スーパーカミオカンデ修復完了学術的な話は會澤にはできません。詳しい話は本家のホームページをご覧下さいませ。 スーパーカミオカンデ その光を観測すれば間接的にニュートリノ君の存在であるとか、反応に要したエネルギー・そのベクトル(向き)などがわかる訳ね。さて、最初に述べたとおり、ニュートリノ君は非常に他の物質との反応確率が少ないんですね。太陽なんかは大量のニュートリノ君を放出しているのだけど、それを簡単に観測することができないわけですよ。何と地球でさえもニュートリノ君は素通りしてしまうほどなんです。 とはいえ、ごくまれに反応は起こります。さてここで発想の転換です。まれにしか反応しないんであれば、反応してくれる媒体ここでは水を大量に用意しておいて、その周りに電子とニュートリノ君が反応したときに発する光(チェレンコフ光といいます)を検出するための機械を設置しておけばいい。反応してくれる媒体の容量が大きくなれば気まぐれなニュートリノ君でもときどき反応してくれるでしょ。それを究極まで大きくしたのがスーパーカミオカンデという施設です。その大きさたるや、水量5万トンといいます。エースケールが大きすぎて例えが見つかりません。手近なところで、500mlのペットボトルだと、1億本(計算合ってるか?)!マジです。 さて、このスーパーカミオカンデが残念ながら故障して修理をしておりました。そしてこのたびほぼ修復が完了し、観測を再開することができるようになったそうです。非常に嬉しい。イヤ、私この施設とは何ら関係ないんですけどね。 會澤がこのニュートリノ観測の中でもっとも注目しているのはニュートリノが質量を持つか否かという問題の手がかりになる実験結果を示しているということです。これまた難しい話になりますが、太陽ニュートリノに限らず、極わずかながら観測されるニュートリノはその予測される値に対して少ないことが度々問題にされていました。でそこで出てきたのがニュートリノ振動と呼ばれる量子状態の変遷により、観測されるニュートリノが電子ニュートリノ(別の量子状態はミュー・ニュートリノ、タウ・ニュートリノと呼ばれます)だけであり、その結果理論値から観測されるニュートリノの量が少なくなるということです。電子と反応を起こすのは電子ニュートリノだけです。電子ニュートリノは量子状態の変遷により、ミュー・ニュートリノ、タウ・ニュートリノという状態になり得るというもので、その状態では電子との相互作用は起こりません。極めて他の物質との相互作用がおきにくいことになります。水中の電子との相互作用によって発生するチェレンコフ光を観測することはこの量子状態の一形態である電子ニュートリノのみを観測することになり、理論値との差を埋めるのに好都合(この言葉はあまり適切じゃないな)なわけですね。 ただ、ニュートリノ振動はニュートリノに質量があることが求められます。ニュートリノに質量が存在することになれば、もう一つの問題解決の糸口になり得ることになります。もう一つの問題とは「宇宙の暗黒物質(ダークマター問題)」と呼ばれるものです。これも理論値から見て観測される宇宙の姿に小さい質量しかない。ということです。観測にかからない多くの質量が存在する。それが理論値からは要求されるのですが、それが見つからない。 もし暗黒物質(ダークマター)の正体がニュートリノであれば...ニュートリノは最初に述べたように極端に観測しづらい物質です。そして実は大量のニュートリノの存在は予想されています。そして、そのニュートリノに質量があれば。 まぁ事は単純に進むわけではないと思いますが、スーパーカミオカンデで行われたK2K実験(※)でニュートリノに質量が存在する(ニュートリノ振動が存在する)ことが観測によってほぼ明らかになったのです。そんな功績の中で起きた観測装置の故障(観測機の破損)は非常に残念なニュースに写りました。何せ、大規模な施設ですので、単純に補修するというわけにも行きません。5万トンの純水を抜き、修理する。観測装置一つにしても特殊なものですのでコストも手間もかかります。日本経済の問題とも相まって予算が本当に下りるんだろうか、ハッブルの二の舞にならないだろうか。非常に不安に思っていたのです。さて、スーパーカミオカンデで行われる次の実験ではどのような結果が出てくるでしょう。予測通りの結果が出るか、予測を自然があざ笑うような結果が出るか、それはわかりません。しかし、日本が誇るこの実験施設が人の知識を広げる想像力を広げる一翼を担うのはきっと間違いないと思ってます。期待してます。 ※高エネルギー加速器研究機構(つくば市)からスーパーカミオカンデへむけて人工的に発生させたニュートリノビームを発射させ、その観測を行った実験の総称。ここで発生させたニュートリノビームと、スーパーカミオカンデで観測したニュートリノの間にニュートリノ振動で予測されたのと同レベルの観測が確認され、ニュートリノ振動が起きていること。すなわち、ニュートリノの質量が予測されるという事実を突き止めた。 写真提供:東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 T-Back URL
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