哲学

このページでは,がロボット制御工学の研究開発,立命館大学での教育,大学発ベンチャー起業等に携わってきた中での様々な哲学的(主観的)考察を述べています.

目次

  1. ロボット制御工学の研究者として
    1. 目指すは人機一体の実用マシン
    2. ゴール
    3. 使われる技術
    4. ロボットの進化と退化と最適化
    5. 最悪のシナリオ
  2. 大学教員として
    1. 暴力以前
    2. 挨拶
    3. アポイントメント
    4. 電子メール
    5. 推薦状
  3. 一市民として
    1. 「やりたいこと」と「やってきたこと」
    2. 「世界で活躍する日本人」について
    3. 政治の役割
    4. 複雑なシステムは美しくない
  4. 推薦記事

ロボット制御工学の研究者として

目指すは人機一体の実用マシン

uploaded at 2009.02.28 (sat) 07:38

 下記参考リンクは,サイエンスライター森山氏による金岡のインタビュー記事です.私がロボット制御工学にかける想いを述べています.

 テレビ等で取り上げられる「次世代ロボット」は,ほとんど道化としか思われていないではないか.ロボットのことなど真剣に考えたこともないタレントに「すげー!」「かわいい!」と言われて喜んでいる場合か?

「何の役に立つのか?」という問いに,我々はそろそろきちんと応えるべきだ.今,我々は,次世代ロボットが「使える」モノになるかならないかの瀬戸際にいることを自覚しよう.ロボット工学は,もっと質実剛健でなければならない.

参考リンク インプレス Robot Watch
目指すは人機一体の実用マシン ~ 立命館大学・金岡克弥インタビュー

ゴール

uploaded at 2008.06.25 (wed) 15:45

「ロボティクス」は「ロボット工学」と訳されていることが多いようですが,工学に限定されない広い意味でのロボットに関する学問全体を表わすと解釈しています.私は,「ご専門は」と聞かれたときは「ロボティクス」ではなく,より限定された「ロボット(制御)工学です」と答えるようにしています.そして,理学ではなく工学の研究者として「役に立つロボットを創造し社会に送出する」ことをゴールとしています.

 ロボットは何でもできる,とロボットを人間に取って代わる「主体」と捉えるのではなく,ロボットなんて何もできない,と斜めに見ることなく,何もできないことを半ばあきらめてロボットを玩具とするのでもなく,人間を活かすための機械として,力学の観点から,ロボットの可能性が正当に評価されるようにしたい.工学者として,少なくとも私にとっては,ロボットを必要以上に擬人化する必要を認めません.ロボットに「心」など不要です.

 ああ --- だがな、どこかが決定的に違ってたんだ。最近になってわかったよ。俺も他の研究者と同じように、実は SF の中のロボットに憧れていたんだってな。ロボットは確かに俺たちの役に立ってくれるようになった。でも、こんなことじゃなかったんだ。俺が考えていたのは、こんなことじゃない。糞ったれどもにオナニーさせるためにヒューマノイドを育てたんじゃない

 これは,瀬名秀明の小説 [1] の中で描かれた横木というロボット研究者の台詞です.私はこの台詞に戦慄しました.研究者は,ただ頑張ってゴールを目指すだけではなく,ゴールを達成することによってどのように世界に影響を与えたいのかよく考え,その結果に責任を持たなければならない,と痛感しています.

参考文献   [1]
瀬名 秀明,あしたのロボット,株式会社文藝春秋,ISBN 9784163213101, p. 58, 2002.

使われる技術

uploaded at 2008.11.08 (sat) 18:07

 使われる技術を創り出したい.役に立ってこそ研究「成果」といえる.時期の早い遅いはあったとしても,いつかは役に立たなければ工学ではない.私は,私の寿命が尽きる頃に使われるかどうか,ではなく,数年後,遅くても十数年後には,私の技術が使われたロボットが多くの人の役に立っている,そういう研究開発を目指している.

