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大きさはちょっと小さめのマウスパッドという感じです。外観的にはノートPCのトラックパッドという感じですが、ご安心ください。トラックパッドの操作感とは別物です。ほとんどマウスと変わらない感覚でポインタを縦横無尽に走らせることができます。
使いはじめの頃、マウスに比べると細かい動きが苦手かな…と思ったのですが、今はもう完全に慣れてしまいました。今はマウスを使うと、手の間に物が挟まったような感じ(実際そうな訳ですが)で、逆に違和感を覚えてしまいます。相当指先が鍛えられてしまったのでしょうね。ただ私の場合、そこまで慣れるにはかなりの時間を要しました。二、三日で慣れたような気分になってしまうのですが、本当に手足のように馴染むには一ヶ月はかかると思います。それは他の基本的なジェスチャー操作にもいえます。最初の一週間ぐらいは、どうしても失敗しがちなジェスチャーがあることでしょう。でも時間が経つうちに必ず、自然とすべてのジェスチャーができるようになります。

ポインティングは二本指、ドラッグは三本指で行います。これがまた最初のうち戸惑うところです。ポインティングからドラッグに移るとき、どうしても一瞬迷ってしまったりします。しかし慣れればマウスと同じように、何も考えずにポインティングとドラッグを使い分けられるようになります。
先ほどから「慣れ」という単語を連発してしまいますが、これが実はFingerWorks社の一連の製品を理解する上での大事なキーワードになります。基本的にただの一枚の板ですから、人間の動きを補助してくれる機械が何も無いことになるんですね。頼りになるのは自分の指先だけ。しかし救いなのは、指という器官には神経が集中しており、非常に優れた触覚と高度な運動が可能であることです。FingerWorks製品はまさにそこを当て込んでいるのです。普段キーボードのキーやマウスで楽させてもらっている指にムチを入れ、その機能を100%引き出させることで始めて入力機器として成立します。平たくいうと「とにかく練習あるのみ!」ということですが、練習すればできるようになるのを見越して作られているのは間違いありません。
例えばdatahandやOrbiTouchは、多少指先が鈍感でも操作できるでしょう。普通のキーボードでも、いかにして指の動きを補助するか、その優秀さを競っているという言い方もできます。そんな中、FingerWorks製品だけが逆行しているのです。機械はハイテクだけど肉体は余計に高度な動きを要求されるという、そういう不思議な感覚があります。次世代でバイスと言っていいぐらい斬新なのに、使っているうちにそんな事はもうすっかり忘れてしまって、体によく馴染むのです。

このジェスチャー操作から某SF映画を連想した人もいるでしょうし、一種のパフォーマンスのようだと感じる人もいるかもしれません。その裏返しとしてキワモノ扱いされたりする事もあるのでしょう。しかし敢えて言いますと、FingerWorks製品の魅力はジェスチャー操作を「可能」にすることにあるのではないと思います。それはジェスチャー操作を前提とした入力機器を「実用的」にする為の細やかなリファインにあるのです。実際、マルチタッチ・テクノロジーそのものは、会社設立当初から全く進歩していないように思えます。ではこまめなアップデートで何が変わっているのかというと、例えば親指クリックの追加であったり、ウィンドウをジェスチャーでコントロールするXWinderであったりといったように、技術の刷新というよりは使い勝手向上の部分に注がれているのです。
それについて具体的に指摘しているときりがない程ですが、例えば非常に広範なレンジを持つジェスチャースピードの設定であったり、操作ミスを見越して敢えてダブり部分をもうけているデフォルトのジェスチャー設定であったり、微妙に歪んでいるけど垂直に並んでいると意識すればより正確に打てるTouchStreamのキー配置であったりするわけです。こういった工夫については他にもこのサイト内の随所で触れているので、良かったら読んでみて下さい。実際、使い込んでいくうちに感心するのはこういうディティールの部分です。ジェスチャー操作そのものは、数日もすれば慣れてしまって、「あって当然」という感覚になってしまいます。(ですからジェスチャーを覚えるのが面倒そうだという心配は杞憂です。よく使うジェスチャーであれば、手が勝手に動くようになります。)

