井上ひさしの新作である。世間一般の懸念通り、台本が間に合わず初日が2日ずれての公演となった。せっかくこれだけの作品を書く人だから、“初日までにあがらない”という不名誉はどうにも惜しい。まぁ、例の如く急遽休みが転がり込んだのを幸い当日券を手にした私には、何の影響もなかったわけだけれど。
兄の吉野作造(辻萬長)は東大教授、弟の信次(大鷹明良)は高級官僚。その二人が大人になって同じ部屋で枕を並べて寝た、わずか5回の物語。登場人物は兄弟の他は作造の妻・玉乃(剣幸)、信次の妻・君代(神野三鈴)、そして5回の出逢いに関わる人々(小嶋尚樹、宮地雅子がそれぞれ5役)。
井上ひさしの綺麗な日本語、わかりやすい歌詞にのって、6人がコロコロと舞台を展開させる。場面場面の大道具をのせ、6人の俳優がそれぞれ陣取るとそれだけで舞台が濃くなる。役をきちんと作り込んでいる役者達の息はぴったりで、歌も振りもきっちりまとまっている。キラキラした衣裳やアクロバティックなダンス、朗々と歌い上げるヒロインばかりがミュージカルじゃないよね。客席に小母様&小父様達の姿が多かったのも「新作の初日は不安だけれど(苦笑)これだけのレベルの舞台を見せてくれるから安心できる」と知っているからであろう。
「ごはんを食べて、みんな仲良くね♪」の新・国歌と共に、楽しく劇場をあとにした。