 最先端技術を駆使したロボットにさせることが「食器洗い」や「ごみ出し」では,目も当てられない.オオカミ少年にならないために,我々はロボットの「知能」ではなく physical な能力を重視し,人間機能の代替よりもむしろ人間機能の physical な拡張を目指すべきだ.

参考リンク Mainichi INTERACTIVE 理系白書 '07
2007 年 06 月 20 日 第2部 科学技術は誰のもの/4 曲がり角、次世代ロボット

ロボットの進化と退化と最適化

uploaded at 2008.06.29 (sun) 12:41

「進化」とは生物学の術語であり,ロボット工学の分野で使用する際には十分な注意を払う必要がある.まず,一個体としてのロボットが「進化する」という表現には非常な違和感を覚える.進化とは,世代交代を繰り返す中で長期的に変化して行く現象であり,一個体の変化に対しては「学習」や「適応」などの言葉を使うべきである.ロボットが進歩したという意味で「進化」という言葉を使うのは,明らかに誤用である.

 また,進化は多くの場合,退化と併存することにも注意しなければならない.「ロボットを進化させる」という表現が許されるならば,それは「多くのロボットが長期に渡って世代交代を経るうちに,結果的に,特定の性質を持ったロボット設計手法が淘汰されて生き残る」という意味である.その淘汰の過程では,不要な機能は必然的にロボットの設計において採用されなくなろう.それがすなわちロボットにおける退化であり,退化は進化の一つの側面である.

 その意味から考えれば,生物が自然環境の中で進化を重ねてきたのに対し,ロボットは人間社会の中で進化することとなる.ここで留意すべきは,淘汰はロボット工学のフィールドの中だけで起こるのではなく,むしろ社会の外的要因が重要,ということである.

 ロボット工学者としてできることは,自分が信ずる目標に対して,ロボット工学技術を最適化させることのみである.その上でロボットを進化させたければ,ロボット工学のフィールドの中で自己完結せず,ロボットを何とかして社会に出すことによって,自らが「信じた」目標設定の妥当性を社会に問い,淘汰を受けなければならない.

最悪のシナリオ

uploaded at 2008.09.19 (fri) 15:08

 その日,私は異様な轟音で目が覚めた.次の瞬間,あらゆるものがその上下を失い,体の自由が失われた.どれくらい時間が経っただろう.どこかで目覚まし時計の音が鳴り,隙間から光が漏れて来た.朝だ.すぐそこに救助隊がいる.実用化された蛇型探索ロボットによって,私がここにいることは発見してもらえたようだ.しかし,瓦礫の質量は如何ともしがたく,激痛と寒さと空腹で意識が朦朧としてきた.交通も混乱しているのだろう.重機は入って来れないようだ.たとえ混乱がある程度収拾したとしても,この地域は住宅の密集地で路地も細く,やはり重機を入れることは困難だろう.私の研究は何だったのか.こんなことなら,もっと努力して,あと数年早く MMSE を市場に出せていたら,今ここに助けに来ていたかもしれないのに.MMSE なら,この程度の瓦礫は容易に取り除けるのに.後悔の言葉を百万回繰り返しているうちに,意識は途絶えた….

 ロボット工学研究者としての私にとって最悪のシナリオです.事故や災害のニュースを聞くたびに,このシナリオが脳裏をよぎります.しかし,今ならまだ間に合うと信じています.クリスマスの朝のスクルージのように,このシナリオに真摯に向き合い,自分に今できることをします.

大学教員として

暴力以前

uploaded at 2008.06.25 (wed) 16:02

『あなたはそのすぐれた学問がどのように用いられているか、それを考えたことがあるか。あなたの教えをうけた者たちがその学問を悪用するのではないか、その点にまであなたは責任を感じているのか。』

 久保正彰『暴力以前』から引いた,ソクラテスの問いである.厳しい問いであり,誰しも責任を取ることは困難であろう.しかし,少なくとも責任の重さを感じ,責任を果たし得る方法を問い続けなければならない.

