2006年09月23日 01:25

骨髄バンクの分かれ道

アサヒのウェブサイトで気になる記事を見つけました。

骨髄バンクが91年に発足して以来の悲願、「ドナー登録30万人」が近々達成されそうなのに、移植が思うように進まず、待機患者も増え続ける事態が起きている。白血病を題材にした小説や映画の大ヒットなどでドナー登録は急増しているが、移植可能な患者が見つかっても、「仕事があって行けない」などと断るケースが多いのが大きな理由だ。骨髄移植推進財団は「30万人」の見直しも含めて検討を始める。

asahi.com:骨髄ドナー、辞退相次ぐ 「適合」後に負担痛感 - 暮らし から2006年9月23日に引用

會澤もドナーに登録しています。一度は適合連絡を受けたことがあります。そのときは腰痛による入院・退院の直後ということもあり、コーディネイトの段階でそれ以降の処理をストップした経緯があります。まがりなりにも自分で考え、選択したドナー登録です。自分が不適格ということ判断されて実は落ち込んだりもしました。腰痛が再発するおそれがあり、移植を行うことはできない。そういう結論でした。ある程度時間もたっていますので、大丈夫であろうとは思いますが、現在もドナー登録は「保留」状態になっています。


早紀に引用した記事中に、「仕事があって行けない」というケースのことが書いてありますが、無理からぬコトだと思います。

移植を待っている患者さんのことを思えば、自分の仕事をなげうって!というのがもしかしたら美しい姿なのかもしれません。しかし、現実問題としてドナーから骨髄液を採取するには、最低でも2泊3日の入院が必要です。この間の休業補償がないのは勿論(こういうコトに“勿論”とつけるのは不本意ですが)として、社会的にも“骨髄液提供のための入院”というのが理解されているかどうか大いに疑問ですね。事実私の勤めている会社でも、もしも提供ということになれば有休を使うしかない状況です。「骨髄液提供特別有給」などというのがあれば仕事をしている人にとってありがたいのですけどね。

…などということを書くと「不謹慎」と罵られるかもしれませんね。ただね、私思うのですけど、骨髄液の提供というのは全身麻酔を伴いますし、献血などと同じようにはなかなか考えられないのも事実だと思うのですね。ドナーというのは究極のボランティア。そんな風にいうのを聞いたことがありますし、會澤自身もそう思います。“身を削って”という部分があるからだと思います。


骨髄移植というと、「骨を移植する」と思っている人も多いようです。現実には腰骨の中にある「骨髄液」を注射器で抜き取る。という手法でドナーから骨髄液を採取し、それを患者さんに移植する。というものです。骨髄液の中には造血細胞などが含まれ、患者さんに定着すれば、その骨髄液の持つ機能で新たに血液が作り出されることになります。

患者さんから見れば、他人の血液を作る設計図と工場が移植されることになり、場合によっては拒否反応が起きる可能性があります。ドナーとの適合というのは拒否反応が起こらないであろう遺伝子レベルのマッチングが成功したということに他なりません。

そして、患者さんが移植を受ける際には、元々患者さん自身が持っていた血液生成を司る機能を消去してしまわなければならいことになります。(放射線を使ってこれらの機能を消去するそうです)元々持っていたものが残っていたら、新しく入ってきたドナーの骨髄液の作用を邪魔することになりますからね。これは非常にに恐ろしいことです。もしドナー側の都合で移植がキャンセルされてしまったりしたら、患者さんは血液を作り出す機能が全て失われた状態におかれることになるわけです。


いったん決めた(コーディネート段階で移植が決定された)場合は辞めるわけにはいきません。辞めることは上で述べたように、患者さんの死を意味することになりますからね。これもまた結構なプレッシャーになると思います。致し方ないことですが。

私はドナー登録した際に、これらのことをビデオや、専門のスタッフから教えられました。ドナー登録している人は全てこれらのことを把握していると思っていました。軽く考えている人もいるようですね。実は會澤自身もチョット軽く考えていたところがありました。コーディネートの際に、會澤の腰痛の話が出て、再発する可能性が0ではないこと。腰痛などで入院したばかりの人には、移植手術を受けることを遠慮してもらっている旨説明がありコーディネートは中断されました。しかし、そういった事情なしに移植手続きが続行されたとして、忙しいときに会社を数日休むということができるだろうか。会社は理解してくれるだろうか。理解されず、休むことを許されなかったとしても患者さんのことを考えれば無理にでも休まねばならないわけですよね。これ大変ですよ。

ドナー登録自身は献血より簡単に行われます(説明はしっかりされますけどね)。簡単であるが故に、また献血センターなどで簡便に行えるが故に、手術そのものも簡単だと思ってしまう。いざ、患者さんと適合したから手術処理を続行したい旨通知が来る。そのときになってあたふたする。そういうのはきっとあると思う。會澤もコーディネートが続行されていたら、かなりあたふたしたと思う。それは間違いないなぁ。


