2008年10月16日 21:32

土星の6角形

数年前にも見た記憶があり、再び朝日が報道したことで思い出しました。

米航空宇宙局(NASA)は13日、土星の両極にある台風の赤外線映像を公開した。土星を周回する探査機カッシーニが撮影した。台風の雲が鮮明にとらえられ、北極にある台風には、地球二つ分ほどの大きさの六角形の構造があることがよくわかる。

asahi.com(朝日新聞社):土星の台風は六角形 探査機カッシーニが撮影 - サイエンス から2008年10月16日に引用

朝日の画像は小さいので、NASAから大きい画像を引っ張り込みました。クリックで拡大します。

土星の台風

お味噌汁をお椀に注いだときに、お味噌の粒子が不規則な形を作ってユラユラと動いているのを見たことがあるかもしれません。流体力学という分野に属する話ですが、これが難しい。というか現象を分析するためのパラメータが多い。お味噌汁の場合、液体の表面張力が温度によって変化することが原因で起きるべナール・マランゴニ対流という現象によります。もしくは、原理的には異なりますが、粒子に浮力が生じる場合に起きるレイリー・ベナール対流という現象もあります。

カオスと呼ばれる学問分野があります。知識が進んでも、変化することはわかっていても、次の状態を正確に言い当てることができないような状態。子供たちなどは、この話を聞くと首をかしげることが多いです。知識を極めれば、次に起きることが予測できるであろうという感覚。しかし、現実には味噌汁の表面に生まれる文様を予想することは難しい。味噌汁の文様は、味噌汁自体の温度や、外気温。外気温からの影響の受けやすさ(味噌汁の量)、お椀の形状など複雑なパラメータが必要で、全てわかったとしても、そう簡単に予想できません。


にもかかわらず、冒頭の現象(土星の台風)は、かなり長い間その形状を保持できているのです。先に書いた、流体力学のべナール・マランゴニ対流や、レイリー・ベナール対流の理論を使えば、形状が保持できている理由を見いだすことができるかもしれません。また、なぜこのような形状になるのか予測できるかもしれません。しかし、そう簡単ではないはずです。不思議ですなぁ。

六角形というのは力をうまく受け流すというか、外部からの力に耐えうる形状ではあります。自然現象において、例えば蜂の巣などは六角形ですよね。単位面積あたりより多くの部屋を作ってやろうとするとあんな形状になるのだそうです。理屈ではわかっても不思議な気がします。力が均等にかかると円・もしくは球を形作ります。ところが、そこに力がかかる。そうすると、三角形よりも四角形よりも五角形や六角形の方が外部からの力に強くなる。平面で同じ形を連続して作っていくと正六角形の連続が非常に効率が良いことがわかります。五角形を立体的に組み合わせると、正12面体になってこれまた安定します。


土星の場合、どのような力が働いているのか?想像するのはなかなか難しい話ですが、楽しいです。地球においても六角形の台風が観測されることがあるそうです(画像探したけど見つからなかった)。ただ、安定して存在できない。先ほどもちょっと書きましたが、外部から力を受け流そうとすると六角形になり得ます。ただ、不思議なのはその形状が非常に安定しているという事実。土星の極でしか見られないということですから、土星の大気が極に向かって対流しているのだろうと想像します。それに加えて、もしかしたら土星の地表面(地表という言い方は適切ではないかな、内部構造がはっきりしてないから内部という言い方かな)は想像以上に熱を持っているのではないか。熱対流と極へ向かって吹き付ける気流が相互に作用して六角形を形作る。しかし、その場合、土星の自転の影響を無視できるのか、なにゆえ極へ向かう(もしくは赤道へ向かう)気流が発生するのか説明できない。知り得るファクターが少なすぎますな。

実に不可思議なれど美しい現象。そして大いなる疑問。「宇宙、それは最後のフロンティア」まさに。


Posted by kaizawa | TrackBacks