挨拶

uploaded at 2007.03.22 (thu) 13:04

 残念なことに,挨拶のきちんとできる学生は非常に少ないと言わざるを得ません.私は,仕事上関係のある方には,自分からはっきり挨拶をするように心掛けています.学生に対しては,立場上自分からは挨拶せず,学生からの挨拶を待っています.そして,どの学生が挨拶し,どの学生が挨拶しないか,観察するようにしています.その結論が冒頭の文となりました.

 研究室に入ってきても何も言わずに席に座る学生,学内で会っても目を逸らし黙って通り過ぎる学生,会釈だけはする学生,様々ですが,はっきりと声を出して挨拶する学生は片手で数えるほどです.学生諸君の立場からは,たとえ自分の指導教員でなくても,先生が自分のことを知っているかどうか怪しくても,必ず自分から挨拶すべきです.

 確かに,挨拶の有無は成績評価に関係ありません.成績評価には必要以上に拘る学生が多いですが,どの科目が A+ でどの科目が C だったかなどは,社会に出てからの人生においては屁のツッパリにもなりません.しかし,成績評価に関係ないから挨拶などしなくてよい,と言わんばかりの学生が,人間関係において高く評価されることはまずありません.少なくとも私は全く評価しません.

 Courtesy costs nothing. 挨拶は基本です.下記リンクなどを参考にして下さい.

ITpro ビジネスマナー実践塾
第2回 あいさつと返事 マナーの基本中の基本,今一度互いにチェックを
日経ビジネスオンライン 遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」
あいさつで露呈する本音

電子メール

uploaded at 2006.10.01 (sun) 19:52

 学生諸君から,私を含む教員や,企業等の外部の方に送るメールは,友達に送る携帯メールとは違います.目上の人間に送るメールは一種のビジネス文書と捉えて下さい.従って,相応の書式であることを十分確認した上で送信すべきです.メールでは顔が見えないため,送信者が相手に対する気遣いを持っているか否かは,メールの文面のみで判断されることを意識して下さい.

 電子メールは新しい情報伝達ツールであり,手紙ほどのマナーは確立していませんが,それでも目上の人間に送る際には様々な配慮をする必要があります.例えば下記のリンク等を辿ってみて下さい.

教員へのメールの書き方ガイド
All About 社会人へのメールの書き方講座

 学生諸君のメールマナーについては,少なくとも一度は指摘します.しかし,二回目以降にも不適切なメールを送られた場合は返信せず無視します.社会人として恥ずかしくない電子メールの書き方を,学生のうちに皆さんが身に付けられることを期待しています.

アポイントメント

uploaded at 2006.10.02 (mon) 14:02

 学生諸君が,私に相談や依頼がある場合には,必ずアポイントメントをとるようにして下さい.私はアポイントメントを電子メールによってのみ受け付けます.オフィスアワーは設けていませんので,アポイントメントなしに部屋に来られても,忙しければ門前払いしますし,時間があっても五分程度以上は話せません.

 アポイントメントを取る際には,同時に以下の情報を知らせて下さい.以下の情報が記載されていない場合には時間を取りません.

 自分のスケジュールを知らせずに「都合の良い日時を教えて下さい」と言ってくる依頼者が多く見受けられます.しかし,そう書かれてしまうと,こちらは空いているスケジュールをすべてリストアップするか,何度もメールをやり取りして調整するか,しなければなりません.そのような手間を取らせないように,まずは自分の候補日時を知らせるようにして下さい.

推薦状

uploaded at 2008.11.08 (sat) 18:13

 推薦状を教員に頼めば,結婚式の祝辞のように必ず絶賛して書いてくれる,と勘違いしないようにして下さい.事実しか書きません.事実をポジティブに捉える努力はします.しかし,嘘や誇張は書きません.たとえ事実であっても,事実だと私が確認できないことも書きません.ネガティブな情報を必要以上に強調することはありませんが,ネガティブな情報でも包み隠さず正直に書きます.

 推薦状を私に依頼する場合には,以下の点に注意して下さい.下記の条件が満足されない場合には,推薦状は書きません.

