『始祖人』の内容紹介
- 第一章/ 蒸発する海月達
- 塀に囲まれた秘密の場所で始祖人(オリジン)に犯された私=処女人(バージン)は、不完全非処女となって「その世」の海に流入する。始祖人はそこで海月を飼っていたが、二人が性交すればするほど海月達は増え、蒸発して空中をさまよい始める。性交は処女喪失の絶えざる反復であり、性交し続ける限り喪失は決して完了することがない。生とも死ともつかぬ異空間の生成と増幅、私はそこに「凄い生命力」を感じ耽溺するが、始祖人は「死」「呪い」を感じ、ついには海月達を殺そうとする。だが海月達に危害を加えると、なぜか私から血が流れる。時空の均衡は破れ、「君が制度に縛られてるからいけないんだ!」と、始祖人は私を罵り始める。
-
- 第二章/ 蟻悶符
- 制度についての図書室、「象形図館ー制度のヌード症ー」。そこで出会った「『祭』を取り戻す鳥姦図」や「平面を求めるゾルとゲル」、それらの意味は何なのか? 制度の衣服をどこまでも剥いでいけば実体が現れる? それとも無が? 処女喪失の時着ていた赤いワンピースが、私と肉体関係を結ぶため戻ってくる。私を呪縛し私を締め付け私と一体化したその中に、蟻悶符をいっぱい詰めこんで。「彼らに解答を与えて解かさないと、内臓を食い荒らされてしまう!」始祖人の中から解答を引き出さねば。だが会話は不条理な捻れ世界を、ただいたずらに現出するだけ。全ての虚実が滅茶苦茶に錯綜した嵐の中、始祖人は私と別れようとし、「君の感情は全て演技、君の言葉は全て虚偽。」と決めつける。私は全身麻痺し、声が出なくなる。
-
- 第三章/ 異食娼
- 鳥姦図の始祖鳥達が私を捕え、眼孔と口と股のバネをはずし、異食娼にしてしまう。「本来なら見えない疑問、食べられない食物、受け入れられない性器を体に受け入れ、うわばみのように飲み込むのだ。」始祖人の勧めで私は「新たな制度の症候群症(ファッションショー)」に行き、人々の会話の内容が全て自分を侮辱するものであるのを聞き、屈辱のあまり素裸になって挑発する。「好きだ」と追ってくる変態男、かつて振ったはずの東大生、教師や同級生達、皆が愚弄的な口調で始祖人と同じ事を言う。言葉なんかに意味はない、物語はファシズムだ、現実を見ろ、成長しろ、一生懸命生きるべき、一見もっともらしいかのようで、実は怪物的な位相の歪みを突きつけてくる台詞群。私はそれに従えない。蟻悶符の苦痛やワンピースの彼女の脅迫を、無視することが出来ないから。
-
- 第四章/ 神吹雪
- 電車の中で眼に飛び込んできた紙切れの文字、「総特集ーこんな女は振られて当然!」「みんなちゃんと一人!」敵方の神切れ群。「させてくれよ、一生のお願い。」男の差し出す手にも神切れ。街へ飛び出せば歌の歌詞が、地下道ではポスターが、どこでも始祖人の台詞と同じキャッチフレーズを突きつけてくる。このまま彼の別れの命令に従ってしまったなら、彼は時空を越え物理的制約を越え内臓の奥の奥までかき分けて、隈無く私を支配するだろう。そしてとうとう神切れ達の裁判で有罪になり、私は地下へと落とされる。そこで神切れを集めて新種の海月に食べさせるため、どうやら味方らしいワンピースの彼女や始祖鳥達の勧めるまま、変態達に身を任せる。我と我が糞便にまみれた唇で密かに呟く『小公女セーラ』のセーラの台詞、「もし私が公女様だったなら、あなたはそんなことはなさらなかったでしょう。」その時痙攣的な哄笑の笑い茸の茸雲が、或る異世界への裂け目を開く。
-
第五章以下は、これから書きます。爆発的ハッピーエンドになる予定。
-
-