ペットサウンズでお勉強
以前も書いたが某駅前留学で英語を習っている。
ここに入会するときに通常レッスンと一緒に、ラウンジみたいなところで数名でフリーディスカッションをするためのチケットの購入をかなり熱心にというか執拗に勧められるので、たいていの人は一緒に購入してしまう。かくいう僕もそのクチだ。
でも、週一回しかレッスンの時間が取れない人が、さらにフリーディスカッションに参加する時間が取れるわけもないのでこのチケットは使わないままになってしまうパターンが多いようだ。さらにいうとこのラウンジは常連ばかりでなんとなくクローズドな雰囲気もあってちょっと入りづらいところがある。
僕も入会以来3年ぐらいほとんど使わずにいたのだが、捨てるのはもったいないし確かに会話慣れするには効果的なので最近はなるべく通うようにしている。
このラウンジ、40分単位で外人教師1名と生徒数人がフリーディスカッションを行うのだが、月に1回だけ教師が自分で決めた特定のテーマについてディスカッションする時間帯がある。
テーマは千差万別でクリスマスだったりそのときのトレンドだったりするらしいが、なんかめんどくさそうなのでなるべくその時期は避けるようにしていた。
でも、昨日はその「テーマ」が設定されているときに行ってしまった。いつもは月の最終週なのになぜ、と思ったが入室してしまった以上席に着くしかない。
僕は途中入室だったのでテーマの説明を受けたのだが今日は「音楽」ということらしい。
テーブルを見るとプライマル・スクリームのベストやらペットサウンズやら、ストーンズのよくわからないCDやらが並んでいる。「音楽」ってそういう音楽がテーマか。
外人教師が出した課題のひとつがすごかった。
「今からR&Bに属する音楽ジャンルの一覧を書いた紙を渡すからそれについて小グループでディスカッションした後、そのジャンルについて説明してくださーい。」
そこに書いてあったジャンルは、Funk,Soul,New
School ,Old School , Northern Soul , Southern Soul , Philly Soul ,Motown ,Stax
,Atlantic・・・・。
おい、ちょっと待てよ。これって英語がしゃべれようとしゃべれまいと知らなきゃ説明できねえだろ。大体英語教室に来る人全員が英語の歌が好きなわけでもないのにかなり無理があるぞ。そもそもちょっと好きぐらいじゃ答えられないし当然ながら僕も全部は知らない。こんなの「ロックの学校」でも行かない限り無理だ。
ラウンジには7人いて僕以外は全員女性。若年中年老年とヴァラエティに富んでいるが失礼ながらどう見てもこの問題に答えられる人はいなさそうだ。
隣の女性(若年)に聞いてみたがやはりさっぱり知らなかった。
そして「さあ、みんな説明してくれよ。」と言われてしまった。
Funkはまあダンサブルとかなんとか誰かが言って事なきを得たが、その後については沈黙状態。しょうがないのでモータウンについて説明することにした。
「えー、ソフィスティケイトされたポップなR&Bです。モータウンというのはレコード会社の名前です。」
ほんとうはもうちょっとましな言い方をしたかったが僕の英語力ではこの程度が精一杯。
「何でモータウンって言うか知ってるか?」
知ってるよ、知ってるけどあんまり長く喋っちゃみんなが引くと思って言わなかったのに。
「えー、これは作られた言葉でモーターとタウンを合わせたものです。」
「どこの街?」
「デトロイト」
「その通り!」
ああ、きっとみんな「あの人マニアック」と思っただろうな。別にいいんだけどさ。
その後アトランティックもレコード会社名であること、フィリーソウルがフィラデルフィアサウンドを指すことも説明したが、他はさすがに知らないのでギブアップしたら教師が自分で説明していた。フリーディスカッションのはずなのに教師が喋る時間がいやに多い。
僕としては結構面白かったが他の人達が面白がっていたかどうかはよくわからない。
「次は音楽で使われる言葉について説明しよう。Verse
, Bridge ,
Chorusって何のことか知ってるかい?」
もうこうなってくると音楽の授業をただ英語でやってるだけだ。
「そう、AABCAって言う組み合わせが売れるポップソングの王道なんだよ。」
と、言いながらCDラジカセにペットサウンズのCDを入れて"
God only
Knows"を流す。
売れるポップソングの見本でこの曲選んじゃいかんだろう!、ビーチボーイズで選ぶなら"I
Get Around"とか"Help Me
Rhonda"じゃないの?と思ったが英語で議論しても勝てそうにないしこの話題に誰も参加してくれなさそうのでこらえた。センセイ、完全に趣味の世界だよ。
次は[General
Music
Conversation]というタイトルの紙を渡される。
音楽について話すとき使われる例文がいくつか書いてある。
「ここに書いてある言葉を使って隣の人と音楽について話してください。」
隣の女性と話すにあたり一応気を使って「好きなミュージシャンはビリージョエルです。」ということにした。ポールだと語るのに時間がかかりそうだし相手が知らないミュージシャンじゃ話が続かないしということでの選択だ。結果としてこの選択は正解でそれなりに話は続いた。
ごめんビリー、「今はほとんどリタイア状態」って説明しちゃったよ。
そして彼女の番、好きなミュージシャンはアルフィーだという。
ひえー、俺が気を遣ったのにアナタのほうがマニアックじゃんと思ったがそれは顔に出さずに会話続行。
なんでも最近結成30周年のイベントがあったらしい。実はアルフィーのファンだという女性に会ったのは彼女で二人目だが、30年も続いてるんだから隠れファンが沢山いるんだろうななどということを自分のことは完全に棚に上げて考えてしまう。
そして最後、今度は好きな曲について語りあえと言う。
こりゃ難しいだろう、相手が知らない曲だったら会話にならない。
だいたい歌詞やバックグラウンドを知らないと説明もできない。
と、いうわけで”All
My
Loving”について説明することにした。これならたいていの人は知ってるだろうと思ったのだが彼女は知らなかった。そうだよな、この曲が有名なのはビートルズファンの間での話だよな、レットイットビーとかヘイジュードじゃなきゃダメだったんだよな、と思ったがもう遅いので一番の歌詞をノートに書いてどういう歌であるか説明した。そう、この曲の歌詞は全部覚えているのだ。
ただ、誤算が一つ。あらためて紙に書くとなんとシンプルでストレートなラブ・ソングなんだろう。日本語じゃとても言えないセリフを綴っているうちにミョーに恥ずかしくなってしまった。いい年して何を照れてるんだ俺は。
そんなこんなで教師交代の時間が来て彼は去っていったのだが、後で他の人に聞いたところによると以前DJをやっていたそうだ。ああ、それであんなにマニアックだったんだ。
みんな退屈していたのかと思ったが「面白かった」、「勉強になった」とのこと。
まあそういうことなら良かった。
でも勉強したのは英語じゃないけどね。
次の時間は完全にフリーディスカッションだったのでいままでとは完全に立場が逆転してしまい窮地に追い込まれたのは言うまでもありません(笑)。
この日あらためて思ったのはつくづく音楽って共通の言語だということ。
英語教師として優秀かどうかはわからないけどペットサウンズが好きでソウルが好きな彼とはもっと話がしてみたいもんね。
Posted: 日 - 2月 20, 2005 at 05:15 午後