 推薦状の下書きを,一人称で書く学生が必ず一定数存在することには嘆息します.自分が自分をどう思うか,ではなく,客観的に自分はどう評価されるか,ということを考えて下書きを書くべきです.例えば「頑張ります」「熱心である」の類いの表現は無意味であるばかりか,「この学生には実力や実績が不足していて,意欲しか推薦すべきところがないのだ」と見なされてしまいます.

 推薦状の下書きを書く前に,以下のリンク(外部)等を一読しておいて下さい.

推薦書について
推薦状を頼むとき
推薦状
推薦状のルール

一市民として

「やりたいこと」と「やってきたこと」

uploaded at 2008.06.30 (mon) 17:47

 日経ビジネスオンラインの記事コマが一気に黒から白へ。逆転の1枚はいつも自分が持っている』に同意する.

 そういえば,いつも選挙の度に,政党や候補者の「公約」や「マニフェスト」に違和感を覚えてきた.どうして皆,まったくもって不確定な「これからやること」を重視するのか? もちろん候補者の持つ将来のビジョンは明確でなければならないし,それを投票の判断材料にするのもやぶさかではない.しかし,簡単に反古にされてしまうかもしれない「これからやること」よりも,決して変わることのない「これまでやってきたこと」を,なぜもっと重視しないのか不思議だった.選挙というのは,政策のみを選ぶに非ず,これまでやってきたことを礎にしてその政策を打ち出すに至った「人」を選ぶことであり,そして「人」とは,その人がこれまで生きてきた過去の蓄積に他ならないからだ.

 政治家なら,これまで議会でどの法案に賛成/反対し,議会外ではどのような活動をしてきたか.最高裁判所の裁判官なら,これまでどのような判決を下してきたか.それが投票において最も重視すべき点であると考える.メディアには是非,選挙前に候補者のこれらの「過去」を網羅した一覧表を報道してほしいと思う.(もしそういうウェブサイトが既にあれば,誰か教えて下さい)

 冒頭の記事は,選挙ではなく就職活動についてであるが,就職活動も結局「人」を選ぶプロセスであり,本質は同じであろう.冒頭の記事に膝を打った次第である.

 これは,人生においても然りである.自分探しを己の外で行なうのは愚かだと常々考えていたが,自分探しを現在ではなく未来で行なうのも同様に愚かだと改めて気づかされた.自分とは,己の過去そのものに他ならず,過去とは現在の積分に他ならない.探さなくとも,既にここにあるのだ.

 意味のある未来は,現在と連続な未来のみである.現在と不連続な未来は妄想あるいは白昼夢である.未来を変える唯一の方法は,現在を変えることである.

「世界で活躍する日本人」について

uploaded at 2008.11.06 (thu) 18:21

 世界(特に外国)で活躍する日本人を紹介して「日本人はすごい」というのはもう止めにしないか? 日本は高度成長期を経て,成熟国家への道を歩む段階にある.我々は,既に十分,「日本人だから優れている/劣っている」「〜人だから」「男だから/女だから」「〜の息子/娘だから」というレッテルは無意味だと知っていなければならないのだ.どんな属性であれ,才能を持ち,正しく努力する人が成果を上げるのが正道である.

 優秀な日本人がいて,その日本人が外国で活躍し成果を挙げたならば,その人に対して賞賛を惜しまないのは当然としても「日本人はすごい」と無邪気に自己満足している場合ではない.少なくとも我々日本にいる日本人は,なぜその人が日本ではなく外国で活躍しているのかを考えるべきだ.もし日本に活躍する舞台があり,社会的にも経済的にも評価され,日本を拠点にしつつ世界と太刀打ちできるなら,必ずしも日本を出る必要などなかったかもしれないのだ.その人はもしかすると,日本では誰にも認められず,活躍の舞台もなく,活動の資金もなく,ハンデを抱えることになると知りつつも,評価してくれる人々のいる外国に出ざるを得なかったのかもしれない.そして努力の末に外国で成果を認められたとして,その人は日本に対してどういう思いをもっているだろうか.本当に手を差し伸べてほしいときには,何を言っても相手にしてくれず,努力するチャンスさえなかった日本.本当は日本で日本のために活躍したかったのに,海外へ渡らざるを得なかった.努力して,外国人が,無名の異邦人である自分の成果をやっと認めてくれた.すると,今までは見向きもしなかった日本が掌を返したように「すごいですね!」と言ってくる….何だこれは? 我々はそんな中身のない賞賛をしている場合ではなかろう.そのような成果を日本から流出させる前に,萌芽のうちに日本で見いだせなかった見る目のなさ,無関心さに恥じ入るべきだ.