地味ですけど、iGestureを使ったコピペはとても重宝します。この場合のコピペは主に文字列のコピペです。「そんなもの、ショートカットキーを使えばすむじゃないか」と言われるかもしれません。しかし、コピペ自体はキーボードだけでできても、その前後段階で必ずと言っていいほどマウスを使うでしょう。右クリックのように二段階三段階の作業ではなく、マウス操作したその手の一振りでできてしまうというのが快感なのです。
iGestureで便利なのはコピペだけではなく、それに併用してよく使うジェスチャーも整ってます。コピー元とペースト先のソフトが異なる時はアプリ切り替えジェスチャーは必須ですね。というか、マルチタスク環境が当たり前の今では使う頻度ナンバーワンのジェスチャーかもしれません。フィールドを移動する時はタブジェスチャーです。タブキーはマウス環境でも比較的押しやすいキーではありますが、iGestureが手元にあるのにわざわざ左手を伸ばす必要もないでしょう。ましてや、右手を使うしかないEnterはもっとiGestureでやるべき理由があります。たかがEnterのためだけに右手をマウスから離すのはばかばかしいです。ソフトを超えフィールドを超え、ここまですべてジェスチャーでやって来たら、最後は親指と小指で同時にタップ。これでEnterになります。

突然ですが、Webブラウジングって本当に厄介なものです。Webコンテンツは信じられないぐらい変化しているのに、ブラウザはMosaicの時代から変化していないかのようです。あちこちページを見ているうちにウィンドウが散らかり、しかもコンテンツのサイズがバラバラなおかげで、マウスを振り回してウィンドウと格闘する事が多くなってしまいました。
iGestureに限らず、多機能マウスや外部コントローラーの導入でもっとも楽になるのはこのウェブブラウジングではないでしょうか。まずスクロールが格段に楽になります。iGestureの場合は四本指スライドで縦横両方向にスクロールします。ぐるぐる回すようにスライドさせると、スクロールというよりはウィンドウの中でオブジェクトをドラッグしているような感覚です。そのまま指使いを変えて左右にスライドさせればバックボタンとフォワードボタン、手を握るジェスチャーをすればブックマークに追加、また指使いを変えて上方向にスライドさせればそのページの更新です。まあ、たかがウェブブラウジングでは割り当てるショートカットが多すぎて困るという事もないでしょう。
しかしiGestureがすごいのはここからです。だらしなく増えてしまったウィンドウ達を、ジェスチャーで直接操作できます。三本指のドラッグでウィンドウの移動、同じ三本指を握ったり広げたりする事でウィンドウの拡大/縮小ができます。この時、マウスポインタはウィンドウのどこかに入っていればよく、ウィンドウがちょっとでも覗いているなら、背後にあるウィンドウまで操作できるのです。私は個人的に、タイトルバーやウィンドウコーナーといった「ドラッグポイント」までわざわざマウスを持っていって、しかも狭いポイントに入れるという作業が苦痛でしょうがなかったのです。しかしiGestureでこれができるようになってからウィンドウ操作のストレスがなくなりました。私は先ほど個人的にと書いたのですが、同様のストレスを感じている人は決して少なくないと思います。
さらに、これがTouchStreamだともっと壮観です。左手の三本指でウィンドウの左上を掴み、右手の三本指でウィンドウの右下を掴んだ状態で、左右の手で同時にウィンドウサイズを変える事ができます。まるでウィンドウを両手で掴んで粘土でもコネ回すかのような感覚です。これはもう、楽だからとかストレスないからとかいう話以前に、マウスでは物理的に無理な芸当でしょう。いってみればダブルマウスみたいな状態です。いくらOS付属の機能(osxとxp限定ですが)を使うとはいえ、現在のところここまでできるのはTouchStreamだけ。かなりすごいと思います。そうそう、ちなみにその状態で右手と左手を同方向に動かすと、ウィンドウの大きさを変えずに位置だけ変えてくれます。粘土を両手で掴んでどっこいしょと移動させる感じです。

iGestureの場合、各アプリケーションごとに異なったジェスチャーをアサインすることはできません。ここが例えばPowerMateなどの外部コントローラーとの大きな違いです。しかし、設定はかなり細かくコントロールできます。それについては機能の一部を他のページで紹介しているので割愛しますが、さすがに補助装置が何もない状態なので、かなりいろいろなシチュエーションを想定しています。おそらくコントローラーとして買っても満足できるどころか、中途半端なコントローラーを買うよりは遥かに「応えてくれる」でしょう。それなりに慣れる時間も必要だし、カスタマイズにも頭と時間を使いますが、逆にその気になりさえすれば必ず応えてくれる機械です。