生意気を承知で提言するとしたら、ドナー登録のときに見せてもらったビデオをドナー登録とは関係ないところでも上映して、「ドナー登録はしないけど、ドナー登録とその後の手続きは理解している」という人ももっともっと増やすことが必要だと思うなぁ。さっきも書いたけど、ドナー登録は究極のボランティア。ボランティアは周囲の人たちの理解がないとなかなか成り立たない。ドナーを増やすこと。これにはある程度のめどがついてきたみたいだけど、それを取り巻く環境の整備はまだまだ。大きな会社の中には理解を示すところもあるかもしれないけど、會澤の会社みたいな中規模小規模の会社にも積極的にアピールして、社会的に理解されるような環境づくりがやっぱ必要なんだろうと思う。

骨髄バンクに関しては「名前は知っている」という人がかなり増えたと思う。そしてその問題点も引用した記事のように明らかになってきた。これから分かれ道になっている。そう思う。このエントリがほんのチョットでも助けになれば…。生意気だけどそう思う。會澤の登録保留の扱いについても改めて骨髄バンクに問い合わせて相談してみようと思っている。


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by あつし(2006-09-23T06:15:57-05:00)

引用元の記事に

>財団は会社などに休暇を取りやすい制度の導入を働きかけている。

とありますが、これでは弱いと思います。

休みをとらせると言うことは例え有給であっても会社にとってコストをかけることになりますから。

なんらかの保障をして頂かないと・・・


しかも、最近は女性進出もあって出産・子育てなどの休暇を取りやすくしつつあります。その上、移植の休みを普及させるのはちと厳しそうな気もします。


もっと簡単に移植できるような技術を開発するか、休みを取りやすそうな大学生あたりの登録を増やすようにするとかしないと同じようなことが繰り返し起こるように思います。

by 會澤(2006-09-23T07:50:34-05:00)

医学のことは今ひとつわかりませんので技術の進歩についてはコメントしませんね。

大学生の登録を増やすというところで問題になるのは、事故が起きたときの対応ですかね。社会人であればそれこそ自分の責任でといわれれば迷うにしても納得するにしてもそれで良いのですが、大学生になると社会的には(年齢はともかくとして)親を引っ張り出さないと何かと問題が起きそうですね。

医学的に問題がありそうな年少者・年長者はとりあえず除くとして、それ以外の年齢層の人が均等に参加できるシステムを作っていかないと長続きしないと思います。

by t0mori(2006-09-25T07:39:09-05:00)

>引用元の記事に

>>財団は会社などに休暇を取りやすい制度の導入を働きかけている。

>とありますが、これでは弱いと思います。


おっしゃる事は尤もですが、財団の仕事と言うよりも、厚生労働省の仕事のように思います。会社への保証などと言う話になるのなら、保険制度の中に取り込めないと難しいかも知れませんね。財団レベルでは促す事は出来ても、保証や強制は難しいと思いますし。

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by あつし(2006-09-23T06:15:57-05:00)

引用元の記事に

>財団は会社などに休暇を取りやすい制度の導入を働きかけている。

とありますが、これでは弱いと思います。

休みをとらせると言うことは例え有給であっても会社にとってコストをかけることになりますから。

なんらかの保障をして頂かないと・・・


しかも、最近は女性進出もあって出産・子育てなどの休暇を取りやすくしつつあります。その上、移植の休みを普及させるのはちと厳しそうな気もします。


もっと簡単に移植できるような技術を開発するか、休みを取りやすそうな大学生あたりの登録を増やすようにするとかしないと同じようなことが繰り返し起こるように思います。

by 會澤(2006-09-23T07:50:34-05:00)

医学のことは今ひとつわかりませんので技術の進歩についてはコメントしませんね。

大学生の登録を増やすというところで問題になるのは、事故が起きたときの対応ですかね。社会人であればそれこそ自分の責任でといわれれば迷うにしても納得するにしてもそれで良いのですが、大学生になると社会的には(年齢はともかくとして)親を引っ張り出さないと何かと問題が起きそうですね。

医学的に問題がありそうな年少者・年長者はとりあえず除くとして、それ以外の年齢層の人が均等に参加できるシステムを作っていかないと長続きしないと思います。

by t0mori(2006-09-25T07:39:09-05:00)

>引用元の記事に

>>財団は会社などに休暇を取りやすい制度の導入を働きかけている。

>とありますが、これでは弱いと思います。


おっしゃる事は尤もですが、財団の仕事と言うよりも、厚生労働省の仕事のように思います。会社への保証などと言う話になるのなら、保険制度の中に取り込めないと難しいかも知れませんね。財団レベルでは促す事は出来ても、保証や強制は難しいと思いますし。

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Posted by kaizawa | TrackBacks