 外国で大きな賞を受けた日本人に後追いで慌てて賞を出すなど,恥ずかしいことだ.むしろ日本で先に見いだせなかったことを反省して,日本で,あるいは外国で大きな成果を上げつつあるにも関わらず厚遇されていない人々を,人種や国籍や性別や年齢,その他一切の属性に関係なく日本独自の視点で見い出し,その人々を日本に招聘して恵まれた環境を提供し,さらに大きな成果をあげてもらう,等の施策の方が,日本が尊敬される国となるために有益であろう.

政治の役割

uploaded at 2008.12.05 (fri) 15:36

 政治の役割とは,常に「枠組みを作ること」に限定されるべきだと考える.その枠組みの役割とは,「個人の最適化と,全体の最適化を一致させること」である.もし個人の努力が自らの利益にきちんと結びつき,それが同時に社会の利益に結びつくような社会であるならば,妙なインセンティブやバラマキなどしなくとも,勝手に社会は良い方向に動き出す.

複雑なシステムは美しくない

uploaded at 2009.08.27 (thu) 11:22
last revised at 2009.11.04 (wed) 13:24

 この国の税金,年金,社会保険制度は複雑すぎる.「国民のニーズにキメ細かに対応する」と言えば聞こえはいいが,既得権益に手を付けず対症療法を繰り返してきたアンバランスでツギハギだらけの姿が実体だ.理系の人間の目からはシステムを複雑化することだけで十分醜悪に見える.その上,分かりにくさを利用して不当に利益を搾取する人間がたくさんいる.

 この複雑なシステムを維持するために,どれだけ無駄な労力,無駄なお金,無駄な書類が費やされてきたかを考えると恐ろしい.複雑なシステムは見通しが利かず,ミスが多発し,不正や不公平の温床になる.ただ,不正は憎いとはいえ,不正を糾弾してモラルに訴えても仕方がない.そんな無駄なことをする暇があったら,そもそも不正をしにくいシステムを構築することに注力しよう.不公平のないシンプルな「枠組み」を作るべきなのだ.

 一律の税率,一律の年金,一律の社会保険,やってやれないことはなかろう.シンプル化によるコスト削減は莫大になるはずだ.コンピュータがこれだけ普及した現代に,機械的な事務処理をするだけの公務員など不要だ.公務員の本義に則り,如何に公共サービスを提供するか,というクリエイティブな仕事をしてもらわなければ,公僕に値しない.

 その考え方に則れば,すべての社会保障を国が一括で責任を持つ,というのが最もシンプルである.素人の思いつきのアイデアに過ぎないが,一つの考え方としてはあり得るのではないか.

 例えば憲法第 25 条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保証するために,国民全員に例外なく一律 10 万円(額は適切に調整すべきだが)を毎月支給する.いわゆるベーシックインカムだ.働ける国民は,働くことによって社会に価値を提供する.大きな価値を提供すればするほど,その価値を所得として上乗せすることができる.そしてその所得から一律の税率で所得税を払う.最低限度の生活を保障した上で,働けば働くほど良い生活ができる,という至極真っ当な「公平」を確保することが目的だ.生活保護の受給に関わるほとんどの問題がこれで解決する.受給資格でもめることもなく,最低賃金との逆転現象もあり得ない.働ける人が働ける分だけ働く,という雇用の柔軟性も得られるだろう.

 また企業は,国に対してはシンプルに売上に応じて一律の税金を支払い,労働者に対してはシンプルに労働者が提供した価値に応じて賃金を支払う.節税対策に頭をひねることも不要だ.社会保障的コストを企業が労働者に直接支払う必要がなくなれば,働きたい人が働けるように雇用を増やすことができるだろう.

