何たってアングラの王様、寺山修司である。思いっきり訳わからないだろう、という先入観があった。アングラ色強い作品を上演するには会場が広すぎるのではないか?という懸念もあった。それでも、青ひげ公の妻役に篠井英介(第2の妻)、李麗仙(第5の妻)、松本紀保(第1の妻)という名前が並ぶとそそられてしまうのである。
夫であるプロンプター(小須田康人)相手に芝居をし、自分には熱烈なファンがいると思っている第1の妻。ある時は、がたいのでかい付き人(石橋祐)を従えたおんぼろチャップリンもどき、実は豪奢な第2の妻。ポリエチレン製の人形をあやして歌を歌う第3の妻(山崎美貴)。お金の取り立てに来られると芝居の台詞で逃げようとする第5の妻。第6の妻(木内尚)は人形。
ちょっとアッチの世界に行っちゃった人達が、よくまぁこれだけ!と呆れるほど揃っている。殺人事件さえ現実なのか虚構なのか判然としない。だまし絵を見ている気分。
結果としては、予想通り何の話なのかわからなかったのだが、意味がわからないなりに面白かった。舞台は虚構であり、芝居は嘘の台詞の塗り固めにより成立した幻の世界。そのありようを見事にトリックとして芝居にしてある作品だと思う。舞台をこういう風に遊ぶこともできるんだな、と新しい発見をしたように思う。別な演出でもう一度観てみたい作品。