○めぐり
(2008.10.22)
ぼくはめぐり
ぼくは迷う
いったいどこへ
それをこそ探して
なぜ迷うのかさえ知らず
迷うためにこそ迷うように
ぼくというかりそめの塔はすでにその形をとどめず
かつて最上階に穿った窓から見えた川や森のことも
また閉じこもることでかろうじて守っていた神話も
すでにその物語の切れ端ばかりを留めるに過ぎない
ああぼくであったものよ
ああ新たにぼくであろうとするものよ
なにを探そうとしているのだい
なんのために迷うというのだい
冒険のためのかりそめの筏は難破のためにあるのか
手にした万能の無能のナイフは自らの手に食い入るばかり
お腹を空かせたぼくという肉体の目は空を仰ぎ
心を空かせたぼくという精神の目は地を這う
ぼくはめぐり
ぼくは迷う
花は咲き萎み種をつけ
樹は茂りやがて雪に埋もれ
道は絶えて地下へと向かい
迷宮よ我を誘えという声だけが響く
ぼくはめぐり
ぼくは迷い
そうすることで紡がれていく織物を衣とし
ぼくは帰還していくのかもしれない
どこか懐かしい
けれどすでに故郷ではない
迷宮そのものともなったぼくという永遠へと