 上記の案の細部への苦言はご容赦願いたい.素人の暴論なのは百も承知である.もし本気で実現しようとするとおそらく国民総背番号制の導入は必須で,問題は山積だろう.完璧に一律にすることも現実的には無理で,セーフティネットの議論も別途せねばなるまい.しかし,考え方の方向としては決して見当外れではない.常識に縛られないグランドデザインが必要なのだ.

 是非,本職の学者や官僚の方々が,対症療法ではないグランドデザインを示してほしい.そして私は,聞こえのいい対症療法をばらまいてこの国の借金を増やし続ける政治家ではなく,そのようなグランドデザインに少しでも近い考え方を持つ政治家に投票しようと思う.

参考リンク 日経ビジネスオンライン
2009.08.27 【今こそ異説異論】体重計のタニタの会長が語る「ニッポン税金ダイエット」
2009.11.04 「無理矢理働かせたくないから、国が生活を保障します」→あなたは納得できますか?

 の哲学に則って,多くの人に読まれるべきだと考える記事へのリンクです.

日経ビジネスオンライン デキルヤツノ条件
2008.04.11 クレーム処理はできますか
2008.05.02 サムライとだけは言われたくない
2008.06.13 非情のコメントブレイカー(前編)
2008.06.20 非情のコメントブレイカー(後編)〜載らない理由と、笑顔の行方
2008.07.18 “つもりくん”が注ぐお酒はなぜマズい
日経ビジネスオンライン マーケティング・ゼロ
2009.09.18 日本はなぜタレント CM が多いのだろう
日経ビジネスオンライン 小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」〜世間に転がる意味不明
2009.06.08 「ROOKIES(ルーキーズ)」が教えてくれた手前味噌の味
日経ビジネスオンライン 宮田秀明の「経営の設計学」
2008.09.12 工学部離れにはこう歯止めをかけよ
2009.10.02 「思い込み」に安住する怖さ いかにすれば脱常識・脱低迷が果たせるか
日経ビジネスオンライン 毎日が日直。「働く大人」の文学ガイド
2009.10.21 あなたは「世界に一つだけの花」主義者ですか?
日経ビジネスオンライン 深澤真紀の「社会の“正しい歯車”として生きる!」
2008.12.22 「歯車」だって、いいじゃないですか
2009.01.19 今は本当に嫌な世の中でしょうか?
2009.01.26 本当に大事だと思うものに、お金を出そう
2009.05.18 人脈なんて、なくてもいい
2009.06.08 日本人や若者はバカになったのか?
日経ビジネスオンライン 遙洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」
2007.06.29 ちゃんと挨拶できますか?
2007.12.21 日本人はバカになったのか?
2008.01.11 粗悪と狡猾の間で
2008.07.11 タイプ別「挨拶」とその克服法
2008.08.22 部下を叱れますか?
2008.09.26 イエスマンの恐怖
2009.09.25 詐欺か詐欺でないか
ITpro 記者のつぶやき
2008.05.23 だから技術者は報われない
2009.01.09 天然疑惑
2009.03.27 スチュワーデスが見える席
日経ビジネスオンライン この国のゆくえ
2009.04.08 「教育費をタダにせよ」親の所得格差が生み出す教育格差は亡国への道
日経ビジネス Associe スキルアップ最前線
2009.02.04 「脳力アップ」に要注意 良い勉強法 危ない勉強法【2】
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2009.01.09 「あの音は一生忘れない。地雷を踏んだときの音です」
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我が子に語る、社会を生き抜くほんとうの知恵。
ガンダムの富野由悠季監督らが東京大学で講演
2008.06.16 Robot Watch 「地球を使いこなすセンス」が求められる工学
2008.06.17 ASCII.jp 東大工学部で富野節が炸裂!ロボットの開発なんかやめましょう!

Updated on 4 November 2009 by Dr. KANAOKA Katsuya