自称☆芝居道楽委員会

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欲望という名の電車

2002年5月14日(シアターコクーン)

テネシー・ウィリアムズという名前と共にタイトルだけは耳にしていたし、ちょっと手強い話だということも知識としては知っていた。一度は観てみたいと思いつつも、先入観というヤツと時間と金とキャスティング等、様々な事情からこれまで観ていなかった舞台である。
そして、このたび大竹ブランチ、寺島ステラ、堤スタンリーという配役を蜷川演出で観たわけである。

大興奮である。
なるほど、Wしのぶはスゴイ女優だと聞いていたが、スゴイどころの騒ぎではなかった。大竹ブランチは現実と虚構、本音と飾られた言葉の間を彷徨い、かろうじてコッチにつなぎ止められているズタボロな女を、これでもかというばかりにえぐり出してた。そして寺島ステラは姉ブランチと夫スタンリーの間に入って振り回されているようでいて、実は一番どっしり構えている図太い女っぷりを披露した。

女が一人で生きてゆくということは、こんなに酷いことなのだろうか?現実に足をつけているためにはこんなにまでも多くの犠牲を払い、自分の何かを守るためには別の何かをかなぐり捨てなければならないのだろうか?
初恋の美少年と結婚したけれど、実は彼は同性愛者だった。そしてそれを「イヤだわ」と指摘した直後、美少年はピストル自殺。確かにこれは手ひどすぎる恋愛のスタートで、これが何かのトラウマにならなければその方がおかしいだろう。
加えて、自らの誇り(たとえそれが虚構に塗り固められたものであっても)の象徴であった農園の崩壊。 ブランチはきっと、一人で生きてゆくには繊細に過ぎたのだ。
ある意味、妹のステラの方が現実的で強い女だよ。ブランチの狂気を包み込めるんだからね。

それにしても、あの結末しかないのか。
あれで、ブランチは救われたのか。
「どなたか存じ上げませんが、私はいつも、見知らぬ誰かのお慈悲にすがって生きてきたのです」と、あどけない微笑みを浮かべ、差し出された腕に寄り添う姉ブランチ。
「姉さん!姉さん!!」と狂ったように泣き叫ぶ妹ステラ。
大竹ブランチの童女のような微笑みと、寺島ステラの魂の叫びに視界が曇ったよ。
きっついなぁ、これは。

採点:★★★★★

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