【風の竪琴2-39

◎記憶の彼方に

(2009.2.28)

知らないことに導かれ
記憶の底に流れる河に向かうならば
まだ見ぬその先に自らを見いだすことだろう
かつて私であり知らぬまま私であり続けた
その永遠を

ふさわしい舟はあるか
星はどこを指しているか
その足ははじまりに向かう勇気をもつか
躓くときの起き上がり方を心得ているか
生がどんな死を生むか
死がどんな生を生むか見たことがあるか
物語と結末を知りそれを超えられるか
そしてどんな永遠という戯画にもとらわれずいられるか

記憶の壁に描かれている封印を解くためには
私を盲にさせていることばと戦わねばならない
思い出せばみずからを激しく憎悪するものを愛さねばならない
愛着するものを捨て去る力を持たねばならない

静かに目をひらいて
記憶の彼方の風景とともにある私を見るがいい
その懐かしい永遠とともにある私を
種のなかにすでに花と果実のある樹を
今と永遠がともにあるここを

生きるがいい死ぬがいい
忘れるがいい思い出すがいい
悲しむがいい喜ぶがいい
憎むがいい愛するがいい
そこに永遠はあるのだから