の観客に足下の荷物の注意?をしている。
「ほおおお!本番前はこんなふうなんだぁ」と舞台裏を覗いたようなお得な気分。舞台監督のGOサインで役者も蜷川も客席通路を使って所定の位置へ。そして舞台が始まる。

お目当てはタイタス・アンドロニカス(吉田鋼太郎)とタモーラ(麻実れい)の対決。麻美れいに関しては『オイディプス王』『サラ』などでその超然とした存在感のある演技は知っている。が、吉田鋼太郎は私にとっては未知数で、どんなふうに麻実タモーラとぶつかるのか興味津々であった。

結果は大満足。麻実タモーラのどろどろした女の情念と、目的のためには手段を選ばない鋭さあくどさに対して、吉田タイタスは裏切りを許さない男の純情と、痛みを知るものが持ち得る狂気でぶつかる。時には勇者には見えないくらい、悲しみにのたうち回って舞台上を実際に転げ回るし、誰かにすがろうとする。主を信じ、家族を信じ、人の本性は善であると思っているふうで、表情がくるくる変わる。実にイキイキした人だ。「実は当て書きなんじゃないか?!」と思ってしまったよ、吉田タイタス。

ねっちっこくて、野獣的な視線が印象的だったのがエアロン(岡本健一)。彼が一番悪業を重ねているヤツに見えるけれど、その行動を突き動かす根元に民族の対立があって、そして復讐の一幕が下りて取り残されるのが幼いルーシアスだというのは、根深く、切なく、残酷。

採点:★★★★☆

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