Roland TR-606
1981年発売 49,800円
 姉妹機TB-303の異常とも思える人気ぶりはみなさん既にご存知のことと思います。TB-303と同時に発売されたこの「Drumatix」ことTR-606は、現在では「TB-303のついでにコレもセットで持っておくとカッコいい」というコレクター達の心理を微妙にくすぐっているマシンです(合掌)。また「TB-303はプレミア付いてて高いから、コイツで溜飲下げておくか」という輩もいるようです。まあ、分からないでもないですけど(笑)。でもそんな理由でゲットするとコイツにしっぺ返しを喰らいますよ!アナログ音源のドラムマシンで、コイツほど強力なサウンドを出すヤツはいないし、独特のグルーヴ感、感覚的な操作性。甘く見てると絶対にヤラれます(きっぱり)。

 まず、サウンド。TR-808の廉価版という位置付けだったマシンだけあって、良く似た雰囲気の音になっています。でも何となく“ハード”です。コンプとディストーションがすごく綺麗にかかる感じの音で、ハードコアテクノ系にはバッチリ。タムとスネアが印象的です。ハットやシンバルの金物系もちょっと音が粗く、良い意味で汚れてます。ってオイラのヤツが壊れてるのか?(笑)ハイタムとロータムを同時に鳴らしてミッドタムっぽい音を作ることも出来ます。それからオープンとクローズのハットの同時発音も可能で、キャラの違ったハットも作り出せます。意外とこういう音ってハマるんですよね。ただ、ハンドクラップがないのが残念ですけど。(^^;

 操作性は非常に優れています。TR-808以降、スタンダードになってしまった「TR REC」方式。入力したい音源をダイヤルでカチカチッと回してセレクト(このツマミイジりが最高に楽しい!)して、下にズラッと並んだ16個のボタンのオンオフで打ち込んでいきます。ステップはもちろん、パターンを走らせながらの打ち込みも可能です。リアルタイム入力だと赤いLEDが左から右へパパパパッと走って、非常にソソられます。見ているだけでアドレナリン大放出(笑)。普通のプレイモードでパターンを聞いていて、ふと打ち込み直したいと思った時でもそのままマシンを走らせながらダイヤルを書き込みモードにカチッと回すだけでOK。演奏を止めずに打ち込み体勢に入れます。これがメチャクチャ便利!ライヴ感覚溢れるマシンです。ファンクションキーを押しながら16個のボタンのどれかを押すことでパターンのステップ数を決めることが出来ます。例えば16を押せば16ステップに。12を押せば12ステップ。この操作で変拍子設定も可能なわけです。パターンを走らせながらいきなり変拍子に!なんていう芸当も出来ます(笑)。残念なのはパターンのコピーモードが無い点。でも逆に常に書き込みモードでひとつのパターンを鳴らしておいて、スネア1個抜きとかタムの連打なんてのはリアルタイムでオンオフすればいいわけで(笑)。微妙に違うパターンなんてのをわざわざコピーして作っておかなくてもいい、と。ある意味、ステージなどで使うのに非常に緊張するマシンとも言えます(笑)。ちなみにメモリー出来るパターンの数は32個。それらを組み合わせて最大256小節分のソングが組めます。

 同期にはDIN SYNCが採用されています。背面スイッチの切り替えでイン・アウトの選択が可能です。このSYNCケーブル1本でTB-303と直結させて同期演奏が出来る!というのが、発売当時の売り文句でした。また、2個のトリガー出力端子が装備されていて、それぞれロータムとハイタムが割り当てられています。外部音源を鳴らしたり、クロック信号としてシーケンサーやシンセに突っ込んだり出来ます。

 このマシンは電池駆動も可能です。単二電池4本。本体の大きさも良い感じで、持ち運びに適しています。TB-303と併せても大した荷物にはならないので、出先でハードコアテクノトラックの制作ってのもオツですね(笑)。そう言えば昔、雑誌でRCサクセションのドラマー新井田耕造さんがツアーの移動中の新幹線の中で、このTR-606をヘッドホンしながらイジってた写真を見たことがあったなあ。それからこのマシンには「イシバシモデル」という、石橋楽器さんが当時やっていた独自の改造が施されたタイプがあります。パラアウト仕様で、タムなどのピッチも可変可能だったとか。前述しましたがTR-606にはハンドクラップの音が無かったので、外観デザインを違和感のないものに仕上げた石橋楽器オリジナルのハンドクラッパーというものも販売されていたそうです。

 イジっていると本当に時間の経つのを忘れてしまう、そんなマシンです。(^^)


■総音色数 7
 BDSDLTHTCYOHCH
 ※遊びで軽〜く打ち込んでみた「なんちゃってテクノパターン」(笑)
■出力 MONO
■外部同期 DIN SYNC