これは、つらい。というか、きつい。
寺山修司の脚本だけあってテーマが重たいのである。それを観やすくきれいに演出しているとは思う。
観ながら追いつめられてゆくような圧迫感、あるいは道徳観を突きつけられて「ドウダ」と凄まれるといった感覚は…薄い。それよりもこの人達はどうなってしまうのだろうという気持ちでぐいぐいと舞台に引き込まれる。しかし、残された思考回路が「助けてくれ!」と悲鳴を上げてしまう。
確かに今、取り上げるにふさわしい作品だ。現在の日本における病の一つが示されていると思う。一人の仲間はずれ(気違い)を探し、大衆になるためにマネをする…。
「まねっこして嘘つきだ!」と非難する主人公蘭(青木)に対して、「迎合すること、ウソを演じることをわかっていても、それでも皆と同じであることを演じるのだ」という台詞。これは先日観た『研辰の討たれ』で感じた大衆という波の恐ろしさと繋がっている。