開場から試合開始まで2時間あるけど、練習見てるとあっという間。
自分は何せ野球観戦2回目なので物を知らないのだけれど、そんな席でも阪神ファンとおぼしき人が周りにちらほらどころではなく、結構いらした。もの静かな人もいる。席に着く前からガヤガヤ言って、一通りスタジアムのケチをつけて、どう聞いても罵声にしか聞こえない声援を試合前から一人でがなり立てていた人もいた。かなり目立つ。当たり前だ。敵地に一人で乗り込んでしまったのだから、それなりの覚悟でテンションを上げてきたのだろうか。「今日はようけおおきにたのんますわ」みたいな言葉を周りのロッテファンにかけて配慮をみせてはいたが、試合が始まればどうなるかわからない。薄ら笑いのロッテファンにも緊張感が漂う。なんせ相手はダミ声の関西人だ。自分の目の前に座る藤川のユニフォームを着た男性に「おう田淵!今日はよろしくな〜」などと声をかけている。
一緒にいた甥も至る所にいる阪神ファンが気になるのか、持参してきたロッテのユニフォームを着ようとしない。浮かぬ顔だ。ロッテファンに囲まれて、ロッテファンに包まれて応援したかったのだろう。当たり前だ。
そうこうしているうちに、一組、また一組と阪神ファンが席から去っていく。同じような境遇のロッテファンからの座席交換の申し出に応じて、三塁側スタンドへと移動していった。気がつけば1回の裏には虎男は一人もいなくなっていた。そういうしきたりは、実際に行われればものすごく早く納得できるが、それまでが気が気で無い。甥はそそくさとピンストライプに袖を通している。お前は確かヤクルトが好きだったんじゃないのか。いや、行きの車の中でヨシノブがどうとかこうとか言ってなかったか。
なのになぜ、ロッテの応援の仕方をマスターしているのだ。気がつけば売店からロッテのタオルと帽子を買ってきているじゃないか。叔父さんはお前が売店に行っている間、すっかりロッテファンに染まってしまい、跳ねて手を叩いて振って叫んでいたんだぞ。その帽子とタオルを貸しなさい。タオルが無いとあの応援は様にならないんだ。

そうこうしているうちに試合終了。通路でおまわりさんたちが男に抱きつかれて困っていた。そのあとパトカーが何台もやってきた。ロッテファンと阪神ファンが談笑していたのに腹を立てた酔っぱらい阪神ファンが暴れたのだと知ったのは家に帰ってきてからだった。海浜幕張駅前にあるロッテのグッズを売る商店の窓ガラスを握りこぶしで通りから何度も叩きながら歩いて行った阪神ファンもいた。