FingerWorksの五つある現行機種のうち、どれがお薦めかと言えば、やはりTouchStreamになります。キーボードもマウスも常に同じ面で操作できるのは想像以上の快感です。また、iGestureだと片手だけ忙しくなりすぎる傾向も無視できません。使い込めば使い込む程、右手だけドタバタと忙しくなります。さらに、iGestureとキーボードの間の手の移動は、普通のマウスより更に煩わしく感じる傾向がある事も、気に留めておいた方がいいいでしょう。
それでもTouchStreamは無理だという場合、私ならNumPadかMiniKeyboardをお薦めします。NumPadはテンキーレスキーボードと組み合わせる事で、両者の距離をぐっと縮める事ができます。また、キーは完全にプログラマブルなので、ジェスチャーが足りなくなった場合などに、キー自体にショートカットやマクロを割り当てる事が可能です。
もう一方のMiniKeyboardはかなり独特です。非分割式の片面パッドでありながら、TouchStreamと同様のモディファイアキージェスチャーに対応しています。普通なら片手でctrlやcmdジェスチャーをしつつ、もう片方の手で文字キーを打つと思いますが、MiniKeyboardの場合は片手だけで同じ事ができるようになってます。(modifierジェスチャー後、指を一本だけ残して他の指で文字キーを打てば良い。)
当初私はMiniの存在意義がまったく分からなかったのですが、最近何となく分かるようになってきました。例えばフォルダの中にたくさんあるファイルの中から、目的のファイルを素早く探すとします。この時「K」のキーを打てば、ファイル名の先頭がKであるファイルまで一発で飛びますね。そんなちょっとしたキーを打つのに、いちいちキーボードまで手を移すのはばかばかしい。そんな時に使えます。文章入力の為の文字キーではなく、コンピュータ操作の為の文字キーをiGesture内部に取り込んでいるイメージだと思います。
以上のようにNumPadやMiniは、ジェスチャーだけでは行き詰まった時に、「もう一伸び」の操作が可能になるわけです。これに対してiGesturePadにはそういう逃げ場がありません。バリバリ使いこなしてカスタマイズしていくと、最後の最後で不便を感じることがあるかもしれません。という事で、iGesturePadは避けた方が無難だと思うのです。
ただし、しつこいようですが、よほどの事情が無い限り私はTouchStreamをお薦めしておきます。例えば色が気に入らないという程度の理由で避けるとしたら、いくら好みの問題とは言え、私から見れば本末転倒の感を拭う事ができません。敢えて強引に言ってしまいますが、TouchStreamこそが本来のFingerWorks製品であり、100%本領を発揮できると思っています。これは最初にTouchStream(FingerBoard)が発売され、それ以外の製品はあとになって出て来た事からも理解できるでしょう。もしFingeWorksが大きな会社なら、TouchStreamは設計部が本当に作りたくて作った製品、それ以外は営業サイドからの要望で作られた戦略的商品であるように例える事もできます。メーカー自身、「こっちの方がいいに決まってるのになぁ」と思いながらも、マーケティング上の理由で異端的な製品も作って売らざるを得ない、そんなポジションでしょう。例えカタログの中で同列に並んでいたとしても、そこには消費者には見えない壁があるものなのです。
なお、色がまだましだという理由で、MacNTouchをデスクトップで使いたいというニーズが結構あるようです。この場合ソフト/ドライバ的にはWinでも使えますが、ケーブルが特殊で短いものしか付属してきませんので、これをなんとかする必要があります。それに、MacNTouchにはTouchStreamのようなよく考えられたパームレストが付いてきません。TouchStreamでさえ左右分割ケーブルをもっと長くすべきか短くすべきかで議論されているというのに、ノートの物理的制約で作られた一直線のボードが使いやすいとはどうしても思えません。本当にノートで使うならともかく、そこまで無理してデスクトップで使う必要性は感じられないです。
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